映画「オールドマン」のあらすじと観た感想を紹介します。
結末のネタバレがあるのでご注意ください。
作品情報
ある老人が過去に犯した罪に苦しまされ続ける姿を描いたサイコロジカルスリラー
森の中の小屋に住む老人のもとに道に迷った青年ジョーが助けを求めやってくる。老人は素性のしれないジョーを怪しみ、銃を向けるが、やがて害のない人間だと判断し、宿泊を許可した。しかし、いつの間にかジョーの姿は消え、代わりに黒ずくめのラスカルという男が現れ・・・。
2022年製作/97分/G/アメリカ
原題:Old Man
あらすじ
ある老人の家に青年がやってくる
森の奥の小屋でひっそりと暮らす老人はベッドの上で目覚め、ラスカルという犬を探しだす。
そんななか、ジョーという男性が小屋を訪ねてくる。
老人は、ジョーを小屋に入らせると銃をかまえてジョーに向けた。素性を知らないジョーに対して、どういう経緯で小屋にたどり着いたのかと老人はジョーに問いただす。ジョーは森の中で道に迷い小屋にたどり着いたと説明した。
しばらく老人の尋問が続くなか、一瞬の隙をついてジョーは玄関ドアに向かって走る。老人は威嚇発砲してジョーの逃亡を阻止した。
青年を家に泊めることにする
その後、老人は態度を軟化させ、ジョーに家に泊る許可を出した。
老人はジョーにコーヒーを振舞い、昔やってきた訪問者の話をする。
ある日、聖書のセールスマンが老人の家を訪れた。老人はその男が神に庇護されているのか確かめるために、縛り上げストーブの近くに連れていく。恐怖でいっぱいになったセールスマンは、一心不乱に祈りを捧げだした。その後、老人はその男を解放したという。
一方、ジョーも妻との関係がうまくいっていないことを老人に話した。
青年が忽然と姿を消してしまう
身の上話もひと段落つき老人が食事の準備をしていたところ、ジョーが忽然と姿を消してしまう。その代わりに、黒ずくめの服を着た男ラスカルが現れる。
ラスカルは箱に入るように老人に言う。老人がその箱に入ると、別の空間に移動していた。老人は廊下を進みドアを開けると、彼の住む小屋に通じていた。
ここで、老人の頭の中で過去の出来事のフラッシュバックが起きる。実は、ジョーは老人の若いころの姿であることが判明する。つまり、老人がジョーと会話していたそれまでの場面は本人の見ている幻覚だったのだった。
そして、過去にジョー(老人)は妻が浮気している現場を目撃し、相手の男(聖書のセールスマン)と妻を殺してしまったことも明らかになる。
自分が殺した妻の幻影に苦しめられたジョーは、神に祈りをささげる。
ラスカルにもう休んだ方がいいと言われたジョーはベッドに横たわった。
しばらくして、眠りに落ちた老人だったがすぐに目を覚ましラスカルの名を呼んだ。
感想
2回目の鑑賞の方が面白い
入り組んだ構造になっており話の内容がわかりづらい(特に一回目の鑑賞時)作品です。
ストーリーを一言で言うなら、ある男が自分が過去に犯した罪(殺人)に毎日苦しめられ続けている話です。
老人の住む小屋を訪れるジョーは老人自身の投影です。そんなジョーに向かって老人は聖書のセールスマンを拷問した話や妻との思い出話を語ります。こうしたセリフから、老人が罪の意識とどう向き合っているか、あるいはどう折り合いをつけているかといった、彼の頭の中を知ることができます。
すべてが老人の内面を現したものであることは終盤で明かされるので一回の鑑賞だとサラっと流してしまうディテールもあります。自分の罪に苦しめられる老人の話であるという前提で鑑賞に臨める2回目以降は格段に面白くなりますので、ぜひ。