今回は2020年9月2日にリリースされた「グレタGreta」を鑑賞しました。
あることをきっかけに老年女性にストーキングされることになった若者女性・フランシスの話。
この老年女性・グレタがフランシスにつきまとう様子がとにかく怖い!
これは結構おすすめなスリラー映画です。
さて、本記事の前半は、あらすじ・スタッフ・キャストの紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。
「ストーリー紹介」「感想」コーナーでは、ネタバレなし・ありで分けています。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分を見ることをおすすめします。
あらすじ
フランシスは地下鉄の座席に誰かが置き忘れたバッグを見つける。持ち主の未亡人・グレタの家までバッグを届けたフランシスは、年の離れた友人としてつき合うようになるが…。
スタッフ・作品情報
監督:ニール・ジョーダン
原題:GRETA
製作年:2018年
製作国:アイルランド・アメリカ
上映時間:98分
キャスト
イザベル・ユペール
クロエ・グレース・モレッツ
マイカ・モンロー
スティーヴン・レイ
コルム・フィオール
映画サイトでの評価
海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中6.1点(16461件の評価)。
国内大手レビューサイト「フィルマークス」では5点中3.5点(759件の評価)。
ストーリー紹介
※まずは重要なネタバレなしで行きます。
主人公は友人のエリカと一緒にマンションで暮らすフランシス。
ある日、電車の中でバッグの忘れ物を見つけたフランシスは、その本人の家にバッグを届けに行いきます。
その人物は自分の母親と同じ年代の女性・グレタ。フランシスはグレタの家に招かれお茶をします。
お互いに気が合ったのか、ふたりはその後も頻繁に会うようになっていきます。
しかし、ある日グレタの家で不自然な量の同じ種類のバッグを発見。実は、孤独なグレタは話し相手を見つけるためわざとバッグを街なかに置いて、届けに来た人と親密な関係になるということを繰り返していたのでした。
フランシスはグレタと縁を切ろうと連絡を絶っていましたが、グレタが職場まで来たため仕方なく大量のバッグを見つけたことを正直に話し、もう来ないでと言って別れます。
しかし、その後もグレタはフランシスにつきまといます。
グレタの行動はだんだんエスカレートしていき、フランシスの働くレストランで大暴れし警察に拘束されます。しかし、その後すぐに釈放されてしまいます。
悩んだフランシスは、友人のエリカに相談します。エリカは「縁を切ったことを謝ってしばらく遠くに出かける」とグレタに言えば、標的が別の人に移るだろうと助言しました。フランシスは助言の通り、グレタに会って謝罪し、しばらく遠出すると伝えます。
ここから重要なネタバレあり
しかしその嘘はグレタには見透かされていました。グレタはフランシスの住む家に忍び込みコーヒーにクスリを盛ってフランシスの体の自由を奪い、自宅まで連れて帰ってしまいます。そして、フランシスを軟禁状態にした上で自分と一緒に過ごさせることで孤独感を埋めていました。
やがて、フランシスにも飽きたのかグレタは新たなターゲットを探すため、電車の中にバッグを置きます。
それを拾った女性がグレタの家にやってきます。グレタはその女性を家に招き入れ、お茶を出します。しかし、途中でグレタは、意識が朦朧としはじめ身動きが取れなくなります。実は、グレタの飲み物にはクスリが盛られていました。薬を盛ったのはバッグを届けた女性。その正体は変装したエリカでした。エリカは、フランシスを助け、グレタを箱の中に閉じ込めます。フランシスとエリカはその家を後にしました。
ここでエンディング。
感想
※まずは重要なネタバレなしで行きます。
バッグの落し物があったので届けてみたらその相手がやばいやつだった!というスリラー映画。ストーカーに追われるスリラー映画が好きな方は楽しめると思います。
グレタ、怖い
本作の主役はグレタだと言ってもいいと思いますが、このグレタというキャラがめちゃくちゃ怖い。まず、話し相手を見つけるためにわざとバッグを電車に忘れて、それを届けさせるという人の良心につけ込む手法が非常にいや~な感じです。フランシスがグレタの家で、同じバッグを何個も見つけるシーンは強烈で観客はここで一気に引き込みまれますね。
その後、フランシスを付け回すところも超怖い。職場の近くで立ち尽くし、フランシスを見ているカットとか、家にまでやってきて背後に立っているカットとか。被害はフランシスの友人・エリカにまで及び、グレタがエリカを至近距離で写真を撮り、それをフランシスに送る。フランシスがエリカに忠告し、エリカが逃げるとそれを追いかけ何度も写真を撮りフランシスに送って実況中継をする。ここが特に怖くてよかったですね。このように、グレタがストーカー行為をする場面がたくさん出てきますが、そのすべてがちゃんと怖い。おそらくカメラワークがいいのと、あとはグレタを演じたイザベル・ユペールさんの演技や顔のメイクのおかげかと思います。特にメイクの効果は大きいと思いました。おそらく役に合わせて若干不気味な感じになっていて、グレタがフランシスに忍び寄る姿は心底ゾッとしてしまいます。
ここから重要なネタバレあり
深そうで深くない?
大女優と売れっ子若手女優のダブル主演作ということで、そこらのジャンル映画とは違うテーマの深みがある作品かと勝手に感じていましたが、正直深みはあまりないですね。グレタは何らかの理由でおかしくなっていった悲しい人物という設定なのかと思ったら、元からそういう奴だったっぽい。少なくとも劇中では描かれていません。逆にグレタという人物の説明を抑えて捉えきれない人物とすることで、描かれていない部分は各自で補完しながら観てねということなのかも知れません。
ラスト楽しい
ラストは非常に楽しいです。まず、フランシスがすきを突いてグレタの指を切断するという見せ場があります。グレタが指の切断面に注射針を刺し鎮痛薬を投与するところも痛々しい。フランシスの父が雇った探偵とグレタのバトルなんかもあります。薬を盛られ意識が朦朧とする探偵が銃でグレタを狙うも当たらない場面が楽しい。
そして、フランシスが助かる場面もそうきたかとテンションが上ります。グレタが新たな話し相手を求めてバッグを電車に置いてそれをエリカが拾い、変装した状態でグレタの家にやってきてフランシスを助ける、と。敵の手口を逆手に取った逆襲ですね。あと、個人的に序盤と終盤で同じシーンが反復されるところも好きです。序盤でフランシスがグレタの家にやってきたときに、どこからか物音が聞こえてグレタはそれを隣の人が改装中だ、と言います。同じセリフが終盤でも繰り返され、ここで序盤の物音は隠し部屋に閉じ込められた誰かがもがいている音だと気づき、ゾッとします。
総評
グレタというキャラが強烈な印象を残す映画です。彼女がフランシスの周りに現れる場面は、毎回心のなかで「こわっ!」とつぶやいていました。ラストに至るまで見どころだらけで、ほぼ飽きることはありませんでした。話に深みがあるかと思ったら別になかったわけですが、そこは別にあまり気になりませんでした。
フランシスを演じたクロエ・グレース・モレッツさんがこれほど世間で人気なのも納得するほど、彼女が魅力的に撮られた映画でもあります。レストランで働くときは髪型を変えているところとか、自転車を乗っている姿とか眩しすぎる・・・。
ということで、評価は9/10としました。
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