「ザ・ウェイバック」映画感想(ネタバレ)過去にトラウマを負った男がバスケコーチを任されたら…

今回は2020年9月9日にオンラインで配信された「ザ・ウェイバック」のレビューです。前半は、あらすじ・スタッフ・キャスト紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。

「ストーリー紹介」「感想」コーナーでは、それぞれネタバレなし・ありで分けています(ネタバレが始まるところで「ネタバレ警告」を入れています)。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分のみを見ることをおすすめします。

ツイッターやってます

あらすじ

ジャック・カニンガム(ベン・アフレック)はかつて順風満帆の人生を送っていた。高校ではバスケットボールの天才として鳴らし、大学へは全額支給の奨学金が約束されていた。ところがなぜか突然、バスケットコートから去り、輝かしい未来を自ら棒に振ってしまう。それから数年が経った今、ジャックはやりがいのない仕事に行き詰まり、酒に溺れ、それがもとで結婚も人生への希望も失っていた。そんな折、彼は母校からバスケットボールのコーチを頼まれる。往年の黄金時代の見る影もない落ちぶれたチームの再生をジャックは渋々引き受けるが、そのことに誰よりも驚いたのがジャック自身だった。選手たちがチームとしてまとまり、勝ち始めるにつれ、ようやくジャックにも、自分の人生を狂わせた悪魔と戦う覚悟ができたかのようにみえた。だが、果たしてそれだけで空白を埋め、心の古傷を癒やし、もう一度やり直すことができるのだろうか?

スタッフ・作品情報

監督:ギャビン・オコナー

原題:The Way Back

製作年:2020年

製作国:アメリカ

上映時間:108分

キャスト

ベン・アフレック
ジャニナ・ガヴァンカー
ヘイズ・マッカーサー
レイチェル・カーパニ
ダ・ヴィンチ
T・K・カーター
ルーカス・ゲイジ
ケイレブ・トーマ
クリスティン・ホーン
クリス・ブルーノ

映画サイトでの評価

海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中6.7点(25202件の評価)。評価数も多く点数もそこそこ高め。

国内大手レビューサイトフィルマークスでは5点中3.6点(23件の評価)。こちらはレビュー数は少ないもののレビュー内容を見てみるとかなり高評価している方が多いですね。

ストーリー紹介

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

主人公は建設作業員のジャック・カニンガムという男。子供をガンで亡くし、そのことがきっかけとなり妻とも離婚。今は、周りの人間との関わりも避け、酒で現実逃避をしながら孤独に1人で生きていました。

そんなジャックは、母校であるビショップヘイズ高校からバスケチームのコーチを頼まれ、悩みながらも了承。ジャックは高校時代バスケの優秀な選手だったのです。

ジャックがいた時代は強豪校だったチームも、現在は人数も少なくなり、試合にも勝てない弱小チームに成り下がっていました。

ジャックは、コーチとしてチームを指導するうちにその楽しさに気づき、酒の量も減っていきます。


ここから重要なネタバレあり


チームは、ジャックの指導のおかげで、試合で勝つことも多くなります。そして、ついにプレーオフ進出を果たします。

しかし、このあと、ジャックはコーチをやめさせられてしまいます。きっかけは、ジャックが泥酔して寝過ごしてしまい練習に遅れてやってきたからです。生徒に指導する立場のコーチとしてふさわしくないと判断されてしまったのでした。ジャックが再び酒に頼るようになったのは、知り合いだったデイビッドという子供が病気で亡くなりかけ、その両親が悲しむ姿を見て、自分の息子が亡くなったことを思い出したからでした。

ジャックは、辛い現実を忘れるように酒に溺れていきます。そしてある日、飲酒したまま交通事故を起こした上、他人の家に侵入…。家主ともみ合いになり、頭を打つケガをしてしまいます。

ジャックは元妻・アンジェラのすすめで、カウンセリングを受け、子供を亡くした辛さを吐露します。その後、アンジェラと会い、彼女に自分のこれまでの行いを謝りました。

ジャックが去ったあとのバスケチームは、ジャックのために戦うぞと気合を入れ、プレーオフの一回戦へと臨みました。

同じ頃、ジャックは、バスケットボールを持ち、とあるコートにやってきて、シュートの練習をはじめました。

ここでエンディング。

感想

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

子供をガンで亡くし、その後妻とも離婚し、人生に絶望した男性・ジャックが主人公。そんなジャックが、母校のバスケチームのコーチとなり、あれこれ障害に直面しながらも新たな生き方を模索していくストーリーとなっています。音楽のセンスもいいし、個々のエピソードもグッとくるモノが多い。こういった要素が本作を「浸れる映画」にしていて、しっとりとした手触りの作風が好きな人は特にハマるんじゃないかと思います。バスケチームの生徒たちの中にも魅力的なキャラが多く、青春映画としてもいい出来です。

ベン・アフレック史上最高の演技?

