「バイオレンスアクション」映画感想(6/10点)原作との違いは?漫画版と映画版を比較してレビュー!

どうもこんにちは、ジャケ借りくんです。

今回は8月19日に公開された橋本環奈主演の「バイオレンスアクション」を観てきました。ビッグコミックススペシャルの同名漫画が原作で、僕は漫画の方も読んだので映画を原作と比較して語っていきます。

具体的には、

・原作のどの部分が映画に反映されているのか

・内容を深堀りするため原作は読んでおくべきか?読んでおくとしたら何巻までか?

・原作と比べて映画版はどうだったのか

ということを語っていきます。

映画と原作の比較

昼間は専門学校に通う菊野ケイには指名制の殺し屋という裏の顔があった。ある日、ケイはあるヤクザ組織の壊滅を別のヤクザから依頼される。難なく任務を遂行したケイだったが、この件がきっかけでヤクザ同士の抗争に巻き込まれていく。また、以前バスの中で偶然出会って気になっていたテラノが実はヤクザの金庫番で、彼が金を持ち逃げしたことから命を狙われていることを知ったケイは・・・。

映画版の話は殺し屋ケイの物語でありつつ、ヤクザ組織(伝馬組)の内部抗争が大きく取り上げられていて、アウトレイジとかのヤクザ抗争モノのニオイも感じる作品でした。

原作でいうと、伝馬組というヤクザ組織は出てくるものの、映画で描かれているヤクザ同士の抗争エピソードはでてきません。

原作からキャラやエピソードをつまみながら、独自のお話を作り上げた映画オリジナル脚本と言えるでしょう。

というわけでここからは本作が原作のどの部分を反映させているかを紹介します。

まず、主人公のケイはほぼそのままのキャラクターとして描かれています。またケイの仲間であるラーメン店の店長、運転手のヅラさん、ケイに恋心を抱く渡辺なども原作のままです。

映画版で最重要キャラといえるテライは1巻の冒頭エピソードに出てきます。ヤクザの会計士で金を持ち逃げしたこと、ヤクザから依頼を受けたケイがテライを追い詰めるシーン、テライが簿記の勉強を教えるシーンなど原作にあった要素は映画でも描かれています。ただ、ケイとテライがいい感じの関係になる展開は原作にはなく映画オリジナルです。

映画で最強の殺し屋として強い印象を残したみちたかくんも原作に登場します。彼は伝馬組の殺し屋で、この点は映画通りです。原作ではヤクザの金を横領して逃げた女性をケイが警護中にみちたかくんがしつこく追いかけてきます。映画にあった、ケイやヅラさんたちが乗った車をみちたかくんが追いかけてくるカーチェイスシーンは原作のケイと女性の車をみちたかくんが追ってくるシーンをアレンジしたものになっています。

映画でケイの仲間として戦うスナイパーのだりあも原作にいたキャラです。映画では、木下組のスナイパー金子に両親を殺され、殺し屋の世界に引きずり込まれた暗い過去を持つキャラとして描かれています。原作では、だりあの両親を殺し彼女を殺し屋として育て上げた深見という男がおり、金子のキャラのもとになっています。また、5巻にだりあとサシで殺し合いをするミズノという男がいて、彼はだりあをスナイパーとして育て上げた師匠です。映画で金子もだりあとスナイパー勝負を望んでいるっぽい描写があったのでおそらくミズノも金子のもとになった人物です。

ここまで、原作がどのような形で映画に反映されているかについて語りました。

では、本作を深く理解するために原作を事前に読む必要はあるか?ということですが、その必要はありません。上述の通り映画版はほぼオリジナルストーリーなので、原作を読んでなくても全く問題がありません。

もし、映画で出てきたエピソードやキャラが原作ではどう描かれているか知りたいのであれば、3巻まで読んでおけばOKです。

感想

さて、ここからは映画の感想です。原作を事前に読んだうえでの鑑賞なので、両者を比較する視点で語っていきます。

ぶっちゃけいうと、映画「バイオレンスアクション」、あまり面白くありませんでした。上映時間111分がめちゃくちゃ長く感じてしまいました。体感でいうと2時間40分ぐらいの作品を観た感じです。

