「YUMMY/ヤミー」映画感想ネタバレ(9/10点)意地悪でブラックなユーモアが魅力のベルギー産ゾンビホラー!

今回は「YUMMY/ヤミー」を鑑賞しました。


ジャケットには血まみれで斧を持つ女性の顔から下の姿がうつっていますが、これはおそらく主人公アリソンですね。キャッチーなジャケットでなかなかいいと思います。

アリソンという女性が整形手術のためクリニックを訪れるが、そこでゾンビパンデミックが発生し・・・というゾンビホラー映画。

人が負傷したり死亡したりする姿が意地悪でダークな描き方をされていて非常に笑える作品でした。これはおすすめです。

個人的な評価は9/10点です。

作品情報

監督:ラース・ダモワゾー
出演:マイケ・ネーヴィレ、バルト・ホランダース、ベンジャミン・ラモン、クララ・クリーマンズ、アニック・クリスティアンス
原題:Yummy
製作年:2019年
製作国:ベルギー
リリース:2020-12-25
上映時間:88分
映画サイトでの評価:「IMDB」6.0/10点、「フィルマークス」3.6/5点。

ストーリー紹介

[su_spoiler title=”ストーリーの流れを知りたい方はこちらをクリックしてください。(ネタバレを含みます)” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]
・アリソンという女性が整形手術のため、彼氏のダニエルと自分の母親付き添いのもと美容整形外科を訪れる。

・そのクリニックでは院長のクローチェクという男がひそかに老化を止める薬を開発していて、それを投与された被験者の女性はゾンビ化し、一室に隔離されていた…。

・ミカエルがたまたまその部屋に入りその女性を発見。親切心から彼女の拘束具を外す。

・女性が解放されたことで院内にいた人々が次々とウイルスに感染しゾンビ化していく。

・アリソンたちもゾンビから必死に逃げまどうことに・・・。

・やがて病院の周りを軍が包囲し、助けを求めようと一人の女性が軍人の方に向かっていくがゾンビと間違えられ一斉射撃を浴びせられる。

・それを見たアリソン、ミカエル、そして病院のスタッフ・ダニエルは病院から下水道へと移動。

・アリソン、ダニエルがマンホールのふたを開けて地上へと出るが、ミカエルはダニエルに拾い上げてもらえず、そのまま下水道に取り残されてしまう。

・ダニエルはすでにゾンビに噛まれていて彼はそれをアリソンたちに隠していて、ゾンビになる前にアリソンを襲ってやろうと画策していたのだった。

・そのことを知らないアリソンはダニエルと街中からゾンビのいなさそうな郊外へと車で移動する。

・その途中でアリソンがダニエルが感染していることに気づく。

・アリソンはダニエルに襲われるが、なんとか倒すことに成功。

・アリソンは再び車を走らせる。

・一方そのころゾンビに地下で襲われながらも生還したミカエルが泥まみれになりながら地上へと出てくる。

・ミカエルはふらついた足取りで道路へと進み出るが、そこへアリソンの運転する車がやってくる。

・アリソンはミカエルをゾンビのうちの一体だと勘違いし、そのまま車でひいてしまう。

・アリソンはひいた相手がミカエルだと気づき、ハンドル操作を誤って木へ衝突し死亡してしまう。

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感想

・美容整形外科病棟で巻き起こるゾンビパニックホラー

あるクリニックで美容整形手術を受けようとやってきた主人公・アリソン、その付き添いの恋人・ミカエル、そしてアリソンの母親が、そこで発生したゾンビパンデミックに巻き込まれる…というゾンビホラー映画。

最近流行りのゾンビの設定にひとひねりを加えて…とかはほぼない、非常にオーソドックスなゾンビ映画です。ゾンビ自体の設定の新鮮さはないものの、美容整形外科ならではの「人が痛い目にあう姿」がブラックなユーモア込みで描かれていてそこが非常に笑えて良い。

それぞれのキャラの立たせ方もよくて、ゾンビモノでよくある「キャラ同士の争い」の描き方もうまい。特に終盤なんかハラハラしっぱなしでしたね。オチも非常に悪趣味で最高。なんかいい映画見たな~という余韻が残る、そんなゾンビ映画でした。

・美容整形外科ならではの痛い描写

美容整形外科でゾンビパンデミックが発生した、という設定を生かして、ありとあらゆる痛い描写がぶっこまれていて面白いです。

例えば、

・脂肪吸引中に機械が誤操作されて、吸引されていた脂肪が体に逆流してしまいその人物が爆発してしまう。

・ある女性が肌をきれいにするケミカルピーリングの施術途中で手術が中断され顔がただれた状態のまま放置され超痛がっている。

・ある男性のナニに火がついてそれがポトッと落ちる(落ちたナニをポケットにしまう)。

・また別の男性がゾンビに腕をかまれてウイルスが脳に到達する前に!とシュレッダーに自ら腕を突っ込む。

・・・などなど、非常に意地悪でブラックなネタのオンパレードで見ながらずっとニヤニヤしてしまいました…。

あとこれは美容整形外科ならではというわけではありませんが、痛い描写つながりで上げておくと、下水道からマンホールのフタを開けたらそこに車が通りかかって指が挟まれる場面もよかったなぁ。地味だけどここが一番きつかったかも…。思わず目を背けてしまいました。

・キャラ同士の争いが面白い

本作はキャラ同士の争いも魅力の一つですね。

主人公のアリソンとクリニックのスタッフで優男風のダニエルがいい感じに…?的な展開があり、それをアリソンの彼氏でうだつの上がらないキャラとして描かれているミカエルがやきもきしながらも何も言わずに見ています。

このミカエルがなんかいいキャラなんだなぁ。医師を目指していたが血が苦手で断念した人物で、彼ばかりが災難にあいつつもなかなか死なないというキャラ付けも面白い。そんな彼が次第に成長していく点も注目ポイントで、終盤にある、スペック的には上(?)のダニエルとの争いがすげー面白いですよ。

※以下、重要なネタバレを含みます。

終盤ではミカエル、アリソン、ダニエルの三人がクリニックから下水道を通って地上に出ようとする展開になります。

人の手を借りないと届かない下水道のハシゴを上ってアリソンとダニエルが地上に出て、次はミカエルの番だ、というところでダニエルにマンホールのふたを閉められてしまう。ダニエルはミカエルがすでに死んだとアリソンに噓をついてふたりだけで逃げようとしていました。このときダニエルはすでにゾンビに噛まれていて自分でそのことを知りながらミカエルを見捨てたわけです。このあたりとかミカエルのキャラが好きだった僕からしたらダニエルに腹が立って仕方なかったし、すでに噛まれているのにどういう思惑があってそんなことをするんだ?という点で引き付けられました。この下水道のシーンはとにかく面白かったなぁ。あとは、オチも超悪趣味でよかったですね。ここはぜひ自分の目で確認してみてください。

まとめ

ゾンビの設定は非常にオーソドックスですが、ブラックなユーモアが炸裂していて非常に楽しめました。

あとで気づきましたが、ゾンビ映画でよく見るゾンビが大群になって襲ってくるとかそういうワラワラ感はなかったですね。大群ゾンビ系が好きな方は少し物足りないかもしれません。

笑えた箇所だけど入れこむ場面がなかったのでここに書きますが、ミカエルが結婚指輪を見せながら生き延びたら結婚しようとアリソンにプロポーズするけど断られるシーンが良かったですね。一見すると死が間近に迫っている状況の感動的なシーンに思えますが、確かに下水道というロケーションは…(笑)アリソンの冷静さと断り方のアッサリさに笑ってしまいました。

というわけで評価は9/10点としました。

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