今回は「ウィッチサマー」を鑑賞しました。
高校生のベンは隣家に住む女性が魔女に乗っ取られていることに気づき…というホラー映画。
見どころの多い作品でなかなか楽しめました。
個人的な評価は8/10点です。
作品情報
監督:ブレット・ピアース、ドルー・T・ピアース
出演: ジョン・ポール・ハワード、パイパー・カーダ、ジェイミソン・ジョーンズ、アジー・テスファイ
原題:The Wretched
製作年:2020年
製作国:アメリカ
リリース:2021-05-19
上映時間:95分
映画サイトでの評価:「IMDB」5.8/10点、「フィルマークス」3.2/5点。
ストーリー紹介
感想
・ジュブナイル魔女ボディ乗っ取られホラー
魔女が隣家の人間の体を乗っ取ったうえ、その子供を奪ったことに気づいた高校生のベンが、子供を取り返そうとする…という魔女系ホラー映画。
ジュブナイルテイストが土台になっている作品です。
離婚後、一人で暮らす父のもとで夏の期間を過ごすことになったベン。父の営むヨットのレンタル屋で働かせてもらうことになって、そこのスタッフだったマルという同年代の少女ともいい感じの関係になったり、別のイケイケグループの男と揉め事があったり、父に新しい恋人ができたことが気に入らず反発してしまったり・・・。ジュブナイルホラー好きとしては結構王道な設定が多く安心して楽しめるという印象。様子のおかしい隣家を監視するというシークエンスもこじんまりしたところがジュブナイル的でワクワク感があります。
また、ジュブナイルにプラスして人間乗っ取りモノ要素も加わります。
隣人の様子がどこかおかしいことに気づいたベン。実は魔女がその家に住む女性の体を乗っ取りその人物になりすまして生活を送っていたのです。魔女の目的は、その家の子供をさらい自分の巣に持ち帰って食べることでした。乗っ取られたアビーが感情のない無機質な感じがゾッと来ますし、アビーの皮膚がズルズルと崩壊していく場面なんかも気持ち悪くて良かったです。
魔女の見た目はそこまで怖くなくて、視覚的な恐怖で攻めてくるホラー映画ではありません。後半では魔女が本格的にその姿をあらわすので、それまであったアビー(魔女)の不気味さはなくなり緊張感が薄れていくのですが、それをカバーするようにツイストのきいた展開が複数差し込まれ飽きない、というかむしろどんどん楽しくなっっていきます。
※ここから重要なネタバレを含みます。
とくにラストシーンのツイストが嫌な余韻を残す不気味さで、鑑賞後もしばらく嫌な気持ちを引きずってしまいました。また、このシーンの演出やアイテムの使い方がよくて、うまいなぁと感心しました。
無事魔女を倒し、ベンが父の家を離れる日がやってくる。ベンはヨット貸し出しの仕事をしていたマルのもとに行き最後のあいさつをする。マルから一輪の花もらい車に乗ってそこから去っていくが、途中でその花が造花であることに気づきマルの方を振り返る。そのころ、マルは子どもたちとヨットに乗っていて一点を見つめ何かを考えているようだった。実は魔女が密かにマルを乗っ取っていた…かも、というオチです。花が造花である意味ですが、造花=(生花の偽物)をくれたあのマルもまた偽物である、ということを示しているわけですね。また、「そういえば魔女が近づくと生花が枯れるという設定あったな!」と気づいてハッと驚けるようにもなっています。子どもたちも乗ったボートの上でマル=魔女が意味ありげな表情を浮かべているというラストですが、魔女があの子どもたちを自分の巣に持って帰ることや、そのあともあのヨット屋を拠点にしてそこにやってきた子どもたちを次々とターゲットにするんだろうなというところまで想像させられます。あれは背筋が凍るような秀逸なラストカットだと思いました。
まとめ
なかなか良く出来たジュブナイルホラー映画という感じです。
ティーンエイジャーが恋をしたり、喧嘩をしたり、親と衝突したりしつつ敵に立ち向かっていく系のジュブナイル系のホラーが好きな人にはおすすめできますし、魔女に乗っ取られて生気を失った人間の不気味な姿も必見です。
ジュブナイルホラーならではの爽やかさでエンディングを迎えるかと思ったら、全く逆の展開に振って嫌な気持ちにさせるオチもよかったですね。
魔女が人間を乗っ取った姿は怖いのですが魔女自体に怖さを感じずそこが少し物足りないと感じました。
というわけで評価は8/10点としました。
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