「パラサイト 禁断の島」映画感想(ネタバレ)丁寧に作られた島サバイバル映画


パラサイト 禁断の島(字幕版)

「パラサイト 禁断の島」は2018年のアメリカ製スリラー映画です。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

作品情報

監督:フランク・カルフン

キャスト
クリスティン・フロセス
ローガン・ミラー
ジョリーン・アンダーソン
アンソニー・ジェンセン

原題:PREY

製作年:2018年

製作国:アメリカ

上映時間:85分

感想

マジメにそつなく作られた映画という感じでした。ただ、面白いかと言えばそれは別の話ですが…。

無人島で2日間、ひとりで過ごす更生プログラムに参加したトビー。孤島で自分を見つめ直すはずだったが、マデリンという少女に出会う。彼女は島に閉じ込められているようで…。

※【重要なネタバレなしの感想】とその後【重要なネタバレを含む感想】が続きます。

よくできた導入

年頃なのか一緒に車イジリをしようと父から誘われるもそれを断りネットサーフィンに没頭するトビー。その直後、ひとりで車を整備していた父が強盗に殺されてしまいます。心に深く傷を負ったトビーは自己回復プログラムの一環として無人島でサバイバルをすることに。この導入は短い尺ながらよくできていると思いました。親に冷たい態度を取ってしまい今は後悔しているという多くの人が経験したであろうあるあるなシチュエーションで観客をグッと映画に引き込みます。この後もトビーが父からの誘いを断った場面がフラッシュバックとして出てきたり、ある場面の給油シーンで父と一緒に車イジリをしていた過去映像が出てきたりと結構切ない気分にさせられます。このあたりは、丁寧な演出でよかったと思いました。

サバイバル描写について

個人的に映画でもドキュメンタリーでもバラエティ番組でも何でもいいですが、文明の利器が何もない状況でサバイバルする様子を見るのが結構好きです。本作も即席テントを立てたり魚を取って焼いたりとサバイバルしてるシーンがあり、その部分に関しては楽しいです。ただ、そういうシーンはわりとあっさりしており分量自体も少なめ。というのも、食料や寝床を確保することよりも、その無人島にいる「何か」から身を守りどうやってそこから脱出するかという方がストーリーのメインだからです。ではその「何か」からサバイブするシーンが面白いかと言えばそこまでではありません…。ところどころで「何か」の気配を感じるという描写ばかりで、直接的にトビーが襲われるという場面は意外と少ないのです。そこはこの後のネタバレコーナーで具体的に紹介します。


重要なネタバレあり


中盤以降の話

中盤あたりで、トビーに対し危害を加えようとする「何か」の正体がどうやらトビーが無人島で出会ったマデリンの母親だということが明かされます。トビーはマデリン母から身を隠すわけになるのですが、ここの緊張感がまるでなく退屈です。理由を考えてみると、マデリン母が直接トビーを襲ってくる描写がないからです。危険なのは実は母ではなくマデリンだったというツイストを考えるとそれも当然なのですが、何らかの形で母がトビーを襲う(ようにみえる)展開を入れてくれたらもう少し楽しめたと思います。たとえば、母が実はマデリンが危険だと伝えるためトビーに近づく、そして、トビーは母が殺しにやってきたと勘違いし逃げて、母はその後を追いかける、的なシーンが一つでもあれば作品全体の満足度ももう少し高くなったでしょう。上記のツイストについてもう少し具体的に説明すると、危険だったのは母ではなく島にいた「何か」に取りつかれたマデリンだったというもの。母は島にやってきた人間をマデリンと会わせないよう行動していただけだったのです。

マデリンが初めて登場したとき、島暮らしが長いわりに華奢で小ぎれいすぎ、さらに言うと、主人公が無人島にやってきたらそこには同じ年ごろの美少女がいて仲良くなって…というのは笑ってしまうほどボンクラな設定だと感じましたがさすがにそこはしっかりと理由がありましたね。それを踏まえるとマデリンのどこか神秘的な存在感は素晴らしいとも思いました。

