「アウェアネス 超能力覚醒」映画ネタバレ感想 超能力バトルがたのしい


アマゾンプライムで独占配信中の映画「アウェアネス 超能力覚醒」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

2023年製作/113分/スペイン
原題:Awareness

あらすじ

超能力を持つ少年イアン

幻覚を見せる超能力を持つティーンエイジャーのイアン。その力を使い父親のビセンテと協力し窃盗で生計を立てていた。しかしある日、窃盗行為がバレて警察に追われる騒動に発展。逃げ切ることに成功するが、その騒動を聞きつけた謎の男がゲームセンターにいたイアンのもとにやってくる。

その男がなりふり構わずイアンをとらえようと迫ってくる中、ある組織の人間がイアンを匿った。

その組織「エージェンシー」は、イアンとビセンテを彼らの施設に連れて来た。エージェンシーの博士であるアドリアナいわく、さきほどの謎の男は超能力者集団アウェアネスのパーシーバーと呼ばれる能力者だという。能力者であるイアンを仲間に引き入れたい、というのがパーシーバーがイアンを襲った理由だった。

アウェアネスはその能力を使って国の政治を意のままに操る裏の権力者であり、エージェンシーはそんなアウェアネスの独裁政治を食い止めるべく戦う組織だった。

アウェアネスに抵抗する力が欲しかったアドリアナは、イアンに自分たち側についてほしいと頼む。イアンの血液の製剤があれば、超能力を生むこと、そして、それを封じることができるのだ。イアンはアドリアナの申し出に応じず、ビセンテに会わせるように訴えた。

ビセンテと再会したイアンはビセンテが自分の父親ではないことを知る。ビセンテの頭の中にアクセスし、エージェンシーの研究所から赤ん坊のイアンをビセンテが誘拐する過去のビジョンをみたのだった。

イアンは自分の過去を探る

その後、ひとりで部屋にいたイアンのもとにエージェンシーのエステルという女性がやってきて一緒に逃げようと言う。イアンはエステル、ビセンテとともに施設から逃げ出し、モーテルの一室に身を隠す。幼少期の自分と母親が暮らしていた施設がワルシャワにあると知ったイアンはエステルと現地に向かった。

パーシーバーもイアンたちの後を追ってきて仲間に引き入れようとある話をはじめる。パーシーバーいわく、超能力を操る能力者が生まれたのは第二次世界大戦の極秘プログラムによるものだという。コミンスキーという博士が製剤を投与し能力を開花させた者たちはスパイとして活動。しかし、冷戦が終わり政府の脅威となった能力者は次々と抹殺されていった。それに抵抗したのがミュールと呼ばれる伝説の能力者だった。ミュールは、相手の体を思い通りに操ることができる「サードパワー」を持っていた。ミュールはアウェアネスを設立し生き残った能力者たちの生活を支えたという。

エージェンシーの兵士がイアンたちのもとに迫るなか、パーシーバーは自分がイアンの父親であると告げたのち、自ら囮となりイアンとエステルを逃がした。

パーシーバーはエージェンシーに捕まり施設に囚われてしまうが、そこでサードパワーを発揮し、逃げ出すことに成功する。つまり彼こそがミュールだったのだ。

サードパワーを解放する

マドリードにあるミュールの家にやってきたイアンは植物状態の母親ウルシュラと再会した。ミュールいわく、ウルシュラは製剤の構造を暗号化しイアンの記憶に移植したという。イアンがそれを思い出すことができれば製剤を使って新たな能力者を生み出し、エージェンシーをつぶすことができるとミュールは訴える。

そのころ、エージェンシーが家に突入してくる。イアンはサードパワーを開花させ、エージェンシーの兵士を次々と殺していく。自分の母親を植物状態にしたエージェンシーへの怒りがたまったイアンは、アドリアナを操り銃をくわえさせた。ビセンテはイアンを説得し殺しをやめさせようとする。すると、ミュールがビセンテを操り自殺させてしまう。イアンはビセンテが自分を誘拐したのは、ウルシュラの頼みであったと知る。ウルシュラはミュールがイアンの力を悪用することを恐れ息子を彼から遠ざけたかったのだった。

イアンはエステルを人質にして逃亡したミュールの後を追った。ここで、エステルが実在の人物ではなく、以前からミュールがイアンにみせていた幻覚であることが判明する。イアンは、エステルを盾にするミュールに向けて銃を撃って殺した。

感想

視覚的に楽しいバトルシーン

バトルシーンは観客を楽しませる視覚的な工夫が盛り込まれていました。たとえば、VR体験施設での格闘。VRゴーグルと銃型コントローラを身に着け、ゲームを楽しんでいる一般人のなかで、主人公側と敵側がバトルを繰り広げます。ゴーグルをかぶっている一般人は自分の近くで本物の戦闘が行われていることに気づかない、というシュールさがありユーモラスで笑える場面です。

また超能力を使ったバトルのなかには、相手を欺く知的なものがあったりと、スタイリッシュでカッコよいです。特に気に入ったのは、モーテルの部屋に敵がやってくるシーン。相手から自分が見えないように部屋の内装ごと別のものに変えてやり過ごそうとします。ほかにも、主人公が、相手の体を直接操るサードパワーを使って大量の一般人を横にはけさせるシーンや、敵がサードパワーで一般人を操り主人公と戦わせるシーンなどちゃんとバトルに飽きが来ないようなひと工夫が常に用意されています。そういえば、いわゆる分身の術を使って敵をだますなんていうシーンもグッドでした。

ストーリーは感動的だが気になる点も

主人公とその父親の絆を描いたストーリーには心が動かされました。実は彼らの間には血縁関係がないということが明らかになり、主人公が父親に不信感を抱き拒絶する展開を経て、血は繋がっていないが父親はずっと息子のことを思っていたことを知るオチは涙なしには観ることができません。

このように親子の物語としては結構見ごたえがあるのですが、一方で気になる部分もありました。それが、敵勢力アウェアネスについての説明が不足している点です。アウェアネスは国を裏側から操る真の権力者であるという設定が語られるのですが、実際に彼らがどう国を操っているのか、あるいはその結果世の中にどんな悪影響を及ぼしているのか、といった具体的なエピソードがありません。そのため、アウェアネスが主人公を仲間に引き入れることで組織の力を増していこうとするというストーリーの根幹部分にスリルを感じられません。

というわけで、気になった点もあげましたが、超能力バトルは視覚的に楽しく一見の価値ありです。