「シルバー 夢の扉」映画ネタバレ感想 明晰夢という題材を使ったファンタジー映画 

映画「シルバー 夢の扉」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

10代の少女が他人の夢に入り込める能力を手に入れたことで起きる騒動を描いたファンタジースリラー。

ロンドンに引っ越してきた女子高校生のリヴは、他人の夢に入り込むという不思議な体験をする。その後、転校先で出会った男子たちと願い事が叶う儀式を行うが、その儀式を行った人間の見た悪夢が現実になりはじめ・・・。

2023年製作/92分/ドイツ
原題:Silber
配信:Amazon Prime Video
配信開始日:2023年12月8日

あらすじ

不思議な夢の体験

母親の再婚に伴いドイツからロンドンにある家に引っ越してきたリヴ。継父やその子供たち(グレイソン、フローレンス)との生活をスタートさせる。

その日の夜、喉が渇いたリヴはキッチンにやってくる。すると、そこで見慣れぬ緑色のドアを発見する。そのドアを開けると明らかに家の中ではない別の空間につながっていた。そこは先が見えないほど長く続く通路の両脇に無数のドアが並ぶ場所(通称:夢の廊下)だった。そのドアのうちの一つを開けると、墓地につながっており、グレイソンやその友人が何やら話をしていた。リヴは彼らに見つかってしまう。そして彼らは「リヴがメイデンかもしれない」といった会話を始める。そのうち、上空で雷が鳴り始めたため彼らは急いで通路まで戻っていく。そこでリヴは目を覚ました。

後日、夢に出てきたグレイソンの友人たちが家にやってきてリヴはパーティに誘われる。この時点でリヴはパーティに参加するつもりがなかった。しかし、その晩の夢で生前の父の姿を見たあと、アナベルという少女と出会い「パーティに行けばまた父に会える」と言われたことでパーティに参加することを決意する。

儀式に参加するリヴ

リヴはグレイソンとともにパーティに赴いた。グレイソンとその友人たち(ヘンリー、ジャスパー、アーサー)がリヴをパーティに招いたのには理由があった。それは、ある儀式を行いそれぞれの願い事を叶えるためだった。

ある日、彼らの友人だったアナベルが「夢の書」と呼ばれる本を見せてきたという。その本には4人の男と1人の生娘(メイデン)を集めよと書かれていた。グレイソンを含む4人の男とアナベルはその本の通りに儀式を行い他人の夢に入り込める力を持つドリーマーとなった。

現在、アナベルは行方不明となり、グレイソンたちは新たなメイデンを探していた。以前、夢のなかの墓地でリヴを見つけた彼らは、メイデンになる素質があるリヴに儀式への参加を頼み込む。こうして、リヴは儀式に加わることになった。ドリーマーになればハロウィンの日までに願い事が一つかなうという。それぞれが、願い事をしていく中、リヴは「また父親と会いたい」と願った。

悪夢が現実になる

儀式を行ってから、グレイソンやジャスパーの見た悪夢が次々と現実に起きるようになってしまう。実は儀式を行うと願い事が叶えられる一方で、悪夢が現実になるという副作用もあったのだった。その後も、アーサーが見た悪夢の通りかれのいとこであるペルセポネが薬物の過剰摂取で亡くなってしまう。

夢と現実の区別がつかなくなり現在は精神病院に入院しているアナベルが悪夢を巻き戻す方法を知っていることが判明。リヴは夢の中でアナベルと接触を図った。

そのなかで、月が赤く染まるブラッドムーンの夜にメイデンが「夢の書」を破壊することで悪夢が巻き戻ることを知る。

アナベルを病院から連れ出すが・・・

リヴはメイデンというのが自分かアナベルどちらのことか判断できなかった。そこでブラッドムーンが現れる当日にアナベルのいる精神病院からアナベルを脱走させた。しかし、その途中で今自分が夢の中にいることに気づく。アナベルにはめられたのだった。実はアナベルは夢の中でメイデンを殺し夢の世界を支配しようとしていたのだった。

アナベルはリヴを夢の中で殺すためその妹ミア人質にとった。リヴは「夢の書」を奪うため夢の世界入り、湖に張った氷の上に立つアナベルに近づいていく。リヴがアナベルの目の前まで近づいたとき足元の氷が割れふたりは湖に落下。リヴは水中でアナベルから「夢の書」を奪う。「夢の書」からインクが流れ出し文字が消えていく。

リヴはアナベルを連れ、夢から抜け出した。

「夢の書」が破壊されたことでこれまで現実で起きた悪夢はすべてリセットされた。アナベルは救急車で病院に運ばれることとなった。

それから約1年後のハロウィンの日。クラブでの仮装パーティに参加していたリヴは例の緑色の扉を発見する。

感想

おすすめのジュブナイルファンタジー

親の再婚でドイツからイギリスに移り住むことになった女子高生のリヴ。新しく住み始めた家で謎の扉を発見し入ってみると、そこは人々の夢を垣間見ることができる空間だった。他人の夢に入り込めることに驚くリヴだったが、転校先の4人の男子高校生も同じ力を持っていた。彼らに誘われどんな願いも叶えられる儀式に参加することになるが、その儀式には悪夢が現実になるという負の要素もあり、次々と悲惨な出来事が起き始める。自分の見た悪夢が現実になることを食い止めようとリヴはアナベルという少女に助けを求めるが・・・。

ティーンエイジャーグループが出来心でとった行動が思わぬ大騒動となるというジュブナイルホラー・スリラーの一種であり、そのなかでもかなり良くできた作品でした。

夢の世界にでてくる「夢の廊下」と呼ばれる幻想的な空間、そして、夢の世界の超現実的な風景など超現実的なビジュアルにはワクワク感があります。

父親を亡くした主人公のリヴの悲しみも繊細に描かれていてとても感動的です。ほかのキャラクターからも思春期の多感な心の機微が伝わってきて自分の若いころを思い出して切なくなりました。

現実の世界と夢の世界を行き来しながら問題解決に挑む展開はスリリングで、エンタメ作品としてなかなかの完成度です。

アマプラでジュブナイル・ファンタジー系の映画を探している方はぜひどうぞ。