「事故物件 恐い間取り」映画感想(ネタバレ)事故物件というテーマ自体が怖い

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本作「事故物件 恐い間取り」は、お笑い芸人・松原タニシさんが実際に事故物件に住み、そこで起こった怪奇現象などを綴った書籍「事故物件怪談 恐い間取り」が原作。

僕が観たのは8月30日の20時過ぎぐらいから始まるレイトショー。客もほとんどおらず、ほぼ貸切状態。興行収入的には30億円を狙える好スタートだ、なんて話もあるので、僕が観た劇場が特別だったかもしれませんね。個人的には、観客の多い中で映画を観るのはあまり好きではないので鑑賞環境は良かったと言えます。

この記事では「事故物件 怖い間取り」のスタッフ・キャストの紹介や、ネタバレ込みのストーリー紹介、僕自身の感想を述べていきたいと思います。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

スタッフ・作品情報

監督:中田秀夫

原題:事故物件 恐い間取り

製作年:2020年

製作国:日本

上映時間:111分

キャスト

山野ヤマメ:亀梨和也

小坂梓:奈緒(本田なお)

中井大佐:瀬戸康史

横水純子:江口のりこ

カオリ:MEGUMI

松尾雄二:木下ほうか

レビューサイトの評価

映画総合サイトの映画.comでは191件の評価があり、2.5点(5点中)

国内大手のレビューサイト、フィルマークスでは1169件の評価があり、2.8点(5点中)

どちらも点数は低めとなっています。ホラーからコメディテイストへと移行する点がどうも受けが悪いうようです。

ストーリー紹介

山野ヤマメは中井大佐とコンビを組み大阪で活動するお笑い芸人。ジョナサンズというコンビを組んで10年経ちますが、一向に売れる気配がなく、中井からコンビの解散を告げられます。中井は芸人をやめて放送作家になることが決まっていました。

そんななか、ヤマメはテレビ局のプロデューサー松尾に、ある企画をやらないかと誘われます。それは、事故物件に住み、心霊映像を撮影するというもの。松尾は、もし心霊映像が撮れたら彼の番組でコーナーを作ってやると、ヤマメに約束します。

ヤマメは、松尾の用意した事故物件に引っ越しをします。そして、その引っ越した日にオーブのようなモノの撮影に成功。テレビ番組に出演したヤマメは、その映像を紹介しました。その回の番組は反響を呼び松尾は大喜びでした。

その後、ヤマメは、放送作家の仕事がうまくいかずヤマメの補助役として一緒に住み始めた中井と部屋中にカメラを設置し部屋を監視したり、霊能力のあるヘアアシスタントの小坂梓を自宅に招き心霊現象の撮影を試みたり、番組のためにいろいろと策を講じますが成果はでません。しかし、そんなある日、ヤマメは自分の住む事故物件の駐輪場で女性の霊を目撃します。その霊は中井のもとにも現れ、2人は同時に車にひかれてしまいます。幸い、どちらも命に別状はありませんでした。事故にあったことでヤマメに箔がつき、事故物件企画はレギュラーへ昇格します。

ヤマメは、新たな事故物件を求めて町の不動産屋に立ち寄ります。事故物件に詳しい横水という社員の案内で、2件目に住む事故物件が決まりました。そこは息子が年老いた母親を殺したという事故物件。その部屋に住み始めたあと、中井のスマホにヤマメからの不可解な留守電メッセージが残されていました。それは水の中で声を出したようなゴボゴボゴボという音でした。ヤマメは中井に留守電を残した覚えがありません。実はそれ、この事故物件で母親が殺される際、水が張られた洗面台に顔を押し付けられそのときに発せられた声だったのです。ヤマメはこの不気味な留守電を番組で紹介し、さらに注目を集めるようになっていきます。

続いて、ヤマメが住んだ3件目の事故物件は女性がドアノブで首をつったという物件。ヤマメはこの部屋で起き上がれないほどの頭痛に襲われ、その後、ロフトのハシゴで無意識に首を吊ろうとしますが、運良く梓が訪ねてきたため無事でした。この部屋のことを調べると女性が自殺する前の住人の男性がロフトのはしごを使って自殺をした2連続の事故物件でした。


