「犯罪配信」映画ネタバレ感想 胸糞注意

映画「犯罪配信」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

ネットの動画配信上で男に襲われそうな恋人を助けようとするスリラー映画。

求職中の青年ドンジュは自分の恋人がある男の生配信に出ていることを知る。恋人は男に眠らされまさにこれから乱暴される姿を全世界に公開されるところだった。ドンジュは恋人を取り返すべく、男の求める通り課金をするが・・・。

2022年製作/90分/G/韓国
原題:Live Stream

あらすじ

ある男による生配信がスタート

テレビ業界への就職活動中だった青年ドンジュにはスジンという恋人がいた。交際歴は浅いが早く結婚したいと思っているほど愛していた。

ある日の夜、ドンジュは自宅においてあるパソコンに謎のリンクが送られてきたことに気づく。まもなく、勝手にそのリンクが開かれ、あるライブ配信の画面が映し出された。

ジェントルマンと名乗る男が部屋の一室から視聴者に向けて挨拶をする。するとその背後にドンジュの恋人スジンが写りこんだ。スジンはジェントルマンとは知り合いで、ドンジュの就職先を斡旋してもらうために彼の元を訪れたようだった。

スジンを助けるために

ジェントルマンはそんなスジンを睡眠薬で眠らせる。その狙いは、意識を失ったスジンに暴行を加える姿を配信して、視聴者を楽しませること。

ジェントルマンはこの続きを見たければ課金する必要があると視聴者に告げる。ドンジュはジェントルマンの動向を監視するため、指定された30万ウォンを課金した。

ドンジュはさらに課金することで、スジンを解放させるための交渉を行う。ジェントルマンは返してほしければもっと多額の課金をしろと告げた。

警察への通報を阻止される

資金を多く持たないドンジュはパソコンを持って家から出て警察署に向かう。ジェントルマンはドンジュのパソコンをハッキングし、そのカメラ映像と音声を配信画面上で共有する。ドンジュの行動は筒抜けとなり、それを邪魔しようとする視聴者も現れはじめる。ジェントルマンは警察署の前まできたドンジュに「通報すればスジンにさらに危害を加える」と脅す。通報を取りやめ自宅に帰れば何もしないというジェントルマンに従い、ドンジュは仕方なく自宅に引き返した。

ドンジュはジェントルマンにスマホもハッキングされ使えなくされてしまう。

そんななか、ドンジュの顔から個人情報が特定され、その姉の居場所までもがネット上で拡散される。ドンジュの姉をスマホで撮影・生配信してお金を稼ぐ者も現れた。やがて姉は後ろから襲われてしまうが助けを求めなんとか無事だった。

ドンジュの反撃

ドンジュの家に友人のジュナがやってくる。ドンジュはジュナにジェントルマンの生配信を録画させる。それを証拠として警察に通報するよう頼むが、それを拒否したジュナはスジンを見捨てろと言い放つ。

ジェントルマンのある発言から友人のミニョクがスジンにアプローチしていたことを知ったドンジュ、しばらくして家にやってきたミニョクに暴行を加え殺してしまう。

ドンジュはジェントルマンを殺人に加担した共犯者だと脅し、殺人罪に問われたくないのであればスジンを解放するよう言った。

そんなドンジュの頭をジュナが空き瓶で殴る。すると死んだはずのミニョクが生き返りジュナを制止した。実はミニョクの死は演技だった。ドンジュとミニョクはひそかにメッセージで打ち合わせをしていたのだった。

そのことを知らないジェントルマンはスジンに注射を打ち、多額の金を払ったひとりの視聴者にスジンを引き渡すと発表。そこで配信が終了してしまう。

生配信の真実

しばらくして、再び配信画面にジェントルマンが登場する。ドンジュがミニョクを殺す芝居をしていたことはジェントルマンに知られていた。ドンジュはデスクにおいてあった時計にカメラが仕掛けられていることに気づく。それはスジンからプレゼントされた時計だった。

ジェントルマンの後ろで眠っていたスジンが目を覚ます。実はジェントルマンとスジンはグルだった。ふたりは動画配信を行うことで、女性がひどい暴力を受ける動画をみて楽しむ者たちに仕返しをしていたのだった。ふたりにはそれぞれ暴力をふるわれる動画をネット上に拡散された身内がいた。ドンジュだけでなくジェントルマンの配信を観ていたすべての視聴者たちはその姿を隠し撮りされていたのだ。

ジェントルマンは視聴者たちの姿を捉えた動画と彼らの個人情報を世界中に公開することを決める。唯一、スジンを助けるために行動したドンジュは、その家族が特定されない処置と、課金したすべてを返金されることとなった。

後日、ジェントルマンが宣言した通り世間に視聴者の顔と個人情報が晒され、世間で大きく取り上げられるニュースとなる。そのなかには、財界関係者や宗教関係者が含まれていたという。

感想

現代社会の闇

本作の主人公ドンジュは早く仕事を見つけ、恋人のスジンと結婚したいと考えていた。しかし、ある日ジェントルマンという男がスジンを眠らせて襲おうとする生配信があることを知る。ドンジュはあらゆる手段を使ってスジンを取り戻そうとするが・・・。

この手の「ネットの闇」系スリラーはいくつか点から個人的には大好物です。

・ネット文化特有のバカなノリのおもしろさ

・調子乗りヤロウが痛い目を見る痛快さ

・匿名ゆえに暴走しがちなネット住民たち

観る前は本作もそれ系のスリラーかなと期待し、実際に上記の要素がある作品ではあるのですがなんせ題材が題材だけに無邪気に楽しむことはできませんでした。カジュアルなネットの闇スリラーとは一線を画す社会派の一本となっています。

ネット上にある違法動画を見ることに対する罪悪感・加害者意識の薄さ、また、自分は違法動画を観ないがそれを観る仲間を黙認することへの痛烈な批判が込められています。

また、一枚の写真から個人情報が特定されたり、金のために他者を無断で撮影する大衆が出てきたり、匿名ゆえに倫理観が欠如したネットユーザーがいたり、とネット文化の恐ろしさも描いています。

このように本作は現代のネット社会の在り方を問い直す作品に仕上がっています。

もちろん劇中のような違法動画を見ないにしても、ネットにどっぷりとハマっている方ならば本作が提示するネット社会への批判にギクリとしてしまうはず。(当然自分もそのひとりです)

ネット上の自分ってハタからこんな風に見えてるんだと、痛いところを突かれた気まずーい気持ちになりたい方は必見です!