「ロードハウス 孤独の街」映画ネタバレ感想 さわやかなアクション映画!なだけじゃない

映画「ロードハウス 孤独の街」のあらすじと観た感想を紹介します。

基本は、だれもが楽しめるさわやかなアクション映画ですが、ときおりダークな一面ものぞかせ、観客の心を揺さぶってくるところが好みの一作でした。

結末のネタバレがあるのでご注意ください。

作品情報

チンピラから嫌がらせを受ける酒場の用心棒として働くことになった男の姿を描くアクション映画。

1989年のパトリック・スウェイジ主演の「ロードハウス 孤独の街」のリメイク作です。

元UFC選手のダルトンは、美しい島にある「ロードハウス」という酒場で用心棒として働くことになる。やがて、「ロードハウス」の土地を買収しようと画策する犯罪組織のボス・ベンに目をつけられたダルトンは執拗な脅しを受けるようになる。ベンの脅しはどんどんエスカレートしていき、町の住人までも巻き込んでいく。激怒したダルトンは、ベンと真っ向から対峙することになる。

2024年製作/123分/アメリカ
原題:Road House
配信:Amazon Prime Video
配信開始日:2024年3月21日

あらすじ

格闘家が酒場の用心棒になる

元UFCファイターのエルウッド・ダルトンは地下格闘技の賞金で生計を立てていた。ある日、ダルトンはフランキーという女性に話しかけられ、彼女の経営する飲み屋の用心棒をやらないかと持ち掛けられる。厄介な連中が連日、店に来て荒らしまわるという。

決めかねたダルトンは連絡先を書いた紙を受け取った後フランキーと別れた。

ダルトンは遮断機の下りた踏切の中に車を停め自殺を図るが、寸前で思いとどまり車を線路から脱出させる。このとき車の後部に列車がぶつかり大破。フランキーの店で用心棒をすることを決意した。

新たな生活がスタート

ダルトンは、バスでグラスキーにあるフランキーの店「ロード・ハウス」に向かった。そして、さっそく店を荒らす地元のバイク乗りたちを撃退。フランキーから港に停泊中のボートを使っていいと言われたダルトンはそこで寝泊まりしながら用心棒として働く生活を始めた。

ダルトンは地元の犯罪集団のボス、ベン・ブラントに目を付けられ、手下をボートに送り込まれる。銃を向けてきたため抵抗すると、相手が海に落ちてワニに襲われる。ダルトンは助けようとするが、それもむなしくワニに食い殺されてしまった。

刑務所に収監中のベンの父からダルトンを追い詰めるように依頼されたノックスがグラスキーにやってくる。

一方そのころ、ダルトンは地元の保安官にここから出て行けと脅されるがそれを拒否する。銃を突き付けられたところを、保安官の娘エリーに助けられる。エリーによると、保安官はベンとつながっていてダルトンを追い出すために協力しているのだという。

町を出ることを決意するダルトン

その日の夜、ベンがロードハウスにやってきて、ダルトンが友人とのUFCタイトルマッチの最中に殴って死なせてしまった過去を掘り返す。ベンが去った後、ノックスがベンの部下を引き連れ店になだれ込んでくる。客も巻き込む大乱闘に発展し、ノックスとダルトンも殴り合いを始めた。最終的に保安官が店に駆けつけ事態は収束したが、ダルトンは打ちのめされており、荷造りを始める。

