「小さき麦の花」映画ネタバレ感想 いとおしい純愛物語

映画「小さき麦の花」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

周りから疎まれながらも農村で仲睦まじく暮らす夫婦の姿を映したヒューマンドラマ。

農家の男性ヨウティエは、障害と持病を抱えるクイインと見合い結婚する。ある日、二人の住む家が取り壊されることになり・・・。

2022年製作/133分/G/中国
原題:隠入塵煙 Return to Dust

あらすじ

厄介者同士の結婚

舞台は小さな農村。

農家の男性ヨウティエは兄が持つ家で暮らしていた。兄は自分の息子に早く結婚をしてほしいと思っており、その邪魔になるヨウティエは厄介な存在だった。ヨウティエは、兄が持ち込んだ結婚話によってある女性と結婚することになる。その女性は持病と障害を抱えるクイイン。彼女もまた家族から厄介者扱いされて結婚させられたのだった。

こうしてヨウティエとクイインは夫婦として共に暮らし始める。ふたりは、小麦をはじめとする農作物を育てながらだんだんと絆を深めていく。

次々と取り壊される家

そんななか、ヨウティエとクイインが暮らす村にある知らせが届く。それは国が農村政策の一環として住環境整備を進めており、空き家を取り壊せば補償金がもらえるというものだった。こうして村のあちこちで空き家の取り壊しが始まることとなった。

空き家を借りて住んでいたヨウティエとクイインの住居も取り壊されることとなり、ふたりはまた別の空き家に引っ越した。しかし、いずれ引っ越した先の家も壊される未来が見えていたため、ヨウティエとクイインは自分たちで新しく家を建て始める。

村から引っ越すことになる

やがて、家が完成し、えていた小麦も収穫の時期を迎えたころ、ヨウティエのもとに彼の兄がやってきた。夫婦で住めるマンションを手配したからそこに住めとヨウティエは兄から言われた。農家としての生活を捨てることになるため乗り気がしないヨウティエだったが半ば強引に話を進められ、そこへ移り住むことになる。

そんな折、ヨウティエを探し歩いていたクイインが水路に落ち溺死してしまう。悲しみに暮れるヨウティエは飼っていたロバを野生に返したうえ収穫した作物を売り払い、マンションへと引っ越しを行う。

ヨウティエとクイインが建てた家は例の農村政策によって取り壊されてしまう。

感想

静かな映画だけど・・・

兄の家にお世話になっている男性と、障害と持病がある女性。それぞれが家族から疎まれ厄介払いのために結婚させられた夫婦の物語です。

この夫婦、キスとかその先の行為が全く描かれません。ただただ、お互いが相手に寄り添い、気遣いながらともに生きていく姿が映し出されます。ただそれだけなのに涙が出そうになってしまいました。

これといった大事件はほぼ起きませんが、ここまでのめり込んで観れたのはこの夫婦の仲睦まじい姿をずっと眺めていたいと思ったからです。鑑賞したあとは心が洗われたような感覚になりました。中国の若者を中心に大ヒットしたという触れ込みも納得です。

ぶっちゃけ、淡々としすぎているので面白くないと感じる人も多そうです。ただ、農村のたたずまいなどのビジュアルは観客を惹きつけます。本当にそういう人にしか見えない役者の顔つきも含め、画面に映るあらゆるものが洗練されていて魅力あふれる空気感や雰囲気を作り上げています。

純愛の物語として素晴らしい作品でした。気になった方はぜひ!