「レフト -恐怖物件-」映画感想ネタバレ(8/10点)刺さる人には刺さるはず

今回は「レフト -恐怖物件-」を鑑賞しました。

ある男性が妻と娘と休暇を過ごすため別荘を訪れるが、そこで恐ろしい目にあってしまう…というホラー映画。

主人公のキャラに自分を重ね合わせてみられたので個人的には楽しみましたが、ホラー映画としての恐怖感は足りない作品です。

個人的な評価は8/10点です。

作品情報

監督:デヴィッド・コープ
出演:ケヴィン・ベーコン、アマンダ・セイフライド、エイヴリー・エセックス、コリン・ブルメノー、ローリ・アン・リチャーズ
原題:You Should Have Left
製作年:2020年
製作国:アメリカ
リリース:2021-02-03
上映時間:93分
映画サイトでの評価:「IMDB」5.4/10点、「フィルマークス」2.9/5点。

ストーリー紹介

[su_spoiler title=”ストーリーの流れを知りたい方はこちらをクリックしてください。(ネタバレを含みます)” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]
中年男性のセオは若い妻スザンナと結婚しており、ふたりには幼い娘のエラがいた。

女優であるスザンナの撮影がロンドンで行われることになり、ネットで見つけたウェールズの田舎の別荘を家族揃って訪れる。

セオは家族との休暇を楽しみつつ瞑想や日記にも取り組んでいた。というのも、過去にセオの元妻が風呂で溺死し警察や世間からセオが犯人ではないかと疑われるというツライ経験があり、メンタルを安定させるために瞑想や日記を日常的に活用していたのだった。

そんななか、セオはスザンナが浮気をしていることを知る。スザンナは浮気を認め、車で別荘を離れ1日だけ別の場所で過ごすことになる。

その後、セオは別荘でエラと過ごしていたが、エラが突然姿を消してしまう。セオは、エラを必死に探し回るが、それまでなかった部屋や廊下が出現するという不可解な出来事が起こる。

エラは、ある部屋で帽子をかぶった謎の男と出くわし叫び声を上げる。それを聞きつけたセオがエラを発見する。

セオは、すぐにその別荘を離れようとスザンナに電話を掛けるがつながらず、近くの商店の店主にタクシーを呼んでほしいと電話する。その店主によるとこのあたりにタクシーは走っていないという。その店主はセオたちが滞在している別荘の話を始める。

言い伝えでは、別荘の立つ場所にはかつて悪魔が魂を集めるために建てた塔があった。その塔は神によって壊されたが悪魔はそのたびに新しい家を建てた。その家の借り手の中には、2度と立ち去らないものもいる。借り主がその家を選んだのではなく家が借り主を呼び寄せている可能性もある…とそんな話を店主から聞かされる。

セオはスザンナの帰りを待つのをやめエラと徒歩で最寄りの村を目指すことに。しかし、しばらく歩いたところでもとの別荘にたどり着いてしまう。屋外は異常に寒く仕方なく別荘に入りそこで一夜を過ごすことに。

就寝しようとセオとエラがベッドに横になったところ再びエラが姿を消してしまう。一方、セオはセオたち家族が別荘で過ごしている過去の場面を断片的に見てしまう。なんとか過去の場面から抜けたセオは、地下室にたどりつきそこで以前も見た謎の男を発見する。その老人(ステットラー)はセオと同じ容姿をしていた。セオは娘を返してほしいと懇願するが、ステットラーは娘の枷になっているのはセラだという。

セオはエラをその別荘から解放させるため自分一人でそこにとどまることに決める。

翌日、スザンナが別荘に戻ってきたときにセラは元妻が溺れる際に居合わせていたが助けなかったことを告白する。

後日、その別荘は再び「宿泊可」の物件となり罪を犯した誰かが借りるのを待ちかまえていた。

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感想

・主人公に共感できれば楽しめるはず

セオという中年男性が家族とともに田舎の別荘を訪れるが、建物の形状が変わるなどの不可思議な出来事が起こった上に、地下室に潜む謎の男に娘を捕らえられてしまう・・・というホラー映画。

人間の内面を比喩的に描いた心理ホラー的側面が強い作品です。家の中に人影が見えるとか心霊ホラーっぽいシーンもありますが全体的に恐怖度はそこまで高くありません。建物の形状が変わるというのが見どころっぽいですが、そこも別に怖くはないし…という。

それでも僕は結構好きな作品です。過去のツライ経験をした主人公セオが苦しみから解放されようと瞑想をやっているんですが、そこが自分とかぶっていて見えまして…。僕はセオほどのトラウマ級の出来事を経験したわけではありませんが、生きていて虚しくなってきて気分が落ち込むことがあります。だからそんなときには瞑想をやっているわけです。瞑想に取り組むセオを見て「自分の仲間だ!」と・・・。

僕のように主人公に自分を重ねることが出来なくても、いいところは他にもあります。まずはユーモアですね。シリアスなんだけどユーモアを感じさせるセリフや俳優たちの演技のおかげで独特の空気感を醸し出しています。

セリフで言うと、セオが妻スザンナと悪夢について話す場面。セオが超怖い夢を見て起きた後すぐに、スザンナから彼女の見た悪夢の内容を聞かされる。それを聞いたセオがぼそっとつぶやくセリフ、「俺よりマシだ」とか。ここはケヴィン・ベーコン氏の表情も絶妙で思わず笑ってしまいます。スザンナがスマホを2台持ちしていることから浮気がバレて車で別荘を去る場面で、セオの「スマホは2台持ったか?」という皮肉たっぷりの一言もイイ。同じくスマホ関連でいうとセラと娘が一緒にいる場面でスザンナに電話を掛けるがつながらず、娘が「もう一つの携帯に掛けたら?」とセラに言って、セラは「番号を知らない…」と答える。ここは気まずいけど笑える場面ですね。

俳優の演技でいうとケヴィン・ベーコン氏のヨレヨレな風貌とか言動とかも面白いですが、スザンナ役のアマンダ・セイフライド氏が更にいいですね。ちょっと説明しづらいですが、普通のことを言ってるのになぜかユーモラスさを感じさせる絶妙な演技をしていると感じました。さっきユーモアを感じさせる描写が多いと言いましたが、この映画のバランスって悲喜劇っぽいんですよね。だからこのアマンダ・セイフライド氏もそれに合わせた演技をしているのではないかという僕の予想です。あと、夫婦の子供エラがセオを慰める場面とかおもろかわいくてとてもイイ。

最後に付け加えると、日記に見知らぬ落書きがあった、とか、別荘を離れるとき建物の中から人影が見ていたといったストーリー上の謎が回収されていく脚本もギミックとしてなかなか楽しめるものになっていました。

まとめ

恐怖感は足りないけど個人的に主人公にかなり感情移入してしまったホラー映画。

ホラー的な恐怖感はそこまでではありませんので、そこを期待して鑑賞するとガッカリするかもしれません。

人生は耐え難いものだと常々思っている方なんかは僕のように主人公に肩入れして見ることができるかもしれません。

というわけで評価は8/10点としました。

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