最後の最後につくオチは悪くはないけどパンチが弱いと感じます。マデリンに襲われながらもなんとか振り切り助けに来た救助船まで泳ぐトビー。しかし、その途中でマデリンに追いつかれ襲われてしまいます。カットが変わり救助船には防寒具に身を包んだ一人の人物が…。トビーかと思いきやそれはマデリンでした。マデリン母が前のシーンでマデリンを島から出すとヤバいことになる的なことをトビーに話していたので、このオチはマデリンが島から人の多い陸に上がりこれから大惨事が起きるということを予感させるものです。このオチ自体はワクワク感があってイイと思うのですが、舞台となる場所がトビーの住むアメリカ(?)を除くとトビーのやってきた無人島のみなので、その島意外に世界があるような感じがせず、オチが弱くなっていると思いました。たとえば、トビーが無人島にやってくる前に人がたくさんいる港町なんかを映しつつそこからボートで無人島に向けて出発するというシーンを入れれば世界に広がりが出て良かったのではないでしょうか?

総評

全体的に丁寧に作られた映画だが、そこまで面白くはないという映画です。まったく楽しめないわけではないので、時間に余裕があればおススメします。

というわけで評価は6/10としました。

ストーリー紹介

近頃、父に対して冷たい態度を取るようになった10代の少年、トビー。ある日も父に車の整備を一緒にしないかと誘われるも、それを断りネットサーフィンに夢中になっていました。父は、屋外に出てひとりで車の整備を始めますがそこへ被り物をした男たちがやってきて父を襲い車を奪って逃亡…。その後、父は死亡が確認されました。

トビーは父の死から立ち直るためメンタルに問題を抱えた子供たちのための自己回復プログラムに参加…。その内容は無人島で数日間、たったひとりのサバイバルをするというもの。引率スタッフの操縦するボートがパラウアバイにある無人島につきトビーはさっそくサバイバルを始めます。ときおり何者かの存在を感じながらも。そうこうするうちに、子どもの頃宣教師の両親に連れられてきて以来ずっとその島に住んでいるという少女(マデリン)と出会います。やがて二人は心を通わせ親密な関係になっていきます。そんななか、トビーがマデリンの住む家に近づこうとしたところ、マデリンは見つかればあなたは母に殺されるとそれを阻止。トビーは仕方なく別の場所に寝泊まりすることになります。

引率スタッフがトビーのいる島にボートでやってきますが、何者かに襲われて死亡してしまいます。ボートの近くでマデリンの母を見たトビーは、彼女を危険な人物だと確信し、マデリンを連れ島から出ていくことを決意しました。

マデリンの家に密かに侵入しそこにあった無線機で助けを呼ぼうとしたところ、マデリンの母に見つかってしまいます。森の中を必死で逃げるトビーをマデリンの母が追いかけてきます。その途中で、彼女は罠にかかり瀕死の重傷を負ってしまいます。そして、最後の力を振り絞りトビーにマデリンの正体を明かします。実は引率スタッフを殺したのはマデリンだったのです。マデリンが子どもの頃、その島で彼女は得体の知れない「何か」に取りつかれ、島民や彼女自身の父を殺してしまったのです。それ以来、母はマデリンと人を会わないようにつとめてきたのでした。母はマデリンをこの島から出さないで、とトビーに言い残し力尽きてしまいました。

しばらくして、トビーの前にマデリンが姿を現します。彼女は母の死体を発見しておりトビーの前に運んでやってきました。これで島から出られると喜ぶマデリンでしたが、トビーの様子がおかしいことに気づきます。トビーはマデリンを殴り倒し、助けを呼ぶため灯台に上りライトを点灯させます。それでも襲い掛かってくるマデリンを倒し、灯台救助船へ向かって海を泳ぎ始めます。救助船まであと少しのところまで来たとき、マデリンがトビーの背後に姿を見せました。

救助船には保護されたひとりの人物が乗っていました。それはトビーではなくマデリンでした。

おわり

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