「デスパレートラン」映画ネタバレ感想 息子を想う母親の疾走

映画「デスパレートラン」のあらすじと観た感想を紹介します。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

学校での銃撃事件に巻き込まれた息子を救うべく現場に急ぐ母親を描いたスリラー映画。

エイミーは、日課のジョギング中に息子の通う学校で銃撃事件が起きたことを知る。森の中まで来ていたため頼れる交通手段もなく仕方なく自らの足で現場に向かうことになる。やがて、かかってきた警察からの電話で息子が事件の犯人かもしれないと疑念を抱きはじめ・・・。

2021年製作/84分/G/アメリカ
原題:The Desperate Hour

あらすじ

息子の通う学校で銃撃事件が発生

夫に先立たれながらも前を向いて人生を歩んでいたエイミー。ある日の朝、父親の死に塞ぎこみ学校を休むという息子ノアを家に残しジョギングへと出かける。森の中を軽快に走るエイミーのもとに、ノアの通う高校で銃撃事件が起きたとの連絡が入る。

エイミーは、事件の詳細を把握しようと様々な人に電話をかけた。そのなかで、ノアが車で出かけたという目撃情報があったことを知る。

ノアが学校に行って事件に巻き込まれた可能性があると考えたエイミーは、保護者の待機場所に指定された公民館へと向かうこととなる。一刻も早く現地にたどり着くため知り合いに車での迎えを依頼してみるが、都合が合わず仕方なく自分の足で走り始めた。ノアにも直接電話をかけたが、応答はなかった。

ノアが事件の犯人なのか?

エイミーのもとに現地警察から電話がかかってくる。ノアが銃を所持していたかといったことを聞かれたことでノアが銃撃事件を起こしたのではないかと疑念を抱くようになる。ネットでは今回の銃撃事件で生徒が死亡したというニュースが流れていた。

その後、再び警察から連絡が来て、ノアが犯人ではないということが判明する。そのかわり、犯人はノアを含む5人を人質に取り立てこもっているということだった。

エイミーは、犯人が学校に乗りつけた車の情報を手に入れ、そこからロバート・エリスという男が立てこもり犯であると突きとめる。ロバートはネット上にその高校に対する恨みを語る動画をあげており、それが犯行の動機だったと判明する。

犯人と通話するエイミー

エイミーはロバートに電話をかけなだめるが電話がすぐに切れてしまう。その後、エイミーがロバートに電話をかけたことを知った警察から電話がかかってくる。その内容は、警察隊突入の時間稼ぎのためにロバートと通話をしてほしいというものだった。通話で必死にロバートに話しかけるが、気が立っており電話を切られてしまう。

その後、警察隊が学校に突入し、無事にノアを含む人質を助け出した。

凄惨な事件を生き延びたノアは自分の体験をもとに銃社会の恐ろしさを伝えるインターネット配信を100日以上に渡り続けていた。

感想

ヘンな映画だけど・・・

この映画、一応ジャンルがスリラーとなっているのでそのつもりでみているとアレ?と違和感を覚えます。

(スリラー)映画って普通、事件・事故に遭遇した主人公がそれを乗り越えようと奮闘する姿を描くものだと思いますが、本作の場合そういった映画文法に当てはまらない作劇になっているのです。

一般的な映画なら、銃撃事件に巻き込まれた人物を主人公に据え、犯人から逃げたり戦ったりする姿を描きます。

一方、本作は日課のジョギング中に息子の通う学校で銃撃事件が起きたことを知り現場に走って向かう母親という、事件の当事者ではない人物の視点で話が進みます。とはいえ事件の当事者以外の視点で描かれることはほかの映画でもよくみる設定です。

本作がヘンなのはここから。主人公であるエイミーの行動のほぼすべてが事件に直接影響を与えないことです。エイミーがとる行動といえばもっぱらアチコチに電話をかけることですが(笑)、それは「現場に早くたどりつくため」「息子の状況を把握するため」の行動です。事件を解決に導く行動ではありません。こちらとしてはその行動によって物語を前に進めるのが主人公の役割だと思ってみているので、あれ?なんか変な映画だなと思ってしまうわけです。もちろん「息子の身を案じる母親の姿」は痛々しく同情してしまいますが、退屈な場面が多いというのが本音でした。

このようにヘンな映画の作りに戸惑ったりもしましたが、終わってみればよいところもあったなと思います。

アメリカの学校での銃乱射事件といえば現実世界で起きている問題です。実際の事件でも当事者の親族はこんなツライ思いでいるんだなということがズシンと伝わってきました。

そして、エイミーが息子の無事を確認するために協力してくれる周りの人々の存在にもグッときました。

ヘンなつくりの映画なので普通のスリラー映画を期待するとナニコレ?!となること必至です。ただ、個人的に関心度の高いテーマ(銃乱射事件)を扱っているので興味深く観ることができました。

絶対にみるべしとは言えませんが、少しでも気になった方はどうぞ。