今回は2020年月日に公開・リリースされた「マー -サイコパスの狂気の地下室-」を鑑賞しました。
高校生たちがある中年女性と出会い、その地下室を借りパーティを何度も開くようになるが、ある時からその女性の態度が変わり始め…というスリラー映画。
この中年女性がものすごく悲しいキャラで、観ていてそこに引き込まれました。
さて、本記事の前半は、あらすじ・スタッフ・キャストの紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。
「ストーリー紹介」コーナーでは、ネタバレなし・ありで分けています。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分を見ることをおすすめします。
あらすじ
孤独な女性、スー・アンは、パーティーを開きたい近所の高校生に自宅の地下室を提供する。彼女は自分のことを「マー」と呼ばせ、高校生をもてなすが、やがて態度が変わり始め…。
スタッフ・作品情報
監督:テイト・テイラー
原題:MA
製作年:2019年
製作国:アメリカ
上映時間:99分
キャスト
オクタヴィア・スペンサー
ダイアナ・シルヴァーズ
ジュリエット・ルイス
コーリー・フォーゲルマニス
ルーク・エヴァンス
テイト・テイラー
映画サイトでの評価
海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中5.6点(37037件の評価)。
国内大手レビューサイト「フィルマークス」では5点中3.2(313件の評価)。
ストーリー紹介
※まずは重要なネタバレなしで行きます。
高校生のマギーとその母・エリカは、エリカが学生時代を過ごした町に引っ越してきます。
マギーは新たに通い始めた学校で、ある男女グループと仲良くなります。
そして、ある日、マギーは彼らと一緒に酒を買ってパーティを開くことに。
まずは、酒を調達しようと商店の前にやってきます。未成年である彼らが酒を手に入れるのは難しく、商店に入っていく大人に声をかけ、代わりに買ってもらおうと試みますが、相手にされません。
そんななか、声をかけたひとりの女性、スー・アンが酒を代わりに買ってきてくれました。その後も、スーが酒の調達をしてくれる日があり、そのとき彼女は酒を飲む場所として自宅の地下室を貸してくれることになります。
マギー達は、それから何度もスー・アンの地下室を借りてパーティを開きます。その話を聞いたほかの高校生たちも集まるようになり、パーティの規模は次第に大きくなっていきます。スー自身も若者の輪に加わり、パーティを楽しんでいる様子でした。
しかし、マギー達の身に着けていたアクセサリーがパーティ中に消えるなど、スーに不信感を抱くようになったマギー達は、スーとかかわりを持つのをやめることにします。
すると、スーは、電話でののしったり、高校まで来て待ち伏せしたり、マギー達への態度がどんどん変わっていきます。
実はこのスー、マギー達に出会った時点から自分の高校時代の記憶がよみがえり、苦しんでいました。
マギー達の親の中に、スーの高校時代の同級生がおり、スーはその人たちから酷いイジメを受けたことがありました。そして、現在、元同級生の子供たちに出会ったことで、その時の記憶がよみがえってきたのでした。
そんななか、マギー達のグループにいたアンディの父親(ベン)は、自分の息子がスーの自宅をこっそりと訪れていることを嗅ぎ付け、スーを侮辱したうえで、もう息子にかかわるなと忠告します。このベンこそ、高校時代にスーをイジメた中心人物でした。
ここから重要なネタバレあり
スー・アンは、だんだんと怒りがたまってきて、元同級生や勤め先の上司を殺していきます。ベンも彼女の自宅に連れてこられベッドの上で殺されてしまいました。
そして、マギー達も地下室に監禁されてしまいます。スーは、マギー達に拷問を始めますが娘のジーニーに止められ、もみ合った結果、家が炎に包まれていきます。
そこへ、マギーの母・エリカ達がやってきます。スーはジーニーをどこかへ連れて行こうとしたため、マギーがそこにあった包丁でスーを刺します。
その間にマギー達は家から脱出。スーは、外に逃げることはなく、ベンの死体がある部屋まで行って、ベンに寄り添うようにして寝そべりました。
ここでエンディング。
感想
※今回は重要なネタバレなしで行きます。
仲のいい高校生グループがある中年女性と出会った結果、恐ろしい目にあってしまうスリラー映画。
「サイコパス」か?
タイトルに「サイコパス」とありますが、べつにサイコパスではないような…。実際に本作を観てみると、スー・アンはちゃんと人間的な感情を持ち合わせていて、人間的だからこそあのような事態に発展するわけですから。まぁ、娘を高校にあまり通わせず、家に軟禁している点で言うと、サイコパスか?でもこれも、自分が高校時代に嫌な思いをしていて、娘には同じ目に合わせたくないと言う親心とも言える。
はっきりとわかりませんが、スーは最初から、マギー達を痛めつけようとしていたわけではないと思います。マギー達と出会ったことで、過去の嫌な記憶がよみがえり、さらに追い打ちをかけるように、その当時自分に嫌なことをした人が目の前に現れ、散々罵られた結果、あのような事態に発展した、と。
「気持ち悪い」殺人鬼
スーは、ベンの息子であるアンディに恋愛感情を抱いたり、マギーのアクセサリーを盗んで自分のものにしたりと、オカシイ言動をとる一面も。サイコパスではないけど、思考が屈折していてどこか気持ち悪さを覚えるキャラ付けがイイですね。いじめっ子のベンを恨んでいるけど心のどこかでは好いていて、ベンの息子に好意を寄せたりするのはどこかむなしいと言うか悲しい。スーを演じたのは『シェイプオブウォーター』のオクタヴィア・スペンサーさん。スーの倒錯して入り組んだキャラクターを見事に演じていましたね。この俳優が演じたから自然とただのサイコパス殺人鬼映画にならなかったのかもと個人的には考えています。
スリラーとしてはあまり怖くない
悲しい過去を背負い人間味も感じるスーが今回の「殺人鬼」なので、マギー達がスーから見つからないように隠れる場面とか、マギーの家にスーが当てつけで突然やってくるところとか、正直怖さはあまりありませんでしたね。むしろ、さっきも挙げたスーの「気持ち悪さ」のほうがこの映画の売りかもしれません。
そういえば、ぶちぎれたスーが初めて人を殺す場面(実際には上司のほうが先)が、引きの画であっさりと見せるのはなかなか爽快でよかったですね。
総評
スリラーとしては怖くないけど、過去にトラウマを追ったスーの物語としては、もの悲しくてのめりこんでしまいます。この入り組んだキャラを作り上げた点では評価高めになります。
ということで、評価は8/10としました。
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