「リトル・モンスターズ」映画感想(ネタバレ)トラクターの速度に合わせた「走らないゾンビ」コメディー

「リトル・モンスターズ」は2019年のイギリス・オーストラリア・アメリカ合作のゾンビホラー・コメディ映画。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

作品情報

監督:エイブ・フォーサイス

キャスト
ルピタ・ニョンゴ
アレクサンダー・イングランド
キャット・スチュワート
ジョシュ・ギャッド
原題:Little Monsters

製作年:2019年

製作国:イギリス・オーストラリア・アメリカ合作

上映時間:93分

感想

冴えないミュージシャンのデヴィッドは、恋人に浮気されて姉の家に転がり込む。甥が通う幼稚園の先生キャロラインに一目ぼれした彼は、自ら志願して甥の遠足に同行することに。遠足中、子ども向けテレビ番組の司会者テディ・マクギルに遭遇し、子どもたちは大喜び。そんな彼らの前に、突如としてゾンビが現れ……。

※重要なネタバレなしでいきます。

いつも暗ーいホラー映画ばかり観ているとたまにはこういう明るめの作品を観たくなります。主人公・デヴィッドが幼稚園児や幼稚園の先生と一緒に訪れた動物園でゾンビたちに襲われるホラーコメディ映画です。

ホラー要素は薄め。なんといってもコメディなので一般的なゾンビ映画のような切迫感、緊張感はありませんね。そのかわりやたらと下ネタが連発され、強烈な面白いキャラが出てきたりもしてめちゃくちゃ笑える作品です。

特に序盤、彼女にプロポーズするため甥を連れて行くも、その彼女の浮気を目撃してしまうシーンなんか色々と悲惨で面白すぎる…。スターウォーズ、というかダースベーダーネタが出てくるのも嬉しいあたり。

テディ・マクギグルという子供に人気なテレビタレントも主人公と同じ動物園にやってきていたのですが、このキャラが最高。テレビのキャラとは違い、いわゆるクズ野郎で、子供の母親たくさんと寝たとかいろんなことを主人公に暴露するとことか爆笑ものです。あとはアル・パチーノの演技論をネタにしたやり取りとかも個人的にはツボでした。こういう印象に残るキャラがいるだけでもうその映画は勝ちというか、このキャラをみられただけで満足度がかなりあがりました。

本作はコメディ映画と言ってもストーリーと関係なく頓珍漢な言動をして笑かすタイプではなく(こちらのタイプも好きですが…)、ストーリーの流れに沿って面白いことをやったり、言ったりするので、登場キャラにリアル感がありきちんと感情移入ができるようになっています。どうしてもおとなになりきれなかった主人公の成長物語として真面目にストーリーが作られておりなかなかの感動があります。

子供を守るために奮闘する幼稚園のキャロライン先生もなかなか素敵です。アレルギーでやばい状態の子供のためにゾンビがいる中を一人で突っ切っていくとこは名シーンですね。このキャロライン先生が子どもたちにウクレレを引きながら歌を歌ってあげるシーンもあります。曲はテイラー・スウィフトの「Shake It Off」がメイン。改めて聞くとなかなかいい歌詞ですな…としみじみと思ったりもしました。主人公も楽器がひけるバンドマンで彼の歌も聞けたりします。このように弾き語りシーンが何度も登場する本作ですが、「子供を元気づけるために前向きな歌詞の曲を弾き語る」とか、僕のような日陰者にとっては爽やかすぎ・眩しすぎで若干鼻白んでしまったりもしましたが、監督もその点は配慮してくれているんでしょうか…?歌が始まると例のマクギグルに「まじかよ」みたいなセリフを言わせて、冷めた視線を入れてバランスを取ってくれています。その点はありがてぇ…。あとは、子供を守るべき存在として丁寧に扱ってみせる一方で、子供にきつい下ネタを言わせたり、ゾンビになった子供は容赦なく殴り殺したりと、結構過激なシーンも多くそのあたりのバランス感覚も素晴らしいと感じます。

総評

コロナウイルスによる感染拡大で気が滅入っているときはこういう明るめのコメディが救いになりました。たまにはこういう作品も観ないとなーと思わせてくれる作品でした。

というわけで評価は8/10としました。

ストーリー紹介

バンドマンのデヴィッドは、ここのところ喧嘩ばかりしていた恋人と別れることに…。

そんなデヴィッドは甥・フェリックスの通う幼稚園の先生・キャロラインに一目惚れしてしまい、なんとか気に入られようと幼稚園の遠足に同行することになります。

動物園を訪れ動物たちとたわむれたりしていたところ、大勢のゾンビが襲いかかってきます。

ゾンビの発生源は“再生プロジェクト”の実験中だったアメリカ所属の研究施設です。

キャロラインとデヴィッドは園児たちを連れ土産屋の中に逃げ込みます。

キャロラインは子どもたちがパニックにならないように今の状況をゾンビが出てくるゲームだと伝えます。

子どもたちはその話を信じ“ゲーム”を楽しんでいましたが、時間が立つに連れ子どもたちは精神的に疲れはじめます。

そんな状況を打開すべく、キャロラインとデヴィッドはトラクターの荷台に子どもたちを乗せてゾンビが徘徊する中を駆け抜けていきます。

道路をしばらく進んだ先にいたアメリカ軍に保護してもらい無事生還しました。

おわり

参考サイト:映画.com


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