ここから重要なネタバレあり


ヤマメがいつも出演している番組が東京進出を果たし、ヤマメ自身も千葉にある事故物件に引っ越すことになります。ここは、男女のカップルが無理心中をしたという物件でした。ある日、この部屋でヤマメが布団を敷いていると、部屋の至るところからたくさんの霊が現れ、ヤマメに襲いかかります。ヤマメは、以前、神社の宮司からもらったお守りを使って霊たちを退治します。しかし、黒いローブを着た霊にはお守りが聞きません。この霊はヤマメが1件目の事故物件から、引っ越しのたびについてきた死神のような存在です。ヤマメが恐怖のあまり身動きできないでいると、そこへ梓が助けにやっています。しかし、ふたりとも死神に操られ、梓がヤマメに襲いかかります。さらにそこへ中井がやってきて、除霊グッズで死神に対抗。死神に操られていたヤマメと梓も無事体の自由を取り戻します。3人は力を合わせ死神を退治し、部屋から外へと飛び出します。

その後、ヤマメと梓は結ばれ、一緒に住むための物件を借りるため横水のいる不動産屋を訪れます。しかし、途中で、横水が例の死神に操られ建物からでてトラックに轢かれてしまいます。ヤマメと梓は背後に死神の存在を感じながら足早にその場から去っていきました。

ここでエンディング。

感想

結論から言うとなかなか楽しめたホラー映画でした。事故物件という題材ならではの怖さを持ち、細かい恐怖描写でもビビらせてくれる。魅力的なキャラも多いし、テレビ業界の裏側を扱った「バックステージもの」としても楽しませてくれます。ラストのバトルはコメディっぽさがあり、ここはそこまでいいとは思いませんでした。ただ、このシーンより手前で十分楽しんだので、なかなかのホラーだという結論に至りました。

これから語るのは、僕がどこをどう怖いと感じたのか、例のラストはどうだったのか、原作との比較、その他良かった点、悪かった点、などです。

それではいってみましょう。

事故物件という題材のタチの悪さ

まず、細かい恐怖演出を語る前に言っておきたい。それは事故物件が題材のホラー映画はタチが悪いということ。特に僕のような賃貸住宅で一人暮らしをしている人間にとっては。この映画を観たらどうしても、自分の住む部屋も事故物件かもしれない、という嫌な考えが頭に浮かびます。最も心を落ち着かせることができるはずの自宅がいわくつきの事故物件だったら?そう考えるだけでゾッとする恐怖感が襲ってきます。この映画で描かれているような殺人なり、自殺なりが自分の家でも起きているかも。そして、部屋でくつろいでいるときに、この部屋で亡くなった人が突然現れ、亡くなったときの再現が始まるかも。鑑賞中、嫌な妄想はとまりません。

レイトショーで観客もほとんどいない館内。だんだんと恐怖感が高まり我慢の限界を迎えた僕は思いました。「このまま映画館を抜けて早く家に帰りたい。いや、家には帰りたくない。では、どこか人が多く集まる場所に…いや、コロナ禍という昨今の状況で密になるのは避けたいぞ…」。八方塞がりだと気づき、仕方なく鑑賞を続ける事に決め、なんとか最後まで観ることができたわけですが…。

事故物件を扱ったホラー映画というのは、それ自体が観る人に嫌な想像をさせて、しかも居場所を奪ってしまう、タチの悪さがあると痛感しました笑

怖い恐怖演出もあった

事故物件をホラー映画で扱えば、もうそれだけで十分怖いということを語りましたが、ひとつひとつの恐怖演出もさすがというべきか、めちゃくちゃ怖かったです。しかも、4件目は置いといて、1~3件目はそれぞれ違うタイプの怖い表現になっているというサービスっぷり。

