映画「ソフト/クワイエット」のあらすじと観た感想を紹介します。
結末のネタバレがあるのでご注意ください。
作品情報
白人至上主義を掲げる女性たちのグループがアジア系女性とトラブルになり取り返しのつかない事態を招いてしまうスリラー映画。
白人至上主義者のエミリーやその仲間があることをきっかけにアジア系女性姉妹とトラブルになってしまう。非白人への憎しみを抱くエミリーたちの行動は徐々にエスカレートし最終的に大変な事態を招いてしまう・・・。
2022年製作/92分/アメリカ
原題:Soft & Quiet
あらすじ
人種差別主義者の女性たち
幼稚園の教諭であるエミリーは、ある教会で差別主義者の女性たちの集まりを主催した。そこで話し合われたのは、どうやって世の中に白人至上主義的思想を広げていくかというものだった。「静かに水面下でじわじわ」というのが彼女たちの目指すやり方だった。
そうした話し合いが行われる中、エミリーがその教会の神父から廊下に呼ばれ、過激な思想について話し合う集まりを今すぐやめ出ていくよう言われる。
アジア系女性とのケンカ
エミリーは体裁を保つため、集まりをお開きにして自宅に来ないかとメンバーを誘った。誘いに乗ったのはキム、マージョリー、レスリーの3人。
エミリーの自宅に行く前に、みんなでキムが営む食料品店によって食料などを調達することになった。そのとき店は閉めていたが、アジア系の姉妹アン、リリーが店に入ってきて買い物をさせて欲しいと申し出る。白人至上主義者であるエミリーたちはそんな姉妹に激怒し、いざこざが起きてしまう。最終的に姉妹を店から追い出したあとも怒りが収まらないエミリーたち。
嫌がらせを決行するが・・・
そこで、姉妹の家に行きちょっとした嫌がらせをすることにした。エミリーの夫であるクレイグが見張りとなり、姉妹の家からパスポートを盗み困らせてやろうという考えだった。だが、姉妹たちが想定よりも早く帰宅してきて、家に侵入したことがバレてしまう。そこで、警察に通報する気を削ぐために姉妹を暴行した。しかし、妹のリリーが無理やり口に入れられたピーナッツクリームのせいでアレルギーを起こし亡くなってしまう。エミリーたちは完全に証拠を消し去るためアンも殺してしまうことにした。アンを窒息死させ、姉妹の遺体を近くの湖に沈めた。しかし、まだ意識があったアンが水面に顔を見せた。
感想
劇中の差別主義者にここまでの恐怖を感じる理由
本作はカット割りがない全編ワンカット構成の映画。ワンカット構成の良さとして言われるのはライド感とか臨場感などですが、本作ではそれらに加えて登場人物の生々しい感情を描く役割があります。
普通の映画ならカットされるであろう、白人至上主義者女性たちの会話や表情に表れる微妙な感情までもがワンカットゆえにそのまま残されています。そのため劇中の差別主義者たちに実在感があり自分の周りにもいそうな感じが怖いのです。
差別主義者に感情移入してしまう?!
本作の差別主義者たちはどこか可哀そうな存在にも思えて感情移入してしまうほどでした。
彼女たちは非白人のせいで自分の人生がうまくいかないことに不満を抱えています。「非白人のせいで」という部分は偏った考えだとしても、人生において困難を抱えていることは紛れもない事実でしょう。
そんなツラさを感じている彼女たちがさらなるどん底に転がり落ちる姿をワンカット撮影特有の「近くで見守っている感覚」で観ると差別主義者と言えど、どうしても感情移入してしまいます。
「そんなことしたらダメだって!捕まるって!」と彼女たちの心配をしてしまい、ずっとハラハラしっぱなしでした。
以上がソフト/クワイエットの紹介でした。
差別主義者側の視点から人種差別を描いた、非常に恐ろしい一作でした。ぜひ皆さんも見てみてください。
コメント