「ベニー・ラブズ・ユー」映画ネタバレ感想 あざといチープさを良しとするか


映画「ベニー・ラブズ・ユー」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

魂がこもったぬいぐるみが愛する持ち主に近寄る人間を次々と手にかけていくホラー・コメディー。

両親の死去に伴い、自宅から引っ越すことにしたジャック。いらないものを整理するなかでベニーという子供の頃から持っていたぬいぐるみを処分することにする。するとベニーがひとりでに動き出し、ジャックの周りにいる人間を皆殺しにしていく・・・。

2019年製作/94分/イギリス
原題:Benny Loves You

あらすじ

誕生日に起きた悲劇

親と同居中で、おもちゃ会社勤務のジャックは35歳の誕生日を迎える。ジャックの誕生日パーティの準備中に両親ともに不慮の事故で亡くなってしまう。

それから10か月後。ジャックは仕事でピンチに陥っていた。勤め先のおもちゃ会社トイボックスの社長から、売れるおもちゃのアイデアを出さないことをとがめられ、すぐに成果を出さなければクビにすると告げられてしまったのだ。

ぬいぐるみが動き出す

親の家を売却することに決めたジャックは引っ越しの準備を始める。いらないものを処分するなかでふと目に付いたベニーという赤いぬいぐるみを手に取り、想いを馳せる。ベニーはジャックが子供の頃、いつも一緒に過ごしていた思い出深いぬいぐるみだった。

ジャックはそんなベニーをごみ箱に捨ててしまう。すると、ベニーはひとりでに動き出し、他のぬいぐるみたちを引き裂いてしまう。

後日、さらにベニーはジャックの会社の営業顧問デビッドを殺しその遺体をバラバラに刻んでしまう。そこへ運悪く2人の警察官が別の事件の聞き込みにやってくる。ぬいぐるみが殺したと説明するわけにもいかず、死体や血痕を隠しその場をやり過ごした。

ベニーはジャックに対し「ベニーは君を愛している」と何度も伝えてくる。デビッドを殺したのは愛するジャックに彼がローンの返済を何度も迫ってきたからだった。ジャックはデビッドの遺体を庭に埋めて殺人を隠ぺいした。

新しいおもちゃのアイデアを思いつく

ぬいぐるみの殺人鬼ベニーに触発され、新たなおもちゃのアイデアが浮かんだジャック。愛くるしいキラーロボットの開発を社長に打診する。いい反応は得られなかったが、それでも毎日ロボットのデザイン案をノートに書き留めていく。そうした日々を送るうちにベニーとの絆も次第に深まっていった。

ジャックは会社の同じ部門で働く女性ドーンと親密な関係となり、家に招き食事をする。同じ日、ジャックは社長から犬を預かっていた。その犬をベニーが殺してしまったことに気づく。ジャックはベニーの存在をごまかすためにドーンの目の前で自分がいま犬を殺したかのように振舞った。そしてその犬を放ったら窓を突き破り犬を引き取りにやってきた社長の車の上に落ちてしまう。

会社をクビになる

こうしてジャックは会社をクビにされてしまう。すると、ベニーはジャックに黙って社長を拉致し家の椅子に縛り付けた。最初はベニーの勝手な行動に戸惑うジャックだったが、社長に暴言を吐かれたことから態度を変え、会社への雇直しと給料アップを要求。そうこうするうちに、ベニーが社長に包丁を突き立て殺してしまう。

ジャックは人を殺しまくるベニーを棺桶に閉じ込め庭に埋めた。

翌日、仕事の用件でドーンが家を訪ねてきて、なりゆきでふたりは一晩を共にすることとなった。

ジャックを独り占めしたいベニー

ベニーは地中から這い出てきてジャックを奪ったドーンを殺そうと、会社へ向かう彼女の車に飛び乗った。会社にもぐりこんだベニーはドーンを殺す機会をうかがっていた。そこへジャックが助けにやってくる。ジャック、ドーン、そして同僚のリチャードは車に乗り込み会社から遠ざかった。会社に取り残されたベニーは、そこにいた会社員たちを皆殺しにしていく。

