今回は「呪いの怨恨 エコーズ・オブ・フィアー」を鑑賞しました。
ジャケットには舞台となる家で主人公のアリッサが迫りくる霊から身を隠す様子が映っています。 アリッサという女性が祖父の死をきっかけに、祖父の住んでいた家にしばらく滞在することになるがそこで不可解な体験をしてしまう・・・というホラー映画。 家自体がどこか怖いのが印象的な作品で、そこが非常に自分好みでした。 個人的な評価は9/10点です。
作品情報
監督:ブライアン・アヴェネット=ブラッドリー、ローレンス・アヴェネット=ブラッドリー
出演:トリスタ・ロビンソン、ハナー・レース、ポール・キリコ、マーシャル・ヒルトン、エリフ・サバス
原題:ECHOES OF FEAR
製作年:2018年
製作国:アメリカ
リリース:2021-01-13
上映時間:89分
映画サイトでの評価:「IMDB」5.1/10点、「フィルマークス」2.5/5点。
ストーリー紹介
感想
・祖父の家がやばいところだった
亡くなった祖父の家を引き継ぐことになった女性がその家で恐ろしい霊体験に見舞われて、その真相に迫っていく心霊ホラー映画。 アリッサが亡くなった祖父の家で寝泊まりをするようになって、その家の違和感に次第に気づき始める・・・というのが導入部分。不気味な写真、風呂の水が黒くなる、逃げ出す配管業者、何かを探していたらしい生前の祖父・・・などなど不穏さを感じる描写がちりばめられ、雰囲気作りはなかなかいい。あと、これは細かいところですが「お粗末なホームパーティシーン」も個人的には印象に残っています。主人公とその彼氏が祖父の家に近隣住人を招待してホームパーティを開くんですが、招待された人々と主人公側が言葉を交わすカットが全くない。まぁストーリーに絡んでこないモブキャラなのでどうでもいいと言えばいいのですが、ほかの映画だったら多少の挨拶なりなんなりが描かれますよね?この映画はその描写を省いていてそこが妙な違和感として脳裏に刻み込まれてしまった。これが監督の意図かどうかは定かではありませんがとにかく何か起こりそうな不安感をあおる描写として機能しています。 ・・・と話を戻しまして、祖父の家で感じる違和感からアリッサが祖父が生前に行っていた「何か」を探っていくミステリーテイストであったりもします。そこから幽霊なんかも登場して心霊ホラーとしてちゃんとビビらせてくれるし、そのあとのオチの部分ではテイストがまた変わったりと、最後まで展開が目まぐるしく変わって飽きない作品になっています。
・家自体が怖い
ここまではざっくりと概要を語ってきましたが、本作は最大の特徴はやはり舞台となる家自体の怖さだと思います。ジャケットを見ると、近日リリース予定の「事故物件 恐い間取り」を意識したと思われる「事故物件」押しの売り文句が載っていますが、本作の家はかなり怖いのでこれは納得の売り文句。 本作の製作国はアメリカで舞台もアメリカ(おそらく)ですが、舞台となる家はあのバカでかく芝生の管理も行き届いていて…というみんなが想像するザ・アメリカンな家とはまた違います。丘に建つ家ということで庭は傾斜していて不安定感があります。芝生も生えておらず土がむき出しで、雑然とモノが置かれているのでどこか寒々しさを感じます。玄関を入ってすぐ下りの階段で降りた先がリビングとなっていてこのつくりもなんだか嫌な感じを醸し出しています。視覚的な不穏さを感じさせる舞台であることがそこが(のちにわかる)禍々しい秘密が隠された建物であることが観客の意識に刷り込まれていきます。まだ何も起こっていない段階から家を見ただけで何か嫌な感じがしてしまうという、そんな作品です。 ・霊もちゃんと怖い 家も怖いけど霊もちゃんと怖いです。さっき言った玄関とリビングをつなぐ階段の下から手がスーと伸びてきて・・・という場面、見た方なら共感いただけると思いますがここは非常に怖い。この後ホテルに避難するもそちらにも霊がやってくるという逃げ場のなさもキツイ。主人公が時折見るフラッシュバックシーンもなかなかの恐怖感がありました。
まとめ
アメリカ映画の「呪われた家」モノとは違う、異質な作品という感じでかなり良かったです。家のつくりに非常にこだわりを感じます。 霊が登場する場面はちゃんと怖いのですが、登場シーン自体は非常に少ないので、もっと霊がたくさん出てほしいという方には物足りなく感じるかもしれません。家自体を怖いものとして描くホラー演出には大変満足した僕でも、もう少し霊の登場シーンは増やしてもいいんじゃない?と思ったりもしました。 あとは主人公の声質が独特でそこもまた嫌な怖さがあった点も個人的に付け加えておきたい…。
というわけで評価は9/10点としました。
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