まずは、ヤマメが借りた最初の事故物件。一人暮らしの女性が男に殺されたという物件です。ここに霊感のある梓がやってきて被害者の女性が殺されるところを幻視します。エレベーターから降りてきた男が玄関前の廊下にいた梓に向かってきてバールを振りかぶります。幽霊をガッツリ画面に写しているにも関わらずめちゃ怖い。やっぱり、エレベーターからぬ~っと降りてくるところと顔色の悪さがポイントですかね。そして、なんと言っても、この物件の被害者女性と思われる「赤い服の女」が昼間にヤマメと元相方のもとに同時に現れるシーン。本作で一番怖かったです。この女の見せ方に至っては昼間の屋外で姿もガッツリと見せて、カメラもめちゃくちゃ近くに寄るのにそれでもこの女の恐怖感は薄れない。それはやはりこの場面のフレッシュな演出が大きいと思います。幽霊が2箇所同時に現れて、しかも、幽霊に遭遇したことをふたりの人間がスマホのカメラ機能を使って共有している…。こんな心霊体験シーンのある映画ってなかなか聞いたことがない。カメラワークとか女が振り向くタイミングとかもうまいし、車に轢かれるシーンまで含めて目が釘付けになる濃厚な恐怖描写でした。

2件目は、無職の息子が年老いた母親を殺したという事故物件。至るところに生々しい痕跡が残る、部屋からして気味の悪い物件です。梓が霊に危害を加えられるシーンはちょっとありきたりな感じがあり恐くはありませんでしたが、息子が母親を殺したときの再現映像は、その暴力が容赦なくて、痛々しい感じがビンビン伝わってくる迫力のある恐怖描写となっていました。特にお年寄りがいたぶられるというのは観ていてきついものがあります。ニュースで、子供が親を自宅で殺したなんて話はよく聞きますが、こうして映像として見せられるとそういう事件がより身近に感じられてゾッとしてしまいました。

3件目は、女性がドアノブで首吊りをしたというロフト付きの事故物件。後で調べてみると、実は男性がロフトのはしごで首吊りをした“2連続事故物件”であることが判明。恐怖描写という意味では、男性の首吊り場面だけなので大したことはありません。それよりも、ヤマメと梓による「自殺原因の考察」が興味深い。この部屋でヤマメはひどい頭痛に悩まされるわけですが、もしかしたら、首吊り自殺した男女も生前、ヤマメと同じく頭痛に襲われ、その苦痛から逃れるために自殺したのではないか…。幽霊に自殺させられた!といった心霊現象よりは、実際にありそうで「もしかしたらいつか自分も同じ目にあうかも…」と考えるとなかなかゾッとします。

4件目でも恐怖シーンはありますが、ここは全然怖くない、というか、怖がらせることを目標としていないの恐怖描写は期待しないほうがいいです。この箇所の感想は下の方で語っています。

バックステージものとしての面白さ

本作はホラー映画ではありますが、テレビ番組制作の裏舞台を描いたバックステージものとしても、楽しむことができます。テレビの収録中、カメラに映らないところで動き回るスタッフたちとか、テレビ局の談笑できるスペースで、お笑い芸人と思しき人達が派手な衣装で楽しそうに話をしているとかそういうシーンを見るだけでめちゃくちゃワクワクしてきます。欲を言えばこういうシーンをもっと増やしてほしかった。個人的にはいくらでもみていられます!

印象に残るキャラが多い

本作は印象に残るキャラクターが多くすばらしいですね。

ヤマメが売れるきっかけになる番組のプロデューサー・松尾(木下ほうか)とか。「実際にこんなプロデューサーいそう」感が最高。基本的に僕は軽薄なお調子者キャラが好きなので、松尾が画面に登場するだけでテンションが上ります。この松尾がでてくるシーンで好きな場面はたくさんありますが、「事故物件住んでみろ」とヤマメに提案するときの軽さと、有無を言わせない感じとか、怖くていい。あと、ヤマメが頭痛で番組収録を休むと松尾に電話をしたときの「プロ根性あんのかい、こいつ」とつぶやくとこの怖さ。どんどん売れていくヤマメに対しては優しい松尾だけど、おそらく、その他の売れない芸人とか、下っ端のスタッフに対してはぞんざいな態度をとっているんだろうな、とか考えるとまたイヤな感じがしてくる。もし僕がテレビ業界にいたとしたら関わりたくはない、と自分に当てはめて考えるほど、リアルな感じのキャラでした。バックステージものとしての魅力はやはりこの松尾の存在が大きいですね。

