「イット・アワーズ」は2018年のアメリカ製ホラー映画。もともとはテレビ映画だった作品。監督は「スクリーム・ガールズ 最後の絶叫」のニック・サイモン。主演のマニーを演じたのは「ジグソウ:レガシー」のマンデラ・バン・ピーブルズ。
結末までのネタバレを含むのでご注意ください。
作品情報
監督:ニック・サイモン
キャスト:
マンデラ・バン・ピーブルズ
ブライトニー・サーピー
サンドラ・セバヨス
ティム・ラス
原題:Karma
製作年:2018年
製作国:アメリカ
上映時間:86分
あらすじ
マニーは妻アリシアの両親と同居し、義父フランクの不動産会社を手伝いながら生活をしていた。そんな中、マニーは家賃を滞納している一家を追い出す仕事で家に向かうが、そこには高校時代の同級生ケヴィンが寝たきりの母親と住んでいた。マニーは仕事と割り切り一家を退去させるが、その後、ケヴィンの母親は亡くなってしまう。そして、その日からマニーに不可解な出来事が起こり始め、ついにはマニーの家族も巻き込まれていく…。
感想
※結末までのネタバレを含むのでご注意ください
怖い場面もあるけど…
怖いシーンも多いけど、終盤で一気に失速していく映画でした。
ある男が仕事で“ひどい行い”をしたがために呪われてしまうという話。
まず、序盤から胃が痛くなる気まずいシーンが連発され、映画の出来を期待させられます。マニーは不動産業を営む義父(フランク)のもとで働かせてもらっています。義父は家賃を滞納する人に立ち退きを迫りその家を買い漁るという方法で金を稼いでおり、マニーはこの仕事を手伝うことに。フランクはマニーに仕事を覚えさせるため立ち退き勧告にひとりで向かわせ自分はそれを後ろから眺めているだけ。マニーはやさしい性格なのか、立ち退きを遅らせようとする家主に対し、あまり強くは出られない様子…。観ていていたたまれない気持ちになる緊張感がピリピリ伝わってくるシーンです。家主も可哀そうだし、この仕事に向いていなさそうなマニー側も可哀そうに思えてきます。マニー役のマンデラ・バン・ピーブルズの顔つきも人が良さそうでそれが効いてますね。その後も胃が痛くなるシーンは続きます。まず、フランクの家に居候させてもらっている(フランクの娘とマニーは結婚している)というところからして若干気まずいです…。夕食の席でフランクがマニーの仕事ぶりに対しダメ出しをする場面もさらに気まずい。その後はいよいよ事の発端となる一番胃が痛くなるシーンです。マニーが立ち退き勧告のためある一軒家に向かうとそこには高校生時代の同級生が住んでおり、さらにその母親は寝たきりの状態だったのです。同級生は立ち退きを延長してほしいとマニーに懇願します。マニーはフランクとその同級生との間で板挟みになりながらも、立ち退きさせる決断をします…。と、ここまで序盤20分ぐらいまではずっと緊張感が途切れずめちゃくちゃ面白いです。さらにその後の、マニーがクローゼットに悪霊が潜んでいるところは見せ方もうまくゾッとする怖さがありました。フランクが仕事中に痛そうな死に方をする場面などサービスシーンも用意されています。また、序盤に限って言うと主人公らに忍び寄る“なにか”がどんな存在かわからないため全体的に不穏な空気が流れていてワクワクします。ただ、その“なにか”が最後まで全く出てこないのはがっかりしました。おそらくその姿をあえて見せないことで想像を掻き立てることを狙った演出だと思いますが、期待して待っていた分残念感はあります。
ラストの展開の解釈
