「フォー・ハンズ」は2017年のドイツ映画。
結末までのネタバレを含むのでご注意ください。
作品情報
監督:オリビエ・キーンル
キャスト:
フリーダ=ロビーサ・ハーマン
フリーデリーケ・ベヒト
クリストフ・レトコフスキ
デトレフ・ボーズ
原題:Die Vierhandige
製作年:2017年
製作国:ドイツ
配給:クロックワークス
上映時間:94分
参考サイト:映画.com
あらすじ
幼い頃、両親が強盗に殺害される現場を目撃してしまったソフィーとジェシカの姉妹。姉のジェシカは、そのトラウマと妹を守らなければという強い思いから精神のバランスを崩し、妹のソフィーを必要以上に束縛し依存するようになっていた。やがて犯人の出所を知ったジェシカは復讐を企てるが、突然の事故で命を落としてしまう。深い悲しみと同時に新たな人生を歩む前向きな決意をするソフィー。しかし、その日からたびたび記憶を失い、気がつくと見知らぬ場所で目を覚ますようになる。記憶を失っていた間の行動を自ら調べ始めたソフィーは、自分が姉の名前を名乗り犯人への復讐を遂げようとしていることを知る・・・。(Amazon)
感想
※結末までのネタバレを含むのでご注意ください
ツイストの効いた脚本のおかげで楽しめる
幼少期に両親を強盗に殺される場面を目撃してしまったジェシカ、ソフィー姉妹。それから20年後…。ソフィーはピアノニストを志してオーディションを受ける日々を送っていました。一方、ジェシカは事件のトラウマからソフィーを自分が守らなければという強迫観念にとらわれ、ソフィーを必要以上に束縛していたためソフィーからは若干疎まれており…という設定。そんなある日ジェシカのもとに弁護士から当時の犯人が出所したとの知らせが入る。ジェシカはソフィーを保護しようと自分の車で迎えに行くも、駐車場でふたりそろって車に轢かれてしまう。ソフィーは一命をとりとめるも、残念ながらジェシカは死亡。ソフィーはひどく落ち込むもののなんとか普通の生活を送れるまでに回復。しかし、気が付くと知らない場所にいたという体験を何度もするように…。どうやら自分の中にジェシカの人格が生まれ、自分の知らぬ間に行動していることがわかり…という展開に。
正直、上記のあたりまでの展開は重苦しいトーンの作風であることも相まって退屈してしまいました。気が付くと知らない場所にいたという展開もやりようによっては興味を引ける謎としてもっと引っ張ることもできると思いますが、わりと早くネタばらしをしています。(これはおそらくあえてだと思いますが…。)その後、(ソフィーの中の)ジェシカが、出所してきた犯人を殺そうとしているということがわかるという流れになっていきます。このあたりからはかなりハラハラしてきてやっと面白くなっていく感じです。ソフィーからしたら自分の知らないところで別人格がそんなことをしているなんてと考えるとやっぱり怖いですよね。ジェシカが出所した女の方を拉致し、車のトランクに入れ運転している途中に人格がソフィーに戻る、という場面は特によかったと思います。その後登場する、出所してきた男の方の風貌もやたらと威圧感があり最高でした。スキンヘッドに長身で顔も不気味…。後半ではこの男に全裸で追いかけられるという場面もあり超怖い名シーンになっていました。
そして本作のキモである驚愕の大どんでん返し展開へ。なんとソフィーが多重人格者でジェシカの人格がときおり現れる、のではなくてその逆。ジェシカの中にソフィーという人格がいて、それがときどき表に出る、ということだったのです。実はふたりが車に轢かれた時死亡したのはソフィーの方でした。マーティンの「人生とは記憶だ。その記憶が自分や他人の人生を作る」というセリフの通り、ジェシカの中でソフィーが生き続けるというラストもグッとくるものがあります。本作はこのどんでん返し展開を知ってからもう一度映画を観直すとソフィーに対するジェシカの愛情とか、ジェシカの苦しみがより深く伝わってきます。ということで時間があるときに2度目を鑑賞することをお勧めします。
気になったのは人格が変わったときに役者までも変わるという点。ジェシカの人格の時はジェシカ役の女優が、ソフィー人格の時はソフィー役の女優がそれぞれ演じています。これ、劇中の他の登場人物にはどう見えていたのでしょうか?ジェシカ(ソフィー)と恋仲になるマーティンの反応を見ると、人格がどちらであろうと彼からはジェシカの外見に見えていたのではないかと思います。つまり、観客だけにキャラの見た目が変わって見えるという映画的演出なわけですが、観ている間気になってモヤモヤ感がぬぐえなかったのも確か…。