横水(江口のりこ)という不動産屋の社員も良かったです。ヤマメが事故物件を借りるため頼っていたのがこの横水(江口のりこ)でした。彼女は不動産屋の社員の中で“事故物件担当”という立ち位置で、ヤマメが事故物件を探すときはいつもこの横水が物件を紹介してくれます。“事故物件担当”という設定自体おもしろいですが、彼女の持つ独特な不気味さと、表情やセリフから来るユーモラスな感じのバランスが絶妙です。彼女が登場するシーンは全部好きで、前のめりになりながら見ていました。横水が主人公のスピンオフとか見てみたいですね。人に貸すための事故物件を探し回るあいだに、怪奇現象に巻き込まれる感じの。これだけ難しくて、魅力的なキャラを見事にこなした江口のりこさんの演技力は素晴らしいですね。この映画で初めて見た俳優ですが、ドラマの半沢直樹などで有名な方だそうです。

梓を演じた奈緒さんもかなり演技が上手いですね。霊を見て取り乱すときとか、ビビる演技が見事。何かを言おうとして、セリフの最初を噛んでしまうとかリアルで超うまかった。

ストーリーで物足りなかったところ

本作を観ている間、理由はわからないけどなぜかすこしだけ物足りない感じがしました。後で振り返ると「こういうシーンがないからじゃないか?」と自分なりに気づいたので、そのあたりを語っていきます。

まずは、主人公ヤマメの心情です。具体的には、人を笑わせて救いたいと考えていたヤマメが人を怖がらせる芸で有名になっていくわけですが、本人がこのことで苦悩したり葛藤する描写がほぼない点です。「人を笑わせて救いたい」というのはヤマメが芸人を続ける上で根本にある動機で、その逆にも思える「人を怖がらせる」方向に進んでいくことをどう思っているのか、個人的には非常に気になったポイントです。

つぎに、ヤマメに生活感がないことです。事故物件に住むことがメインのテーマなはずが、ヤマメがそこで生活している様子は意外と描かれていません。ヤマメが部屋にいるシーンはだいたい、心霊映像を捉えようとカメラを回す、とか、心霊現象が起こる様子をライブ配信するとか、「事故物件住みます芸人」としての企画に関係するものが多い。シャワーを浴びるとかはありましたが、たとえば、飯を食うとか、洗濯するとか、掃除するとか、そういう人間らしい日常生活は描かれず、事故物件に「住んでいる」という感じがいまいち伝わってこない。「住んでいる」というよりは事故物件に肝試しをしに来ているように見える。僕が、この映画を観てダイジェストみたいだ、と思ったのはこの生活感のなさが原因の一つですね。

これは「こういうシーンがほしい!」という僕の願望ですが、ヤマメが「事故物件」企画を始める前に住んでいた“事故ってない物件”をワンシーンだけでも入れておいたほうが良かったかなと思います。できれば、モノが多く、散らかった状態の部屋を。そうすれば、事故物件に住んでいるときのモノの少なさとの対比で、エライ企画を始めてしまった感が出るし、ヤマメの芸人を続けたいという本気度も強調されて伝わるんじゃないでしょうか。

極端でクドい演出が目立つ

至るところに極端でクドい演出があって作品全体が安っぽく見えるのは残念でした。ヤマメが不動産屋の横水をみて「赤い服の女・・・」とつぶやく、とか。ヤマメが見た幽霊と横水の服の色が一緒だったことを受けてのセリフですが、それイチイチ言わなくてもわかるだろう、と思うんですが。

ヤマメの説明的なセリフはほかにもあります。赤井の母が倒れたという話を聞いたヤマメが言うセリフの「お前母親から仕送りもらってたって言ってただろ」。今この状況で、しかもその声のトーンで言うことか?ここは少し笑ってしまいました。