ラストは、フランクとマニーが以前家から立ち退かせた男性(マーカム)がマニーの家にやってきて戦う展開になりますが、ここは違和感があります。あれ?いままでの呪いの話と関係なくないか・・・?と。あまりの話の変わりっぷりに戸惑ってしまいます。どうにかつながりを考えてみるとマーカムは悪霊に操られていた、ということでしょうか。因果応報の話なので、悪霊がその報いを受けさせようとマーカムに復讐させたとみても不自然ではありません。ただ、マーカムはなにかに操られている様子はなく自分の意思で主人公の家にやってきたように見えます。別の考え方をしてみると、悪霊による呪いのことばかりに気をとられ、マーカムに対しては何もフォローをしなかったマニーに対する報いである、という解釈が一番しっくりきます。実際、マニーは「呪いを終わらせるために」善い行いとして退去期限の迫る人々に退去期限延長についてアドバイスをして回りますが、マニーに対して何かサポートをするわけではありません。あのラストの展開が示すのは、マニーが取るべきだった行動は、保身のために悪霊の呪いを終わらせることではなく、ひどいことをしてしまった相手に対しての償いだった、ということでしょうか。とすると、因果応報の物語はケヴィンを立ち退かせたときではなく、マーカムを立ち退かせたときにはじまっていたのです。
総評
序盤から中盤にかけての不穏な雰囲気はかなり好みでワクワクしながら観ていました。何かが実際に登場する箇所はないのは少々がっかり…。ラストの展開もどういうこと…?と戸惑ってしまいますが、後から考えると自分なりに理解はできたのでまぁこういう話もありかなと思いました。ただ、わかりにくいのはわかりにくいですが…。というわけで評価は6/10としました。
ストーリー紹介
登場人物
マニー:アリシアの夫で、彼女の両親の自宅に住まわせてもらっている男性。不動産業を営む義父(フランク)のもとで働いている。
フランク:アリシアの父親で不動産業を営んでいる。家賃を滞納している人間に立ち退きを迫り、その家を買い取っている。裏では、家主の立ち退き延長の申請を許可しないように登記所の役人を買収している。
ケヴィン:マニーの高校時代の同級生で、現在は寝たきりの母親を看病しながら一軒家で暮らしている。
不動産業手伝いの男
マニーは妻(アリシア)の両親の家に住まわせてもらい、不動産業を営む義父(フランク)の手伝いをしながら生活していました。マニーの業務は、家賃を滞納している人を家から立ち退かせることでした。
不可解な出来事が起き始める…
ある日、いつものように立ち退きを迫ろうと一軒の家に向かうとそこには高校時代の同級生(ケヴィン)と寝たきりの母親が住んでいました。マニーは心苦しい思いをしながらも業務を全うするため彼らを家から出ていかせました。それからしばらくたち、ケヴィンの母親が死んでしまったことを知ります。それ以来、マニーは自宅で幽霊のようなものを見たり、妻のアリシアが見えない何かに突き飛ばされ車に轢かれそうになったり…。そして、ついにはフランクが仕事先で事故死してしまいます。
不幸をもたらす何かの正体
マニーやその家族に起きた一連の出来事は、“アダルマ”という復讐の悪魔の仕業でした。アダルマはカルマ(因果応報)が具現化した存在で、マニーがケヴィンに対してとったひどい行いのせいで、マニーにも乗り移ってしまったのでした。
呪いを終わらそうとするが…
マニーは自分たち家族が助かるためには善い行いをするべきと考え、立ち退きが迫った滞納者の家々を回り、立ち退きの期限延長方法についてアドバイスをします。しかし、それでも呪いは解けていませんでした。マニーの妹が調理器具の爆発によって大やけどを負ってしまったのです。マニーは家族に迷惑をかけるからと家を出ていってしまいます。彼の留守中、家に残されたアリシアやその母のもとにある男が訪ねてきます。彼はフランクに家を立ち退きさせられ人生をめちゃくちゃにされた人物でした。アリシアたちは包丁を持ったその男に追い回されます。そこへマニーが帰ってきて助けに入りますが、逆に腹を刺されてしまいました。アリシアが襲われているところでマニーが再び立ち上がり男の頭をバットで殴って殺しました。そこへ電話で助けを求められた神父が到着しその凄惨な現場に思わず声をあげました。
おわり
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