「ストレイ 悲しみの化身」映画感想(ネタバレ)子供がいなくなった後の親を描いた悲しいホラー映画


「ストレイ 悲しみの化身」はロシア製ホラー映画。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

作品情報

監督:オルガ・ゴルデツカヤ

キャスト
エレナ・リャドワ
ヴラディミール・ヴドヴィチェンコフ
セバスチャン・ブガーエフ
イェン・ラノフ
エフゲニー・ツィガノフ
ローザ・カイルリーナ

原題:TVAR

製作年:2019年

製作国:ロシア

上映時間:90分

感想

結構好みのタイプのホラー映画です。

息子が行方不明になって数年、悲しみから立ち直れない夫婦は、孤児院からひとりの男の子を引き取る。行方不明の息子と同じ名前を付けられたその子は、母に溺愛され育っていくが…。

※【重要なネタバレなしの感想】とその後【重要なネタバレを含む感想】が続きます。

ある夫婦の息子が失踪、その代わりにひとりの少年を養子として迎え入れることになるが、その少年の様子がおかしいことに気づき・・・というホラー映画です。

結論を言うと、自分好みな映画で面白かったです。とくに、「今ここにいるのはただの子供なのか、それとも別の超常的な何かなのか?」と判断がつかない状態がもたらす「何が真実なのかわからず揺さぶられる感覚」が非常に好みです。他の映画でもこういう「揺さぶり演出」が出てくるとテンションがあるので個人的なツボということでしょう。

このブログで感想記事を書いた中でこのタイプの演出が見られるのは・・・

・ベイビー・キャッチャー

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以上の3つは「何が真実かわからない揺さぶり演出」があり、どれも好きな作品たちです。なかでも、クワイエット・ボーイは「失踪していた息子が帰ってきたけど、どこか様子がおかしくて・・・」という話で、本作「ストレイ 悲しみの化身」と結構似たような雰囲気を持っています。

以上の3つはなかなかおすすめな作品でしたので時間があればぜひ!

さて、本作の内容ですが、鏡を使った示唆的な演出や不安を煽るBGM、主要キャラ夫婦それぞれのキャラ描写など、全体的に丁寧に作られたホラー映画だと感じました。個人的にはかなり楽しめた作品です。特に、息子が失踪したことで苦しむ主人公夫婦の姿は観ていてキツくてだんだんゲッソリしてくるほど(笑)妻のポリーナが喪失感を埋めるため孤児院で出会った少年に固執していく姿が印象的です。一方、夫のイゴールは養子の少年に対しどこか距離をとっていてそのせいで夫婦間にギクシャクした雰囲気が流れるあたりも見どころ。やがて、ポリーナの妊娠が判明し、それ以降ポリーナは少年に対し冷たい態度を取るように。これは、あらたな子供を授かったことで、長男がいなくなった喪失感を埋めることが出来たため、少年の存在が不要になったということでしょう。ここで、少年に対する態度が夫婦間で反転するのも面白いあたりですね。


※ここから重要なネタバレを含みます


少年の正体は、ただの人間ではなく姿を自在に変えることができる怪物でした。この怪物は、喪失感を抱える人物を察知し、その人物の望む姿に見た目を変え取り入るのです。

妊娠をきっかけとしてその怪物を拒絶したポリーナは怪物に痛めつけられ、最終的に亡くなってしまいます。こうして独り身になったイゴールでしたが、その怪物はポリーナに姿を変えイゴールと暮らし始めたのでした。ここのオチは「うわぁ…」とすごく悲しい気分になるもので切れ味も抜群でかなり好みです。怪物が寄生する相手を何度も変えることで、自分も大切な人をなくしたときにこの怪物がいたらすがってしまうかもしれないな、とか色々考えさせられます。怪物側に視点を移すと、この怪物はむやみに人を気付けるような存在ではなく、自分を必要としている人間に媚び、気に入られようとしているだけと考えるとこの怪物も悲しい存在だよなぁと感じました。

総評

色んな面でものすごく丁寧に作られた映画だと感じました。自分のツボである「何が真実なのかわからず揺さぶられる感覚」が味わえる映画でもあり、とても楽しむことが出来ました。

というわけで評価はとしました。

ストーリー紹介

イゴール、ポリーナ夫婦には幼い息子・ヴァーニャがいました。

ある日、そのヴァーニャが一人で遊びに出かけたまま行方不明になってしまいます。

ヴァーニャの失踪から月日は流れ…。

夫妻は、身寄りのない子どもたちが暮らす孤児院を訪れ、そこにいた獣のように呻く少し変わった少年を養子として引き取ることにします。

その少年は、失踪した息子の名前を取ってヴァーニャと名付けられ、夫婦と一緒に生活をおくることになります(以下、この少年をヴァーニャと表記)。特にポリーナはヴァーニャを自分の息子同然に可愛がります。

やがて、ポリーナが妊娠していると判明。

それ以降、やきもちを焼いたのかヴァーニャはポリーナに対し攻撃的な面を見せるようになります。ポリーナはそんなヴァーニャを拒絶し始めます。

ヴァーニャのことを不審に思ったイゴールは、孤児院のシスターを問い詰めます。

そこでヴァーニャの正体が明らかになります。

ヴァーニャは人間ではなく、姿を自在に変えることができる怪物でした。「大切な人を亡くし強い喪失感を抱える人物」を察知し、その人物が求める姿に変身するのでした。

イゴールが留守にした間、ヴァーニャがポリーナを襲ってしまいます。

ポリーナは一命をとりとめたものの病院に入院することになります。お腹にいた赤ん坊は死んでしまいました。

イゴールはヴァーニャを薬で眠らせシスターのいる孤児院へと連れ込み、ある部屋に閉じ込めます。

その後、入院していたポリーナが死亡し、イゴールはひっそりと一人暮らしをしていました。しかし、そこには死んだはずのポリーナの姿がありました。例の怪物がポリーナに姿を変えてイゴールと暮らしていたのでした。

おわり

参考サイト:ゲオ宅配レンタル


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