「離れ離れになっても」映画ネタバレ感想 40年間にわたる4人の人生を描いた濃厚なドラマ

映画「離れ離れになっても」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

ある男女4人を主人公に、彼らの40年間の人生を描いたヒューマンドラマ。

16歳のパオロ、ジュリオ、リッカルドはいつも一緒に遊ぶ大親友同士。パオロがジェンマという同級生と付き合うようになり、4人で遊ぶことも増えていく。そんなある日、ジェンマは母を病気で亡くし、叔母の住むナポリに引っ越していってしまい・・・。

2020年製作/135分/PG12/イタリア
原題:Gli anni piu belli

あらすじ

突然の別れ

パオロ、ジュリオ、リッカルドの3人はイタリアのローマに住む10代の少年。彼らは、いつも一緒に遊ぶ大親友グループだった。

そんななか、パオロが同級生のジェンマと付き合い始める。ジェンマも仲良しグループに加わり4人でドライブに出かけるなど充実した日々を過ごしていた。

しかし、ジェンマの母親が病気で亡くなってしまう。ジェンマは叔母に引き取られナポリに引っ越していってしまった。ナポリで新しい彼氏を作ったジェンマはそれ以来パオロとは疎遠になってしまう。

時が流れ、彼らは大人になり社会人となる。ジュリオは弁護士、パオロは高校の臨時教員、リッカルドは映画雑誌のライター、ジェンマは彼氏との荒れた生活を送っていた。

パオロとジェンマが再会する

ある日、パオロはローマに日帰り旅行に来ていたジェンマと偶然の再会を果たす。一度はナポリに戻ったジェンマだったが、パオロに会いたい気持ちが高まり、彼氏の家から逃げるようにローマへとやってくる。こうしてパオロとジェンマは再び付き合い始めた。

パオロが母親と暮らすマンションに転がり込んだジェンマだったが、母親との暮らしが嫌になりパオロにふたりで暮らせる家を探そうと提案する。しかし、そんなときにパオロの母親が病に倒れる。パオロは母親を見捨てるわけにもいかずどうすべきか悩んでいた。

ジュリオとジェンマの不倫

リッカルドはアンナという女性と結婚する。ふたりの結婚式が開かれ、このとき再会したジェンマとジュリオがパオロに内緒で付き合い始める。

その後、罪悪感を抱いたジュリオは、ジェンマと付き合っていることをパオロに正直に話した。それに怒ったパオロはジュリオと喧嘩をし絶縁することになる。

その後、ジュリオは弁護士としてのキャリアを順調に築き上げていき、どんどん金持ちになっていく。仕事の場で出会ったマルゲリータに恋をしたジュリオは、ジェンマにそのことを伝え別れることになる。

ジュリオの不倫を知ったリッカルドは、ジュリオを罵りふたりはケンカ別れをしてしまう。

ジュリオはマルゲリータとの交際を経て結婚した。

一方、パオロは臨時から常勤教員となり、それを病に伏す母親に報告した。

リッカルドが離婚する

そのころ、リッカルドは稼ぎの少なさのあまり妻に愛想をつかれ息子と家を出ていかれる。妻から多額の養育費を払うように言われ、さらに生活が苦しくなっていく。

息子のアルトゥーロが16歳の誕生日を迎えた日、リッカルドは彼に会うため家を訪れるが妻のアンナから門前払いを食らってしまう。リッカルドはその帰り道に偶然ジュリオと出会う。ふたりは電話番号を交換し後日会うことを約束した。

同じころパオロもまた久しぶりにジェンマと再会する。パオロとジェンマは再び付き合い始めた。

再び仲を取り戻した4人

以前のリッカルドとジュリオの偶然の再会をきっかけにパオロも加えた3人で久々に会うことになる。3人は飲み屋に集まり、大盛り上がりした。飲み会が終わった後、パオロの提案でジェンマの家を訪れ、そこでも団欒の時間を過ごした。

こうして、かつての仲良し4人組は中年になった今再び交友関係を持つようになる。

ジュリオの家で新年のパーティが開かれることになり、パオロ、ジェンマ、リッカルドやその家族が招待された。それぞれの家族同士が顔合わせをして、大いに盛り上がるパーティとなった。

感想

生きるって大変だけど・・・

仲の良い4人の男女がつらい出来事も経験しながら歩んだ40年間を映し出した人間ドラマです。

物語は彼らが16歳のころから始まります。パオロ、ジュリオ、リッカルドは仲が良くいつも一緒に遊んでいました。パオロが同級生のジェンマと付き合い始めてからは4人で青春を謳歌します。しかし、ジェンマが母を亡くし、叔母と一緒に暮らすために引っ越していきます。パオロとジェンマは疎遠になってしまいました。

そこから場面が数年単位でどんどん先に進んでいき、最終的には40年分の人生が描かれます。

彼らの人生は波乱万丈です。パオロとジェンマが再びくっついたり、ジェンマがジュリオと浮気してジュリオとパオロが絶縁状態になったり、職を失ったリッカルドが妻と別れ、息子とも会わせてもらえなくなったり・・・。いろんなつらい出来事やトラブルが彼らの人生に起こります。

そこで描かれていることは観客にとっても身近なものばかりで、劇中の出来事と同じことを経験したという人も多いはず。4人分の40年間にわたる人生を見ることになるので、何かしらのエピソードにグッと感情移入してしまうことでしょう。

個人的にグッと来たエピソードは3つありました。

まず、パオロとジェンマの別れです。愛し合っていたのにやむを得ず引き裂かれたカップルの姿が切ないです。

あと、パオロが臨時から常勤教員になり、それを母親に報告する場面ですね。パオロは4人の中では一番まじめで誠実な人物。そんな彼の夢がかなった場面ですので、思わずうるっときてしまいました。

そして、弁護士であるジュリオが世界を良い方向に変えることこそ生きがいだ、といった感じのセリフを言うところです。僕は、世界を変えるとか、人の役に立つとかそういうのとは無縁の仕事をしているので、心にグサッと来てしまいました・・・。

家庭の事情や男女関係のせいで、バラバラになったかつての仲良し4人組ですが、終盤ではその4人が再び顔を合わせる展開に。お互いに仲たがいがあったりしたけど、何年も距離を取っていたからか、そんなわだかまりも消えて昔のような仲良く盛り上がります。表面上は嫌っていても心の深い場所では相手を好いている感じが爽やかでとてもよかったです。

40年間にわたる4人の人生を見せてくれる豊かな鑑賞体験ができます。

人生ってのはいろんな失敗しくじりを重ねても良いんだと教えてくれているようであり、生きていればどこかで人生が好転するかも?という希望も感じさせてくれました。