「ザ・ギフト」映画感想(ネタバレ)「ギフト」が意味するものとは?

今回は2017年3月8日にリリースされた「ザ・ギフト」を鑑賞しました。

数十年ぶりに地元に帰ってきた主人公が高校時代の同級生に付きまとわれるホラー映画。

どんよりとした気分にさせられる傑作だと思いました。

さて、本記事の前半は、あらすじ・スタッフ・キャストの紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。

「ストーリー紹介」「感想」コーナーでは、ネタバレなし・ありで分けています。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分を見ることをおすすめします。

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あらすじ

新天地で幸せな家庭を築く夫婦サイモンとロビンの前に現れた、夫の同級生と名乗る男・ゴード。再会を喜び、二人に「ギフト」を贈り始めるゴードだったが、徐々にエスカレートしていくギフトに、二人は違和感を覚える。やがて夫婦のまわりに異変が起き始め・・・

スタッフ・作品情報

監督:ジョエル・エドガートン

原題:The Gift

製作年:2015年

製作国:アメリカ

上映時間:108分

キャスト

・ジョエル・エドガートン
・ジェイソン・ベイトマン
・レベッカ・ホール

映画サイトでの評価

海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中7点(137273件の評価)。

国内大手レビューサイト「フィルマークス」では5点中3.4点(4834件の評価)。

ストーリー紹介

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

※文章のスタイルを少し変更しました。

・主人公はサイモンという男性。彼は妻・ロビンとともにシカゴで生活していたが仕事で大きな成功をおさめ、地元カルフォルニアの豪邸に引っ越してくる。

・サイモンは、高校の同級生だったゴードと偶然再会。その後、ゴードから家に贈り物が届いたことをきっかけに頻繁に会うような関係になる。

・しかし、サイモンはある理由から、ゴードと縁を切ろうと考えていた。

・サイモンは、妻に黙っていたが、高校時代にゴードをいじめていた。ゴードが学校を退学するきっかけを作ったのもサイモンだった。

・過去のことを掘り返してほしくないサイモンは、ゴードに直接「二度と家に来るな」と伝える。

・すると、ゴードはサイモンたちの家にいやがらせをするようになる。


ここから重要なネタバレあり


・サイモンとロビンの間に念願だった子供が生まれる。そのタイミングでゴードはサイモンにある映像を送る。それは、ロビンをクスリで眠らせ、上にまたがるゴードの姿がおさめられたビデオだった。つまり、ロビンが産んだ子供の父親はゴードかもしれないと示唆する内容。

・ゴードは、サイモンに電話をかけ「ロビンに触れたかもしれないし、触れてないかもしれない。赤ちゃんの目を見ればわかる」と言う。

・サイモンは、病院でロビンに抱かれる赤ちゃんの目を見て自分の子供かどうか窓ガラス越しに確認しようとするが、すぐに病院スタッフによってカーテンが閉められてしまい、自分の子供かどうかわからない。

・うなだれるサイモンを遠くから確認したゴードがその場を去っていく。

ここでエンディング。

感想

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

タイトルにもある「ギフト」が何を指すのかを知った時の衝撃…。イヤ~な気持ちにさせられるホラー映画です。俳優としても活躍するジョエル・エドガードンさんが監督・出演をつとめています。

イヤな緊張感が続く

主人公のサイモンは地元に帰り、数十年ぶりに高校時代の同級生(ゴード)と偶然再会。こちらは別に親しくしたいわけではないが、あちらが家の玄関にギフトを置いていったり、連絡もなく訪ねてくる。かなり不気味な男である。でも、物をくれるし、雑用もやってくれるし、何か嫌なことをされたわけでもない。「これ以上関わりあいたくない」と直接言い出すことができず、ダラダラと続けてしまう。

普通の映画なら相手から直接的な被害を受ける展開に入るところを、本作は「何もされてないがどこか不気味な感じがする」という状況を長く引き伸ばします。このおかげで気まずくてイヤーな緊張感が味わえます。

「あまり親しくない人が何度も家にやって気まずい」映画で思い出したのは、「侵入する男」。こちらもなかなか面白い映画なので機会があればぜひ。話のトーンは全然違いますけどね。

「侵入する男」映画感想(ネタバレ)イカれた男のイカれっぷりを楽しむ映画


ここから重要なネタバレあり


このように単に異常な元同級生に一方的に付きまとわれるサイコスリラーかとおもったら、そうではなかったことが後半で明らかに。実は主人公サイモンとゴードには「ある因縁」があり、ゴードの奇怪な行動は復讐のための下準備だったのです。その因縁とは、高校時代にサイモンがゴードが同性愛者だと嘘を学校で言いふらし、その結果ゴードは退学してしまうというもの。さらにゴードはこの嘘によって父親からひどい暴力を受けています。

ゴードの復讐が明らかになるラストは観ていてげっそりとしてしまいますね。ゴードの子供「かもしれない」というところがポイントで、彼の子供だと断定されたらまだ割り切れるけど。サイモンはこれからずっと「自分の子供か、それともゴードもの子供か」という思考が頭から離れないと思いますよ。まさに生き地獄。まぁ、それだけの地獄をゴードも味わってきたということですけど。はっきりとは示されませんが、サイモンのいじめによってゴードの人生が大きく狂ったことは間違いないでしょう。ゴードがバーでクイズを出す司会者的な仕事をしてるシーンなんかめちゃくちゃ悲しい気分になる。特に、蝶ネクタイをした出で立ちのひょうきんさが居たたまれない。この場面で、サイモンが妻に促されゴードに謝るという展開がありますが、サイモンのクズっぷりが逆に笑ってしまうレベル。「はいはい、謝ればいいんでしょ」といった感じで、謝る姿も高圧的。さらに、ゴードが謝罪を受け入れなかったことに腹を立て、暴行する始末。サイモンがゴードをいじめていた高校時代の再現を見ているようです。ここで、サイモンを演じたジェイソン・ベイトマンのクソ野郎演技がすさまじくウマイ。

ゴードの復讐がどんなものかを知ったうえで観る2回目は初見時とはまた違った怖さが味わえます。たとえば、ゴートがサイモンたちに「子供だってすぐできる」と言う場面とかね。初見時は、サイモン、ロビン夫婦の間に子供ができるという発言に見えますが、実は違うんですね。

総評

全体的にいやーな感じが付きまとう非常にオススメな作品です。いじめを受けた人間の苦しみが伝わってきて、鑑賞したらどんよりとした感じが残りますが、たまには人の痛みを知る映画を観るのもいいかなと思いました。

ということで、評価は10/10としました。

参考サイト:ゲオ宅配レンタル

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