総評
ツイストの効いた脚本のおかげでドスンとくる味わいの良作に仕上がっていました。何度も観返すとより評価があがる作品だと感じました。というわけで評価は8/10としました。
ストーリー紹介
登場人物
ソフィー:幼少期に両親を強盗に殺されるのを目撃。
ジェシカ:ソフィーの姉。同じく両親が殺される現場に居合わせる。その事件がトラウマとなり、ソフィーを守ることに執着するように。
マーティン:ソフィーが入院していた先の病院スタッフ。
姉妹の両親が殺される
幼いとき、ジェシカ、ソフィー姉妹は家に押し入ってきた男女2人の強盗に両親を殺される場面を目撃してしまいます。
犯人が出所
ジェシカは事件以来、妹を守らなければという強迫観念にとらわれ、ソフィーを必要以上に束縛するようになっていました。そして、あの強盗殺人事件から月日は流れ、服役していた犯人たちが出所するとの情報を手に入れたジェシカ。彼女は保護するためソフィーのもとへ向かいます。ソフィーはピアノのプロを志していましたが、ジェシカは「それどころではない」と犯人が出所したことをジェシカに伝えました。そして、ソフィーを保護するため駐車場に停めていた車に乗せます。しかし、ソフィーは過保護な姉を嫌がり逃走。ジェシカが追いついたところでふたりはそろって車に轢かれてしまいます。
ジェシカが死亡
病院のベッドで目覚めたソフィーはジェシカが亡くなったことを知らされます。
マーティンと恋仲に
ソフィーは病院スタッフのマーティンと恋仲になります。ある日のデートで車の中でキスを始めたところ、突然ジェシカの様子が一変しマーティンを殴りその場を後にします。
記憶をなくすようになる
マーティンと一波乱があった後から、ソフィーは時々意識を失い、身覚えのない場所で目を覚ますということを繰り返すようになります。意識を失っている間の記憶は全くありませんが、どうやら自分の中に眠る姉ジェシカの人格が現れていることがわかりました。そして、そのジェシカは出所した強盗犯の男女を殺そうとしているのでした…。
ジェシカが強盗犯の家に向かう
ジェシカ(の人格になったソフィー)は強盗犯の家にこっそりと侵入し風呂に入っていた男の方を殺そうとしますが失敗。そのまま家まで逃げかえります。
実はソフィーは…
ソフィーはマーティンの指摘で自分の背中にタトゥーが入っていることを知ります。しかし、ソフィーはタトゥーを入れた覚えはありません。不審に思ったソフィーはジェシカが死亡した際の書類を確認します。そこに映っていた写真はジェシカの死体ではなくソフィーのものでした。車に轢かれ死亡したのは実はジェシカではなくソフィーだったのです。つまり、ソフィーにジェシカの人格が宿っているのではなく、その逆でした。
男が家に侵入してくる
自分に関する真実を知ったソフィー(の人格のジェシカ)は自分自身をベッドに拘束した状態で睡眠をとります。そこへ「犯人の男」がやってきてソフィーに襲い掛かります。そこへ偶然やってきたマーティンの助けを借り何とか「犯人の男」を倒しました。
自殺を図るジェシカ
ソフィーの人格からジェシカに戻り…。ジェシカは生きる意味を見失い、自殺しようと自分の首にナイフを当てます。そこへソフィーの人格の時に録音したテープの音声が流れてきます。ジェシカは「いるの?」とソフィーに呼びかけました。
ソフィーを納骨する
ジェシカは現実を受け入れマーティンとともにソフィーを納骨しました。
ピアノを弾くジェシカ
ジェシカは自宅でピアノを弾き始めました。鏡にはピアノを弾くソフィーの姿が映っていました。(おわり)
本作はU-NEXTの31日間無料トライアルに登録することで付与されるポイント(600ポイント)でタダで鑑賞が可能です。(2020年4月25日 23:59まで配信予定)※本ページの情報は2019年4月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXTサイトにてご確認ください。
作品サイト:フォー・ハンズ
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