「ファースト・コンタクト」映画感想(ネタバレ)フェイクドキュメンタリー形式の宇宙人モノSF映画

ファースト・コンタクト(字幕版)
ファースト・コンタクト(字幕版)

「ファースト・コンタクト」は2017年のイギリス製SF映画。監督は「クリムゾン・プラネット」のハズラフ・ドゥルール。主演のジリアン・ラルーを演じるのは「ファントム・スレッド」「ジェーン・ドウの解剖」のジェーン・ペリー。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

作品情報

監督:ハズラフ・ドゥルール

キャスト
ジェーン・ペリー
ノエリーン・コミスキー
トム・クリスチャン
デビッド・ベイリー
エズラ・カーン

原題:The Beyond

製作年:2017年

製作国:イギリス

配給:ハーク

上映時間:92分

感想

※結末までのネタバレを含むのでご注意ください

やりすぎな展開もあったりして少しだけクセのある映画かと思いますが、その部分こそが面白かったです。

突如として衛星軌道上に出現した謎の異常体“ヴォイド”。同時に各地の上空に大きな円形の飛翔体が現れる。突然現れた彼らの正体とその目的を暴くべく、宇宙開発企業スペースエージェンシーが最新テクノロジーを駆使し、人の脳を人工ボディに移植した人間とロボットのハイブリッド<ヒューマン2.0>が宇宙へ送り込まれる。<ヒューマン2.0>がヴォイド内部の映像を無事に持ち帰るが、謎は深まるばかり…。彼らはなぜ地球へやって来たのか?人類に何を伝えたいのか?しかし、そこは衝撃の結末が待ち受けていた――!

フェイクドキュメンタリーの良さ

スペースエージェンシーという宇宙開発を手掛ける企業の内部広報用に製作されたという形のフェイクドキュメンタリー形式の作品です。この形式というのは、フィクションを実在する出来事のように見せるという手法といって良いと思います。あたかも実話のように語られる形式のため(鑑賞中に限っては)そこで描かれていることを本当だと信じられることがこの手法の良いところだと個人的に思っています。いやもちろん心の底から信じられるわけではなく、自分から信じ込むよう意識を持っていく必要がありますが・・・。

宇宙人の存在を信じたい派としては本作を観ている間は気持ちよく「宇宙人って本当にいたんだ・・・!」と信じることができるのです。この「信じられる」度合いはその作品のフェイクドキュメンタリーとしての出来によると感じます。役者の演技や構成、画質などなど…。実際のドキュメンタリーにみえるクオリティのフェイクドキュメンタリーであるほど「信じられる」度合いは上がります。本作はその点でのクオリティは高く、結構信じ込むことができました。

展開があっさり過ぎる箇所も…

展開があっさりしすぎている場面が結構多いですがこれもフェイクドキュメンタリーという形式ゆえだと思います。普通の劇映画だったら“ヴォイド”突入の前に宇宙船内でのクルー同士の会話なんかも入れると思いますが、本作は社内広報用のドキュメンタリー(という体)なのでそういう場面は入っていません。そのかわり社員があれこれ語るインタビューが多めで淡々とした印象になっています。

ヒューマン2.0開発秘話

“ヴォイド”に突入するには人間の脳みそと機械の体を組み合わせ新たな人類“ヒューマン2.0”を創りあげる必要があるという展開があります。個人的にここが一番のお気に入りシークエンスです。まず、本作の監督、結構鬼畜かもなと思った場面について。面接を経てヒューマン2.0の候補者に選ばれたのは体が不自由で人生の多くの時間を車いすで生活してきたという男性でした。「それまで体が不自由だった人が新たな体を得たことで自由に動き回れるようになる」ってそれだけで観客の心をつかむかなり盛り上がるシーンになりそうです。(ジェームズキャメロンのアバターもそういうシーンがありました)しかし、なんとこの男性は移植手術に失敗し死亡してしまうのです。予想外の展開に思わず心臓がビクンッとしてしまいました。しかもここはあまりにもあっさりと流されるので余計に暴力的に感じます。この監督もしかして鬼畜なんか…?と思う場面でした。あと好きなのは、実際の脳移植プロセスが説明される場面です。率直に言って、人間の脳を機械と融合させるシーンを詳しく説明されると結構吐き気を催す気持ち悪さに襲われました。個人的には、日ごろから長生きできるなら機械の体になってもいいかなと思ってきましたが、実際にそれを詳しいプロセスを交えて見せられると超おっかないやんけ…と。特に機械の体になった後声がうまく出せないという場面。そのリアルっぽい生々しい描写に恐怖を感じました。あと、機械の体になった後の人間の不憫さはたまらないものがあります。人間の肌に似せて作られた部分は顔の目とおでこあたりだけであとの部分は金属でできており全く人間味を感じません。さらに、移植手術を受けたのが女性であるにもかかわらず、おそらく男型と思われるごついフォルム…。ここに上記のうまく声が出ないという描写が来るのでたまらなく不憫でしょうがない…。

