「Come Play カムプレイ」映画感想ネタバレ(8/10点)子を想う親の姿が胸を打つ良作

今回は「Come Play カムプレイ」を鑑賞しました。

この記事では、本作のあらすじ、観た感想を紹介します。

記事後半では結末に触れている部分があるのでネタバレをみたくない方はご注意ください。

自閉症で言葉を発することができない小学生のオリヴァー。彼は、母親のサラ、父親のマーティと一軒家で暮らしていた。学校に友達がいないことに加え、両親の不仲もあって孤独を感じていたオリヴァーはいつもスマホでスポンジボブのアニメを見て孤独を紛らわせていた。

そんなある日、オリヴァーの前にラリーというモンスターが現れる。ラリーは自らのことを絵本のお話として説明する。

ラリーは孤独なモンスター。みんなと違うからいつも仲間外れ。だから友達が欲しい。

ラリーは孤独なオリヴァーと友達になってあちらの世界に連れていくのが目的であった。

ラリーはオリヴァーの周りの人間を邪魔者とみなし、次々と危害を加えはじめる。オリヴァーのクラスメイト、バイロンはテーブルと壁に挟まれ大けが。オリヴァーの父マーティは交通事故で重傷を負う。

邪魔者を排除していったラリーはいよいよオリヴァーの前に姿をみせる。

ラリーがこちらの世界にやってくるためには電力が必要だと知ったオリヴァーは母親とともに電気の通っていない野原に逃げる。しかし、そこには以前バイロンによって投げ捨てられたオリヴァーのスマホが落ちており、ラリーがそのスマホの電気を使って再び出現。オリヴァーを追い詰める・・・。

さて、本作「Come Play カムプレイ」は、

ホラーというジャンルを借りて障害のある子供を育てる親の愛情を描いた良作でした。

サラは言葉をしゃべれないオリヴァーが「普通の人間」として社会に溶け込めるように奔走します。ときにその行動は間違っていて、オリヴァーから嫌われることもありますが、彼を想って取った行動であることは間違いありません。オリヴァーの反発、あるいは夫との不仲という自分自身の問題を抱えながらも、答えのない子育てという難問に向き合う姿には感動がありました。

サラの子育ての良い面、悪い面は「野原」というキーワードを使って巧みに描かれています。

オリヴァーがバイロンにスマホを投げ捨てられ無くした場面の次のシーンではオリヴァーは「野原」という練習をするもうまく発音ができません。しかし、自宅でラリーに見つかりそうになった時に初めて「野原」とサラに向かって言っています。これは野原なら電気がないからラリーが追ってこないという意味です。発したのはこの一単語のみですが言葉をしゃべれなかったオリヴァーにとっては大きな成長です。

オリヴァーが「野原」と言葉を初めて発したことでサラは自分の子育ては間違ってなかったと実感したはずです。

「野原」に行くとそこは確かに周りに電気が通っていなくてラリーが追ってこれなさそうです。しかし、そこにはバイロンによって投げ捨てられたオリヴァーのスマホが落ちていてその電力を使ってラリーがこちらの世界にやってきてしまいます。バイロンがスマホを投げ捨てたのは、元をたどればサラのついた嘘が原因です。「友達を辞めたいとオリヴァーが言っている」とバイロン側に嘘をつきオリヴァーとバイロンの仲を引き裂いたのです。バイロンがオリヴァーをいじめ、スマホを投げ捨てたのはサラがついた嘘が原因ということになります。

この嘘は息子が他者に暴力を振るわないための防衛策とはいえ、より悪い事態を招いていることは間違いありません。

サラは自分がついた嘘の結果として、投げ捨てられたスマホからラリーの出現を許してしまい、あちらの世界に連れていかれてしまいます。息子のためを思って、(あるいは自分の弱さゆえに)ついた嘘の代償としてとんでもない罰を受けてしまったわけです。

ラリーが追ってこれない「野原」に逃げてきたはずが、自分の嘘によってラリーに追われ、あちらの世界に連れていかれたサラ。オリヴァーから友達を引き離したことがいかに間違っていたかが彼女がたどる末路の悲惨さをもって描かれています。

さて、ラストの展開は以下のようになっています。

野原でラリーに追い詰められたオリヴァーは連れ去られることを覚悟しラリーに手を差し伸べるが、そこにサラが割って入り、オリヴァーの代わりに連れ去られてしまう。

月日は流れ、オリヴァーは簡単な文章をしゃべれるようになり、友達もできていた。そんなある日の夜、父マーティと二人暮らしをするオリヴァーのもとにサラが現れる。ふたりは再会を喜び合い、楽しそうに踊り始める。

あちらの世界に連れていかれたサラが久々に家族の元に戻ってきて楽しそうにオリヴァーと踊る姿に親の愛情を感じてウルっと来てしまいました。

正解のない子育てという難問に、ときに間違いながらも愛情をもって向き合う姿が感動的な1本です。

ホラーとしてのビビらせ演出も丁寧でけっこう怖いのでぜひ!

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