今回は「ダークサイド」を鑑賞しました。
モーテルを買い取り経営を始めた夫婦だったが、宿泊客がチェックアウト後に何者かに殺されてしまい…というスリラー映画。
常に不穏な雰囲気が立ち込める作風が非常に好みの作品です。
個人的な評価は7/10点です。
作品情報
監督:ティム・ハンター
出演:ニコラス・ケイジ、ロビン・タネイ、マーク・ブルカス、アーニー・ライヴリー
原題:Looking Glass
製作年:2018年
製作国:アメリカ / カナダ
リリース:2018-11-16
上映時間:104分
映画サイトでの評価:「IMDB」4.6/10点、「フィルマークス」2.5/5点。
ストーリー紹介
感想
レイとマギーの夫婦は、ベンという男からモーテルを買い取り経営を始める。しかし、そのモーテルに宿泊した女性が後に死体で見つかるなど、不穏な出来事が起き始める…。レイはベンに話を聞こうとするが…。
・不穏な雰囲気がたまらない
レイにはかつて子供がいましたが、転落事故で亡くしています。事故当時、レイは隣人との浮気中でした。つらい過去から逃げ妻と人生をやり直すため新天地でモーテル経営を始めます。
本作では序盤から、新たに人生を切り開こうとするレイの人生を狂わしかねない出来事をたっぷりと時間をかけて積み重ねていきます。どこか様子がおかしい元オーナーとの電話からはじまり、客室を覗けるマジックミラー、プールに投げ込まれる豚、かつてモーテルで死んだ女性がいたという過去、保安官による尋問・・・。これらの要素を通じて、経営を引き継いだレイには知りえないモーテルの謎がほのめかされつつ、なかなかその全容を掴ませてくれないまま時間が進んでいきます。非常に息苦しく不穏な雰囲気が終始漂う作品に仕上げられていました。
レイはさまざまな不穏な出来事に直面し、その対処に追われるなかで妻との関係がさらに悪化。モーテルがかかえる闇も深すぎて、今後の人生設計が狂わされるのではないかと考えたレイはそれまで連絡がつかなかったベンと直接会うことになりますが・・・。
それまで、受け身だったレイが自発的に行動し始めるのはこのあたりからで、すでに映画は終盤も終盤です。そこからは唐突にラストまでたどり着く感じで前半から積み上げてきた謎はそのままほったらかしに…。謎を積み上げたことで醸し出される不穏な雰囲気は素晴らしいですが、違う言い方をするとほぼ不穏な雰囲気だけで成り立たせたような映画でもあります。
・よそ者であるレイ
本作はモーテルのある土地のことを知らない、よそ者であるレイの視点から描かれます。レイが出会うひとたちは彼からしたら素性が知れない人物ばかりです。この映画はこの「素性のしれない人」の不気味さを強調して描いていて、そこが常にピリついた緊張感を生み出しています。レイがモーテルの常連だというトラックの運転手トミーと初めて会う場面もなぜか緊張感があるんですよね。ベンが経営していたときは書かかなった個人情報を書かせるかどうかのやりとりが効いているんでしょうか。そして、さらに良かったのは保安官のハワードですね。レイに対する微妙にとげのある発言や言動でじわじわとレイに圧をかけるスタイルが非常にイヤらしくてたまらない。普通に何気ない話をしていたかと思ったら、急に攻撃的な態度むき出しでレイに迫ってくる。この緩急つけて追い詰めてくる感じが非常に怖いです。
※ここからは重要なネタバレを含みます。
・謎が謎のまま終わってしまった
ラストについて少しだけ・・・。前半から積み上げてきた謎は謎のまま残し、犯人と格闘して終わりっていうのはちょっと。あのSM嬢と犯人の関係とか、豚を投げ込んだのは誰なのか?とか、ガソリンスタンド従業員は犯人とグルだったのか?まぁ想像すれば大体わかる点ばかりではあるのですが、もっとそういう周りの要素と絡めながらラストに進んでいってほしかったなぁ…。
まとめ
起こっていることの全容を把握しきれず翻弄される感じはいいけど、最後まで起こったことの全容を説明してくれずにそのまま終わったスリラー映画という感じ。
終盤こそアレですが充分楽しめた映画でした。現在、アマゾンプライムビデオの見放題に入っているのでもしよかったらどうぞ。
というわけで評価は7/10点としました。
その他の注目ポイント!
・レイがモーテルオープンに向け清掃や設備点検などをしていくシーンの高揚感
・ベンの顔つき、独特の身振り手振り
・主人公が店の経営者(従業員)で、その視点から訪問客を見るワクワク感
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