ジャックの家に避難した3人は、ベニーを待ち受けるため武器やトラップを準備する。一方、ベニーも武器を調達し、ジャックの家に向かってくる。

ドーンはある部屋で小包を発見する。中身はドーンが子供の頃持っていたエイミーという人形で、父が事故死する原因となった忌まわしき代物だった。エイミーをそこに置いたのはもちろんベニーである。エイミーはナイフを持ってドーンに向かってきた。

ベニーとの対決

ベニーもジャックの家に侵入し、ジャックたちが用意したロボットのおもちゃと戦い始める。

リチャードの前にも自分が開発したおもちゃが現れる。リチャードはおもちゃに腹を切り裂かれ、傷口から掃除機で内臓を引っ張り出され死んでしまった。

ドーンはエイミーをめった刺しにすることに夢中になっていた。ふと我に返ると、ベニーに刃物を突き付けられていた。

ドーンを人質にとるベニーに対してジャックはおもちゃ扱いをしたことを謝罪した。ベニーは窓から飛び出て外にいた2人の警官に向かっていく。制圧用の銃で何発も撃たれた結果、その場に倒れ動かなくなった。ジャックも家を飛び出したところで、流れ弾に当たりその場に倒れこんだ。

2か月後、一連の殺人はリチャードが行ったというニュースが流れる。ジャックは罪に問われることはなく、ひっそりと自宅から引っ越していった。

感想

あえてのチープさにあなたはハマれるか?

おもちゃ会社のデザイナー、ジャックが自宅から引っ越す際に捨てようとしたぬいぐるみ“ベニー”に魂が宿る。ベニーは愛するジャックを邪魔する者や奪おうとする者を次々と殺していく。ベニーの行き過ぎた行動に耐えきれなくなったジャックはベニーを始末することにするが・・・。

魂が宿ったおもちゃが人々を殺しまくる「チャイルド・プレイ」系譜のホラー・コメディー映画です。

グロくて汚くて、ブラックで不謹慎なユーモアが含まれるので観る人によってはドン引きしてしまう可能性があります。また、役者の演技も大げさな大根演技で、犬の死体や人の生首があからさまな作り物だったりと、低予算感に拒否反応を示す人も一定数いそうです。しかし、これらの低予算感、もといチープさは「あえて」であり、そこが個人的に面白かったポイントであります。

ベニーがジャックが社長から預かった犬を殺す場面で、死んだ犬が作り物であることがまるわかりだったりするのですが、それがなんともいえない可笑しみを感じます。微妙なニュアンスなので説明は難しいのですが、作り物を本物だと言い張って大の大人たちが演技をしている馬鹿さの面白さとでもいえばよいでしょうか。娘の死体を見て叫ぶ母親の口に手を当てて叫ぶ演技も、わざとらしく過剰な演技をしている「不誠実さ」の可笑しみがあります。(この映画、演技がみんな大げさなのですが、いわゆるシットコムと呼ばれるコメディでよくみる演技で、役者の演技が下手とはまた別の話のような気もします)

出てくるキャラが(僕と同じ)ボンクラばかりなので、観ていて落ち着くというか、リラクゼーション効果もあります。

このようにあえてのチープなつくりを志向している映画でなのでそういう低予算映画なんだなと観ていると、おもちゃ同士の戦闘シーンでは意外とCGのクオリティが高かったりと、そのギャップに予想外の驚きがあり、そこでグッとテンションがあがるのも良かったポイントです。

あざといチープさに乗れるかどうかで評価が分かれそうです。そこに乗れさえすれば、ドぎついユーモアで笑えて、ボンクラなキャラによる癒し効果も体感できて、かなり楽しい鑑賞ができると思いますので試しに観てみるのもアリだと思います!