まぁ、良い点もありましたのでそちらから書いていきます。

本作はピンク髪のゆるふわ女子が実は凄腕の殺し屋だった!という普段の姿と裏の姿のギャップが楽しいというコンセプトの同名漫画の映画化です。映画版では主人公の菊野ケイを大人気俳優の橋本環奈さんが演じています。序盤、ある任務地に向かって歩くケイの後ろ姿の印象的なショットがあるのですか、コイツが凄腕の殺し屋ってマジか?!と確かに驚いてしまう衝撃のショットでした。ものすごく脱力した歩き方やファンシーでポップなファッションのおかげでまったく殺し屋には見えません。それが任務がはじまると凄まじい身のこなしで次々と敵を殺していく。先ほど言ったギャップの面白さを序盤で観客にしっかりと見せつけてくれてこの映画への期待が高まっていきます。

肝心の銃撃・格闘アクションも派手さがあり、しかもそれをあのピンク髪のかわいい女の子がこなしているという華やかさが楽しくて心が弾みました。ピンクなどの派手髪キャラを実写化すると安っぽく見えるのが常ですが橋本環奈さんのケイ役は全然安っぽくなくばっちりはまっていたと思います。橋本環奈さんの美貌もありますが、ピンク一色ではなく金髪とのメッシュ?である点も現実に居そうな感じがありましたし。

あとは、登場キャラの配役のセンスがいいなと思いました。ケイ役の橋本環奈さんはもちろん、脇役の渋い顔した傭兵とか、なによりヤクザの組長役にお笑い芸人の兵頭さん(すべらない話でおなじみ)をキャスティングするセンスがすごいですね。

ここからはつまらなかった点です。

まず誰にも感情移入できない点です。とにかくキャラを詰め込みすぎです。ヤクザ同士の争いなので○○組の誰々、××組の誰々、□□組のフロント企業の誰々、といった具合でキャラが多すぎて誰に視点を合わせて物語を見守ればいいのかわからなくなっていきます。主人公であるケイも、彼女の抱える葛藤とか過去とかが描かれないので、イマイチ応援する気にもなれません。そもそも原作でもケイのキャラって深く語られているわけではなく、どういう人間なのか見えづらいんですよね。殺し屋をしている理由も謎のままですし。まぁ、つかみどころのない飄々とした主人公というのが原作の魅力だったりするわけですが・・・。

もっとキャラの人数を絞って感情移入できるキャラをしっかりと作って欲しかったです。正直だりあは出さなくてもよかったと思います。原作だとちゃんと背景が描かれた重要なキャラなのですが、映画だと「原作ではレギュラーキャラだから適当に出しとけ」みたいな扱いでかわいそうでした(笑)

つまらなかったところでいうと、アクションもそうですね。上述したように華があって楽しいっちゃ楽しいんですが、荒唐無稽さが悪い意味で目立って安っぽいんですよね。ケイが弾をよけるときの瞬間移動とか、みちたかくんの三國無双ばりに敵を吹っ飛ばす描写とか。なんとなく本格アクションかと思って観たのでけっこうがっかりしました。

あと、アクションのバリエーションが少ないのもなぁ。側宙しながら、ジャンプしながら銃を撃っていつの間にか相手が全滅してる、これの繰り返しです。カットを細かく割るので見づらいし。

あとは、緊迫感のある場面でも平気でギャグを放り込むのも勘弁してほしいです。緊張感がなくなってしまいます。

まとめ

誰にも感情移入できず、アクションも単調で安っぽく、途中でこいつらがどうなろうとどうでもイイと思ってしまいました。

続編ありそうなラストで、すっきり終わってくれないし。

原作の4巻以降の殺し屋集団と島で戦うエピソードを続編でやってくれたら見たいですが、ヤクザモノの続きならあまり見たいと思いません。