観た人が口を揃えて言っているように、ジャックを演じたベン・アフレックの演技が素晴らしく、本作の魅力の大部分はこの彼の功績と言ってもいいかも知れないレベル。ベン・アフレックってどちらかというと演技がヘタな俳優として有名だった気がしますが…?あれ、僕が勝手にそういうイメージを抱いていただけか?…まぁ、とにかく、ベン・アフレックの演技が素晴らしい。病気で亡くなった子供について話しているときのつらそうな演技とか特に良くて、こちらまで悲しくなってくる。前半で見せる、家族すらも遠ざけ取り付く島もない神経質そうな感じというか、そういう細かい所の演技もうまい。元妻が姉を通してジャックの近況を聞き出そうとしていたことを姉から聞いて、徐々に怒っていくところとかリアルで素晴らしい。あと、姉に風呂場のシャワーカーテンが臭いから変えろと言われて、「いや、いいわ」拒否するところの「キッパリ感」とかもよかった。本作の監督であるギャビン・オコナー氏は前作のザ・コンサルタントでもベン・アフレックと組んでいます。ザ・コンサルタントもある意味繊細なベン・アフレックが観られる映画でしたが、この監督はベン・アフレックのそういうタイプの演技を引き出すのがうまいということでしょうか。

スポーツ映画として観ると?

高校バスケチームが題材になっているので、スポーツ映画としての面も期待してみると少し物足りないかも知れません。練習風景や試合の展開はダイジェスト的であっさりとしています。試合があってもその様子をじっくり見せることはなく、バッサリとカットしたうえで、得点や勝ち負けが字幕で示される場合もあります。「残り数秒、あと一本で勝敗が決まる」という映画的に盛り上がりそうな場面も、スコアボードを大写しにしたりせず、意図的に盛り上がりを抑制しているような感じすらあります。あくまでこの映画は主人公・ジャックの人生に焦点を当てたものであり、さっき言った場面も自分のチームが勝利しジャックが天を見上げるところがクローズアップされています。というわけでバスケの試合をしっかりと観たいという方は肩透かしを食うかもしれません。個人的には、このバスケの試合や練習を大きく省略する手法はテンポ感が上がるし、もっというと独特のテンポ感を生んでいて意外と良かったですね。


ここから重要なネタバレあり


生徒たちとのエピソードがイイ

ジャックがコーチとしてバスケチームの生徒たちと交わっていくパートは感動的でとてもイイと思いました。バスケの才能はあるけど引っ込み思案で仲間に指示をさせないブランドンという少年とのやり取りは特に良かったです。ブランドンの父・ラスは、ブランドンの試合を一切観に来ません。それを知ったジャックはラスの仕事場に行き、彼を説得します。ラスが息子の試合を観戦しないのはブランドンがバスケ一本で食っていくことに反対だからです。ジャックもバスケに関しては父とひと悶着あって、状況は違えど父子のわだかまりを見逃すわけにはいかず、わざわざ説得にあったたのでしょう。ラストでプレーオフにラスが姿を見せる場面は思わず泣きそうになってしまいました。

ラストも超イイ

ラストは、ジャックの指導してきたビショップ・ヘイズがプレーオフに出場し、その一回戦目が始まる…というシーンです。しかし、ジャックはこのシーンより前に酒の問題からコーチを辞めさせられています。生徒たちは、ジャックのために戦うと気合をかけ、試合に臨みます。先程も書きましたが、観客席には、ブランドンの父・ラスの姿が…。一方、ジャックはどこかのバスケコートに立ち、シュートを始めます。そこへ、試合中のビショップ・ヘイズの試合状況、そして、このチームを育て上げたジャックの功績を伝える実況音声が重ねられます。ここが、グッときますね。ジャックは試合会場にも行かず、ひとり黙々とシュートを打つ。彼は生きがいにもなっていたコーチを辞めさせられたけど、自分の過去と向き合うセラピーも受けて悲しい過去にひと区切りをつけて新たな人生を歩みはじめる…。シーン自体は静かでしっとりしていますが、伝わってくるものは多く感情が強く揺さぶられます。

総評

過去にトラウマを負った男の再起ドラマとしてなかなかいい出来です。ベン・アフレックの演技にも注目

ということで、評価は8/10としました。

参考サイト:IMDB/フィルマークス/Amazon

コメント