クドいといえば、2件目の事故物件にある畳の描写。畳が一枚だけ新品に変えられていて、その畳と隣接する畳になんらかのシミがついている。怪しいと思い新品の畳をめくり、その下の板を確認すると血痕がついていた。このエピソードは原作の方にもあって、本作のエンドロールでも実際の写真を確認できるんですが、隣接する畳にもシミ(血痕)が付いているというのはこの映画オリジナルっぽい。明らかに過剰で不自然な盛り方です。「一枚だけ畳が新しい」だけの方が、畳をめくって血痕を発見したときの恐怖感が大きくなるはず。あと、なんといっても血痕は周りの畳にもついているのになぜ交換したのは一枚だけなのか?という余計な疑問が浮かんできてしまいます。

あとは、音楽の使い方もあんまりいいとは思いませんでした。なんか不吉なことがあるたびに、不気味な鐘の音っぽい効果音が流れて、逆に恐怖感が削がれてしまいました。

ラストのバトルをどう思ったか

本作を鑑賞した人達の間で物議を醸しているのがラストのバトルですね。それまでの怖いトーンと大きく変わって、コメディっぽいバトルが展開されます。「ラスボスとの除霊バトルはバカっぽくて爆笑した」といった肯定的な意見もある一方で、「ホラー映画を観に来たのに何だあのラストは!」と酷評する方たちもいます。このラストについての僕の感想としては、笑えなかったけど、別に怒ってもいない、という感じ。怒っていないのは、ここに至るまでにもう十分怖がらせてもらったから。笑えなかったのは、そこに出てくる霊たちの見た目のせいですね。なんか、見た目自体で笑いを取ろうとしている感じが醒めるというか。冷蔵庫にいた女性の霊とか、ローブをかぶったラスボスとかね。個人的には、ちゃんと怖い見た目の敵とバカっぽい戦いをするほうがシュールさが際立って良かったと思います。ラスボスが線香の火種を食らいそうになってのけぞってる姿は笑ってしまいましたけどね。

エピローグはイイ

ラスボスを倒した後のエピローグは全体的に好きです。ヤマメと梓が一緒に横水のいる不動産屋にやってくる。横水が「怖くない物件です」と言って、物件をいくつか紹介する。ここで観客はヤマメと梓が結ばれたんだと気づく。このシーンは粋で、気が効いていてますね。ヤマメと梓の仲の良さそうなやり取りを見て観客がほのぼのとしていたところで、死神に体を乗っ取られた横水がトラックの前に進み出て自殺するというショッキングな展開へ!トラックにひかれた横水の周りに人々が集まっていくなか、ヤマメと梓は死神がコチラを見ている気配を感じながら足早にそこを去っていく。ヤマメはここで何を感じたでしょうか。倒したはずの死神が再び現れたことで、これから一生、死神の影に怯えながら生きていかなければならないことを悟ったのかもしれません。もっというと、自分と同じく事故物件を飯の種にしていた横水が殺され、「いつ俺の番が来てもおかしくない」と恐ろしくなったのかも。ラストカットは「業を背負いながらもそれでも生きていく」といった感じのヤマメの表情が印象的です。

総評

この映画を観ると自分の家も事故物件だったらどうしようと、ほぼ強制的に考えさせられてしまいます。映画館から自宅に帰るのが怖くて仕方がない。今後、本作のDVDが出て家でそれを観るとなると、まさにこの家が事故物件だったらどうしよう、に変わり余計怖いかもしれない。

恐怖描写もちゃんと怖いところがあってビビらせてくれました。とくに「赤い服の女」が同時に現れる場面がやはり一番怖かった。

テレビ局の裏側も描かれていて楽しい。ただ、芸人ヤマメの裏側ももっと見せてほしかったというのが本音ではあります。終盤で怪談かと思ったら笑えるオチがつく話をヤマメが披露する場面があって、本当は人を笑わせたいヤマメの創意工夫が伺えてイイシーンなんですが、その怪談風漫談を練って作り上げているところも見えたらもっと良かったと思います。

ラストのバトルは個人的にはそこまで笑えなかったけど、そこに至るまでに十分映画として満足していたから問題なし。

エピローグは、いまも事故物件に住み続ける原作者の松原タニシさんに通じるもので、常に死と向き合うタニシさんの生き様はすごいなとあらためて思ったりもしました。

ということで、評価は8/10としました。

参考サイト:フィルマークス/映画.com

 

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