「トラブル・ウィズ・ユー」映画感想ネタバレ(8/10点)重い話を明るいトーンで描いたコメディ映画

今回は「トラブル・ウィズ・ユー」を鑑賞しました。

女性の警察官が、今は亡き夫がある青年を冤罪で刑務所にぶち込んだことを知り、出所後にその青年と接触を図るが思いがけない事態に発展していく・・・というコメディ映画。

不謹慎だったりおバカだったりする笑いがてんこ盛りで、ずっと笑いながら見ていました。

個人的な評価は8/10点です。

この記事の中にはネタバレを結末まで書いたストーリー紹介があるので、本作を未見の方は感想まで飛ばすことをおすすめします。

作品情報

監督:ピエール・サルヴァドーリ
出演:アデル・エネル、ピオ・マルマイ、オドレイ・トトゥ
原題:En liberte!
製作年:2018年
製作国:フランス
リリース:2021-09-03
上映時間:108分

ストーリー紹介

ストーリーの流れを知りたい方はこちらをクリックしてください。(ネタバレを含みます)
警察官のイヴォンヌは同じく警察官の夫ジャンを2年前に亡くしていた。

そんなイヴォンヌがある日、違法SMクラブの客を聴取していたところ、その客からジャンの恐ろしい正体を聞かされる。ジャンは保険金搾取を目的としたニセの宝石店強盗事件でっち上げに加担し、その宝石店の職人アントワーヌの犯行に見せかけ、大金と宝石を手に入れた。アントワーヌは無実にもかかわらず刑務所に収監されることになった。

イヴォンヌは自分の夫が無実の人間に罪を着せたことことにショックを受ける。

ちょうどその時期にアントワーヌが刑務所を出所してきて、イヴォンヌは彼に何か償いはできないかと、尾行をはじめる。そんな彼女が目撃したのは窃盗、強盗、暴力を繰り返すアントワーヌの姿だった。彼は、無実の罪を着せられたことに対する怒りを発散すべく、犯罪行為を繰り返していたのだった。

ある日、アントワーヌが自殺を図ったところをイヴォンヌが止めに入ったことで、アントーワヌとついに対面することになる。警察に対する怒りから犯罪に手を染めるアントワーヌはそんな自分を肯定してくれるイヴォンヌに惚れてしまう。

イヴォンヌはアントワーヌとレストランで食事をすることになるが、仕事が入りその予定の時間に行けなくなってしまう。レストランでひとりで待っていたアントワーヌだったが閉店の時間を迎え店側に退店を迫られる。しかし、アントワーヌはそのまま居座ろうとして揉めてしまい、店員たちを暴行し店に放火してしまう。

アントワーヌは冤罪で捕まる前のまともな自分に戻ろうと努力し続けたものの、元の自分に戻るのは無理だと悟り恋人アニエスに別れを告げる。そして、保険金詐欺が行われた、自分がかつて働いていた宝石店に押し入り強盗を働く。

そこへ遅れてイヴォンヌもやってくる。イヴォンヌは、自分がアントワーヌに罪を着せたジャンの妻であることを打ち明けたうえで、アントワーヌを宝石店から逃がし彼女だけが警察に捕まる。

アントワーヌはアニエスのもとに戻り、強奪してきた宝石を見せる。

イヴォンヌは刑務所で服役後、出所し自分の子供が戻る家に帰る。

感想

警察官のイヴォンヌは2年前に亡くなった警察官の夫ジャンがアントワーヌという青年に罪を着せ、大金や宝石を手に入れていたことを知る。イヴォンヌはアントワーヌの出所に合わせ彼を尾行しはじめる。しかし、そこでイヴォンヌがみたのは強盗などの犯罪に手を染めるアントワーヌの姿だった。イヴォンヌはアントワーヌにまっとうな人生を歩ませようと奔走するが…。

冤罪で投獄された青年が出所後に怒りに任せ犯罪に手を染めていく中、冤罪を着せた男(故人)の、警察官の妻が青年にまともな道を歩ませようと奔走する姿を、ユーモアたっぷりに描いたコメディ映画です。

冤罪という重いテーマを扱いつつも、そこに不謹慎な、あるいは単におバカな笑いを大量に加え、冤罪の件がどうこうより冤罪で投獄されていた男のシャバでの暴れっぷりやいかれっぷりが面白かったという感想がまず最初に来る、クレイジーな一作になっています。

また、アントワーヌが何気ない日常からヌルっとシームレスに犯罪に及ぶ点に鮮烈さがあり、それが映画自体の先の読めなさとなり、もっとハチャメチャな展開に向かいそうだというワクワク感を観客に与えてくれます。

もとは誠実な男が無実の罪で人生を狂わされ、怒りのあまり犯罪に手を染めていく姿の悲痛さはきちんと伝わってくるのでそれはそれで味わってもらうとして、僕としてはコメディとしての打率が非常に高い点をやはり評価したいですね。警察署にやってくる個性あふれる市民たちやアントワーヌによるとち狂った強盗スタイルなどとにかく最高で、このバカらしさをぜひ体験してほしいです。

無茶苦茶に暴れまわるアントワーヌばかりに注目してしまいがちですが、やはり一応の主人公はイヴォンヌであり、彼女もアントワーヌと同様にジャンに人生を台無しにされたと思っていて、似た境遇にシンパシーを感じたのかアントワーヌに手を差し伸べやがて彼に対し自分なりのけじめをつける姿や、同僚警官のルイと親密な関係を築き息子も合わせ3人で新たな人生をスタートさせていく人間ドラマにも要注目となっていますよ。

冤罪によって人生を削り取られた男の悲劇をユーモアたっぷりに笑い飛ばすことが本作の目指したところだと思うのですが、「冤罪」というシリアスな面に注目してみるのか、単に笑えるコメディとして捉えるのか評価が分かれそうではあります。

まとめ

重くなりそうな話をユーモアでたっぷりコーティングした、なかなか笑えるフランス産コメディ映画です。

お話がどうこうは置いといてとにかく笑えるので、もうそこだけで十分じゃね?という感じでした。

というわけで評価は8/10点としました。

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