「ホローズ・グローブ」映画感想(ネタバレ)POVホラーの何が面白いのかに改めて気づかされた映画

今回は2020年2月12日にリリースされた「ホローズ・グローブ」を鑑賞しました。

超常現象調査チームが立ち入った孤児院で恐ろしい現象に見舞われるホラー映画。

POVホラーのどこが好きかということに気づかされた映画です。

さて、本記事の前半は、あらすじ・スタッフ・キャストの紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。

「ストーリー紹介」コーナーでは、ネタバレなし・ありで分けています。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分を見ることをおすすめします。

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あらすじ

ドキュメンタリー撮影班が心霊・超常現象を調査・撮影するため訪れた孤児院は、少女による殺人事件や看護師が自殺するなど不幸な事件が起き、閉鎖されて廃墟となっていた。撮影当日、建物で様々な不思議な現象が起こり、当初は仕掛けだと思っていた撮影クルーが次々と犠牲になっていく。

スタッフ・作品情報

監督: クレイグ・エフロス

原題:Hollows Grove

製作年:2014年

製作国:アメリカ

上映時間:80分

キャスト

マシュー・キャリー

サンクリッシュ・ベラ

ブレシャ・ウェッブ

ヴァル・モリソン

マット・ドハティ

映画サイトでの評価

海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中4.9点(1128件の評価)。

ストーリー紹介

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

・かつて孤児院だった建物(ホローズ・グローブ孤児院)に立ち入り心霊・超常現象を調査していたチームが不可解な死を遂げる。

・そのチームは調査の様子を映像として収めていて、その映像はのちにFBIの手に渡る。

・事件解決への糸口を見つけたいFBIは映像に編集を加え、協力者に向けて公開した。

・映像の内容は以下の通り。

・超常現象調査チーム“スピット”が番組制作のためホローズ・グローブ孤児院に立ち入る。

・そこは職員による孤児の虐待、看護師の自殺などがおきたいわくつきの建物。

・院内を巡りながらそこでかつて起きた悲劇をカメラの前で語っていく。


ここから重要なネタバレあり


・実際に超常現象が起こり一人づつ殺されていく。

・その後、“スピット”が撮影していた映像が発見される。

ここでエンディング。

感想

※今回は重要なネタバレなしで行きます。

結構面白いホラー映画でした。

本作は全編がビデオカメラの映像によって構成された、いわゆるPOV(かつファウンドフッテージ形式の)ホラー映画。この手のほかの映画と比べてとくに新鮮味はないのですが、そのぶん手堅く作られていて、POVホラー好きとしては大満足な一本です。僕がPOVホラーに求めるモノというのはもしかしたら少し偏っているかもしれませんので、今回はそこを中心に語ります。これから語ることに共感してもらえる人は本作を楽しめると思いますが、そうでなければ退屈に感じてしまうかもしれません。なんせ後半まで大きな事態がほぼ起こらないので・・・。

POVホラーの魅力とは?

この映画を観て自分がPOVホラーのどこが好きなのか?ということに改めて気づきました。それはずばり自分もその場にいる感覚を味わえること。POV映画の利点として「迫力がある」という点が挙げられることがありますが、僕はむしろ「映画のなかにいる感覚」、もっというと「映画の中の登場人物とともに行動している感覚」が好きなんです。

POV映画ではなぜこの感覚を味わうことができるのか?理由は二つあります。一つ目は、観客の観ている映像が劇中の登場人物によって撮影された映像であること(POV映画にはキャラの目線や定点カメラの映像といったものも含まれますが今回は省略します)。そして、二つ目はPOV映画によくある登場人物同士のしょーもないやり取りやふざけあいなどの「無駄な会話」があること。

一つ目はわかりやすいですね。観客がみている映像=劇中のキャラの撮影するカメラ映像である。つまり、観客=そのキャラなので、次第に劇中に入り込んだ感覚がしてくる、と。

では二つ目の「無駄な会話」があるというのは「映画の中の登場人物とともに行動している感覚」とどう関係しているのか?POV映画における「無駄な会話」の部分って世間には公開しない(つもりの)、仲間だけの内輪な会話なわけです。そんな仲間しか知りえない会話を観客であるオレも知っている=オレもその仲間の一員である、という図式が成り立つのです!(普通の映画にも内輪だけの会話はもちろんあるがそれは当たり前のことであり特段意識しない)

この二つの特性を持つ本作を観ていると自分もチームの一員として輪に加わってる感覚がしてくるわけです。中盤あたりで孤児院に足を踏み入れてからも彼らと一緒に肝試しをしている気持ちになり高揚感がありました。このワクワクする感覚がたまらなく好きなんですよ。

と、まあこんな感じでPOV映画ならではの魅力を語ってきました。

仲間の一員になれるのが魅力のPOV映画ですが、当然仲間となるキャラを好きになれなければ台無しです。その点、本作はキャラが非常に魅力的に描けていて大満足です。とくに、チームのリーダーであるティム。彼のルックスは映画のセオリーから言うと冷徹なクズキャラっぽいですが、意外と仲間思いないいやつであり、そのギャップが印象的。POV映画のなかには、キャラが魅力的に描けていないものもあり、そういう場合はいくら映画の中に入り込んだ感覚になっても全然ワクワクしないんですよね。

ホラー映画としての出来は?

POV映画ならではの良さがあるのはわかったけど実際ホラー映画としてちゃんと怖いの?という話ですが。まぁ普通レベルに怖いです。前半から中盤までためにためて後半一気に畳みかけるタイプのよくあるパターンですね。超常現象なんて起こるはずないというスタンスで孤児院を撮影して回っていると、ところどころ不可解な現象が起こりはじめ…という導入から始まり。それでもその場にいない仲間が仕組んだことだろうと気にせず撮影を続行していると、本格的な超常現象がはじまり次々犠牲になっていく、と。子供の霊が出てくるとこ、取りつかれたキャラが窓をパリーンと突き破って落下するところ(勢いが良すぎておもしろくもある)、超常現象が本物だと気づいたティムが取り乱してあちこち部屋を移動しまくるところ(パニックから急に超冷静になるところが最高)などなど。後半は本当にいろんなタイプの恐怖表現がみられてそりゃテンションはどうしても上がってしまいます。

バックステージものという側面もある

映像作品制作の裏側を描いた、いわゆるバックステージものとしての側面も持っています。僕はバックステージものも好きなジャンルで、一粒で二度おいしい作品。撮影の打ち合わせ、レポーター役が入れ代わり立ち代わり話す姿、後で編集でカットできるからとあれこれ無駄口をたたく姿とか映像制作の舞台裏がなかなか興味深い。しかも、POV映画の特性のところでも話したように自分もその場にいる感覚を持って観ているから、僕もその制作に関わっている感じがしてきてさらに楽しい。

総評

僕がPOV映画に求める要素をきちんと備えていてなかなか楽しめた作品。前半の「無駄な会話」シーンが全然楽しめない人にとってはただテンポの悪い映画という評価になってしまうかも・・・。

僕と同じく「無駄な会話」好きという方は、「ハロウィン・レポート」「フッテージ ~惨劇までの13日間~」あたりがおすすめです

「ハロウィン・レポート」映画感想(ネタバレ/結末)旅のワクワク感はいいけど…

ということで、評価は8/10としました。

参考サイト:ゲオ宅配レンタル

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