そんなダルトンをフランキーが呼び止める。そして、ベンがリゾート開発のためこのあたり一帯の土地を買い占めていること、ロードハウスは絶対に売らないことを告げる。

それでもダルトンの気持ちは変わらず町を去ろうとするが、交流があった親子の本屋がベンの部下に燃やされたことを知る。

ベンと対峙する

ダルトンは部下の一人を殺し、別の部下からベンが大きな商談を行う情報を得た。そして、ベンの金を船で運ぼうとしていた保安官代理を捕え、殺人の濡れ衣を着せ金を奪った。

ダルトンのもとに保安官がやってきて娘のエリーがベンにさらわれたと言った。続けてエリーを取り戻すために協力してくれと保安官は言う。

ダルトンはエリーの元カレからボートを拝借し、ベンとその部下が待つボートまでやってきた。

ベンの大金をエリーと交換する交渉中に、ノックスが小型船で近づいてくる。

ダルトンは、前もって用意していた爆弾を起爆した。船への浸水がはじまるなか、ダルトンはエリーを発見し、ふたりは海面に浮上した。しかし、エリーはふたたびベンに捕まり、船でどこかへ連れ去られてしまう。ダルトンはその船に乗り込みベンともみあいになる。ダルトンとエリーは陸へ猛スピードで向かう船から海に飛びこみ、ベンひとりがロードハウスに突っ込んでいった。

ダルトンは大けがを負ったベンをロードハウスの中まで追っていく。そこにノックスが車で突っ込んでくる。ダルトンはノックスと激しい格闘を繰り広げる。その間、ベンはノックスにダルトンを早くヤれと命令を出しノックスに殺されてしまう。

再びダルトンとノックスは戦い始め、ダルトンが尖った棒をノックスに突き刺し勝利した。

町を去る

その場にやってきた保安官は殺人を不問にするからいますぐ去れとダルトンに言った。

ダルトンはグラスキー再建のためベンの大金を本屋に残し、バスで去っていく。

ノックスは病院での治療中にスタッフを暴行し、その場から去っていく。

感想

ある男の再始動を描くさわやかなアクション映画

過去に起こした重大なやらかしに苦しむ男ダルトンが人生の再スタートさせる物語。

美しい列島の一角にある酒場「ロードハウス」で厄介な客の相手をする用心棒として雇われたダルトン。彼の日々の仕事ぶり、島の人々との交流、ロードハウスを買収するため嫌がらせを続ける犯罪組織との闘いが描かれます。

まず序盤からグッと心をつかまれるシーンがありました。ダルトンがボートの上で海を眺める場面です。

過去にトラウマを抱え自殺まで考えたけど、ここで生きていくのも悪くないかもしれない・・・。そんな新たな人生を歩み始める高揚感が美しい海とダルトンの表情によって表現されていて、思わずウルッと来てしまいました。

一方、ダルトンが寝泊まりするのがボートの上であるというのがとても切ない。ボートの上での生活・・・。それは地に足をつけず、まさに漂うような暮らしであり、ここで過ごす日々が長くは続かないという、後の展開を暗示しているのです。

一見すると抜けのいい軽快なアクション映画なだけに見えますが、人間の持つ暴力性という重たいテーマも見え隠れするところも面白いです。

ダルトンはUFC選手時代に怒りに任せて相手をリング上で殴り続け殺してしまった過去を持ちます。この出来事は今も彼を苦しめています。そんなダルトンと対峙することになるノックスは、暴力をふるうことに喜びを感じるタイプの人間で、ノリノリで酒場を荒らしまわります。

そうしてみると、自分の暴力性に苦しむ男ダルトンと、自分の暴力性を受け入れ楽しむ男ノックスという似てるけど真逆の二人の戦いになっているところが興味深いです。

この二人だけでなく、「ロードハウス」にやってくる客たちも暴力的でケンカが絶えません。そうした日々起こるケンカをポップな演出で見せていきます。あまりにも演出が軽いので逆に一歩引いた客観視点で人間って暴力的だなぁとしみじみと実感させられます。

もちろん僕自身の中にも暴力衝動はあり、本作で描かれることと無関係ではありません。人間がうちに秘める暴力とどう付き合っていくべきかと考えさせられました。

このようなダークなテーマを扱いつつも、基本はやはり誰が見ても楽しめるさわやかなアクション映画です。ボートを使ったアクションなんてフロリダらしくてもう本当に最高です。

そして、なによりノックスを演じたUFC選手コナー・マクレガーが素晴らしい。演技だけど演技にみえないイカレっぷりがおっかない(誉め言葉)!ターミネーター的な存在感で素晴らしかったです。

この狂気とギラつきをだせる俳優、ほかにもいたな・・・。メル・ギブソンだ!

コナーさんはここまでガッツリ映画に出演するのは初めてのようですがもっといっぱい出てほしいと思いました。