ラスト周りの話

基本的には面白い作品ですが、正直ラストのあたりはどうも好きにはなれません。宇宙人が攻めてくる話のほうが好きなためにそうじゃなくてがっかりしたという身も蓋もない理由がひとつ(笑)あと、いくつか好きになれない場面がありまして…。“ヴォイド”が地球に現れたのは飛来するデブリから地球を守るためだった…というのがオチですが、それに対して本作の主人公であるジリアンが以下のようなことを語ります。「私たち人類は“ヴォイド”の正体を知りもしないうちから敵だと決めつけ、恐れ、攻撃的な態度をとってしまった。これから人類は未知なるものを目の前にした際はもっと冷静になって正体を見極めていかなければならない…」というもの。まぁ、この彼女が語ること自体には一応同意しますが、こういうことをドストレートに言葉で語られると白けてしまうというか…なんだか居心地が悪い感じがしてきます。ただ、この上手くないメッセージの語り方も、本作が社内広報用に作られたドキュメンタリー(という体)だということを考えると、そこまで気にならなくはなりますが…。あともうひとつ。知的生命体が人類を生かした理由が明かされる場面もイラッと来てしまいました。“ヴォイド”に宇宙船で突入する際、人類の情報を映像や音声でおさめた記録デバイスも一緒にもっていったのですが、これを見た宇宙人が「人類もまだまだ捨てたものではないなぁ(意訳)」的な理由で人類を助けることになったわけです。ここが宇宙人からの上から目線を感じイラッとしてしまいました。その後に続く展開は都合よすぎ感があるものの結構好きですね。地球を守った“ヴォイド”が役目を終え消えたかと思うと今度は突如、宇宙空間に次々と惑星が生まれ始めるというもの。しかも、地球のすぐ近くにできたのは、人類にとって移住可能なレベルで環境が地球と似た惑星だったのです…!あまりにもなご都合主義に笑えてきますが、ここまでぶっ飛んだ設定を入れてくれるサービス精神に感謝したいです。

総評

結構クセのある作品で見る人を選ぶかもしれません。“ヴォイド”の正体や目的に関してはがっかりしてしまいました。ただ、個人的には面白く観ることができました。というわけで評価は8/10としました。ちなみに今月(2019年7月)リリースの「クリムゾンプラネット」も本作と同じハズラフ・ドゥルールが監督していてこちらも楽しみです。

ストーリー紹介

登場人物

ジリアン・ラルー:“スペース・エージェンシー”という宇宙開発企業の代表を務める女性。

ジム・マルセル:宇宙飛行士の男性。宇宙ステーションでの船外活動中にデブリと衝突し、消息不明になってしまう。

ジェシカ・ジョンソン:宇宙論学者の女性。人間の脳と機械の体を融合させたヒューマン2.0になることに。

宇宙ステーションで起きた事故

“スペース・エージェンシー”はジリアン・ラルーが代表を務める宇宙開発企業。ある日、その“スペース・エージェンシー”が有する宇宙ステーションで船外活動中だったジム・マルセルが突如飛来したデブリと衝突して消息が不明になってしまいます。

異常体“ヴォイド”

デブリが発生した直接の原因は重力波、電波を放つ超新星の残骸に似た物体(のちに“ヴォイド”と名付けられた)が宇宙空間に出現したことでした。“ヴォイド”から発せられた電波の周波数を調べた結果、地球外生命体の存在を示している可能性があると判明。

ヒューマン2.0

“スペース・エージェンシー”は知的生命体とのファースト・コンタクトを果たすべく“ヴォイド”の調査を開始しました。何度も無人機を送り込みますが、知的生命体との接触には至りません。無人機での調査では限界があるとの判断が下され、人の脳を機械体に移し替えたヒューマン2.0が“ヴォイド”へと送り込まれることになりました。

新たに黒い物体が出現

そんなある日、世界各地の上空に黒い球体が出現します。各国はその球体の出現を地球規模の脅威と認識。球体の周りに軍隊を配置し、緊急事態に備え始めました。

“ヴォイド”での有人調査

ヒューマン2.0に選ばれたのは“ヴォイド”への理解を深めていた宇宙論学者のジェシカ・ジョンソン。彼女は、人類の情報を映像や音声でおさめられている記録ドライブを乗せた宇宙船で“ヴォイド”へと入っていきます。しかし、途中で地上との連絡が途切れ、消息不明に・・・。その5日後、宇宙船は地球へと帰還します。ジェシカは意識不明の状態で発見されます。後日、ジェシカは意識を取り戻し、“ヴォイド”での体験を語り始めます。宇宙船は“ヴォイド”を抜け、惑星のような球体に着陸。ジェシカはそこで亡くなったはずの宇宙飛行士ジムと出会い、テレパシーのような形で「心配ない」という彼の言葉を聞いたと言います。

地球へ飛来するデブリ

それからしばらくして、突如デブリが発生し、地球へ飛来してきます。絶体絶命化と思われたその時、それまでは静止していた黒い球体が形を変え地球を覆うように拡がっていきます。その球体はデブリを受け止め地上へ降り注ぐことはありませんでした。

彼らの目的とは?

ジェシカの記憶を読み解いた結果、地球外生命体の存在や彼らの意図も明らかになりました。彼らは宇宙船に積んでおいた記録デバイスの情報を閲覧し、人類は生かす価値があると判断し、デブリの襲来を防いでくれたのでした。

新たな惑星が生まれ始める

その役目を終えた“ヴォイド”は消滅、“ヴォイド”の向こう側にいたと思われるジムはある砂漠で発見されます。彼には“ヴォイド”にいたころの記憶は一切残っていませんでした。“ヴォイド”の消滅後、太陽系の近くに惑星が次々と生まれ始めます。それはさながら新たな太陽系のようでした。地球の近くにも、惑星が誕生。そこは地球と似た環境で人類にとっては最適な場所でした。世界規模で議論をした結果、その惑星への有人飛行が開始されました。

おわり

参考サイト:映画.com/Amazon

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