「ナイトライド 時間は嗤う」映画ネタバレ感想 他人事だけど他人事じゃない

映画「ナイトライド 時間は嗤う」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

ヤクの密売人が人生をかけた最後の大口取引を行う姿をワンカット長回しで描いたサスペンス映画。

ヤクの密売人であるバッジは裏社会から足を洗い真っ当なビジネスで生きていくことを決意。大金が手に入る大口のヤク取引を画策する。しかし、弟分の犯したミスのせいで金を借りていた闇金業者から命を狙われることになってしまい・・・。

2021年製作/97分/イギリス
原題:Nightride

主人公のバッジを演じたのはアイルランド出身のモー・ダンフォード。

 

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あらすじ

足を洗うための大きな取引

ヤクの売人バッジは裏社会から足を洗い、知り合いのグレアムと真っ当なビジネスを始める予定だった。

彼は、ある日の夜、ビジネスの立ち上げ資金を手に入れるため最後の大口取引を始める。

恋人のソフィアのツテで知ったウクライナ人からヤクを手に入れ、それを高額で売って大金を手に入れるという計画だった。

バッジは闇金業者のジョーからヤクの買い付け資金、10万ポンドを借りるため車を走らせた。しかし、後ろから尾行されていることに気づく。

そこでバッジは知り合いのグレアムに電話をかけ、代わりにジョーから金を借りてもらうことにした。そして、その金を自分の弟分であるレフティとビーカーに受け取らせ、その資金でウクライナ人からヤクを買わせた。

ヤクを積んだ車が盗まれる

しかしそのあと、レフティとビーカーの不注意でヤクを積んだバンが盗まれてしまう。

バッジは盗まれたバンを見つけ出すため街中を車で走り回ることに決める。ヤクの取引相手のフィリックスに取引時間が遅れることを告げると、フィリックスは怒り出し交渉が決裂してしまう。

バッジのもとにジョーから借金返済の電話がかかってくる。ジョーはバッジが買い手に逃げられたことを知っており、バッジを暗に脅してきた。

バッジはずっと後をつけてきていた車に嫌気がさし、自分の車を停車させ相手の車に駆け寄った。するとそこには知り合いのトロイが乗っていた。トロイはジョーに依頼されバッジを尾行していたことを白状する。

トロイは、ある男を殺害すればジョーへの借金をチャラにできるとバッジに話した。

バッジはターゲットの男・スカラーの家へ押し入り、銃を突きつける。スカラーもバッジと同じヤクの売人で、ジョーから借金をしてある人物からヤクを仕入れていたがまださばき切れていない、という状況だった。

車を盗んだ犯人が見つかる

スカラーを殺そうとしていたバッジの元へ、バンを盗んだ犯人を見つけたという連絡がレフティから入る。ヤクが取り返せそうだと考えたバッジはスカラーがヤクを仕入れた相手であるリンゴと取引を行うことを思いつく。スカラーにリンゴを紹介してもらい15分後の0時に取引を行うことになる。

しかし、金を返さないバッジを脅すためジョーがグレアムを拉致してしまう。

絶体絶命のピンチに陥ったバッジのもとに、知り合いの少女コズから、盗まれたバンを見つけたという連絡が入る。リンゴとの取引はコズとソフィアに任せ、バッジはトロイが待つ場所へと向かった。そして、トロイにもう少しすれば金が返済できると伝え、グレアムを殺すのを待つよう頼んだ。

借金返済のタイムリミットが迫る中、トロイはバッジに銃口を向ける。そこへ、バンが到着し、ソフィアがトロイに金を渡す。

借金を返済したことでグレアムは解放され、バッジは6万ポンドを手に入れた。

感想

身に覚えありだからこそ

ヤクの密売人バッジが大口のヤク取引を実行するが問題が頻発!その山積みの問題を知恵と度胸と運で乗り越えていくさまが面白いです。

展開が行き当たりばったりでご都合主義的ではありますが、この映画はそれがむしろプラスに働いています。主人公は無策で場当たり的に動くわけですが、それってまさに観客であるぼくのことじゃね?と思うわけです。

「最終的に上手くいったとはいえあの時あんなやり方でよく成功したな・・・」と後から振り返って怖くなったこと、皆さんもあるんじゃないでしょうか?

本作はそういうぼくたちの過去のゾッとする経験を思い出させてくれるからこそ、バッジの身に起こることが他人事には思えず、ずっとドキドキしながら鑑賞するハメになるのです。

電話かけまくり映画の不親切さ

主人公がいろんな人に電話をかけまくるのが特徴の本作。画面に登場するのはほぼ主人公だけで他の人物は主人公とかわす電話口の声だけの出演となっています。

そんな本作を観てこの手の電話かけまくり系映画はわかりづらく不親切であると改めて思いました。

このキャラと主人公との関係は?

電話の向こうで今何が起こっているのか?

そんなことに想像力を働かせながら観ると話の展開がわかりづらくなるし、何より観ていて疲れます。

話の内容自体は面白く好きな映画ですが、上記の点でのマイナスが大きいのも事実。その意味でいうとストーリーを把握した状態での2回目以降の鑑賞はさらに面白さが増してくるタイプの映画です。

以上が「ナイトライド 時間は嗤う」のレビューでした。

本作を観て思い出したのはトム・ハーディ主演の「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」。あちらも車に乗った男が電話をかけまくる姿を映し続ける内容でした(うろ覚え)。人生誰でも魔が差す時ってあるよねとしみじみと主人公に共感した良い映画でしたのでおすすめです。