「サイレント・ウォーター」映画感想(ネタバレ)クセになる味わいのサバイバルスリラー


今回は2020年月日に公開・リリースされた「サイレント・ウォーター」を鑑賞しました。

海底で身動きが取れなくなった妹を姉が救助しようと奮闘するスリラー映画。

ハラハラドキドキするのはもちろんだけどそれとはまた違った魅力もあります。

さて、本記事の前半は、あらすじ・スタッフ・キャストの紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。

「ストーリー紹介」「感想」コーナーでは、ネタバレなし・ありで分けています。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分を見ることをおすすめします。

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あらすじ

休暇のためノルウェーの家族を訪ねたイダは、妹・トゥーヴァと山間部の岩場の海にダイビングをしに行く。海中散策を楽しむふたりだったが、落ちてきた岩がトゥーヴァに当たり…。

スタッフ・作品情報

監督:ヨアキム・ヘデーン

原題:BREAKING SURFACE

製作年:2020

製作国:スウェーデン / ノルウェー / ベルギー

上映時間:82分

キャスト

モア・ガンメル
マドレーヌ・マーティン

映画サイトでの評価

海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中6.1点(787件の評価)。

国内大手レビューサイト「フィルマークス」では5点中3(6件の評価)。

ストーリー紹介

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

イダはノルウェーの地元にある山間部の海で妹のトゥーヴァとダイビングを楽しんでいました。その途中、落石があり、それがトゥーヴァに当たりそのまま沈んでいってしまいます。そして、トゥーヴァは海底33メートルで岩にはまれ身動きが取れなくなってしまいます。その岩は巨大で人力では到底動かせそうにありませんでした。

イダは替えの酸素タンクを海底のトゥーヴァのところまで届けて時間稼ぎをしながら、岩をどけるためにジャッキを車のトランクから取り出そうとします。

しかし、その車にはジャッキが積まれておらず、代わりにあったのはタイヤ修理用の穴をふさぐエアゾールスプレーだけ。

イダは次の手段として、近くにあった立て看板の杭を引き抜き、それを使い、てこの原理で岩をどかそうと考えました。

しかし、その杭は木製のため岩の下に入れて力を加えるとすぐに折れてしまいました。

次に、浮力調整具を岩の下に挟み込みそこへ空気を送り込んで岩を浮かそうとします。しかし、穴から空気が漏れてしまい浮力調整具はうまく膨らみません。


ここから重要なネタバレあり


これ以上岩をどかせる方法が思いつかず、途方に暮れるふたり。空気タンクの残量も残り少なくなり、トゥーヴァは岩に挟まれたまま死ぬ覚悟を決めます。

イダは限界までトゥーヴァに寄り添った後、海面に出てうなだれてしまいます。しかし、イダは先ほど車のトランクから出したエアゾールスプレーを見てトゥーヴァを救う方法を思いつきます。

イダは浮力調整具の穴をふさぎ、空気が漏れないようにしたうえで、空気を送り込みます。すると、見事に浮力調整具が膨らみ、トゥーヴァを助け出すことに成功。

ふたりで浮上を開始しますが、その途中でトゥーヴァがイダに手で合図を出して引き留めます。そして水中にある洞窟に連れて行きます。そこには、水で満たされていない息が吸えるスペースがありました。そこで、トゥーヴァがイダにあることを告げます。それは、減圧をせずに何度も海面に出ていたイダの体にはダメージが蓄積しており、この次も減圧せずに海面に出ると命の危険があるということでした。だから、今いる洞窟で30分ほど待機する必要がある、と。しかし、そこに長くとどまり続けても二酸化炭素の濃度が上昇するため危険です。そこで、バルブが壊れて使い物にならなかった酸素タンクが一本残っていたので、それを洞窟の下で壊し、洞窟内の酸素濃度を高めイダを二酸化炭素中毒の危機から救います。

ここでエンディング。

感想

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

姉妹でダイビング中に近くの山から落ちてきた岩によって妹(トゥーヴァ)が海底で動けなくなり、それを姉(イダ)が必死に助けようとするサバイバルスリラー。

ハラハラドキドキというエンタメ映画としての楽しさはもちろんありますが、それ以上に妙な味わい深さが癖になる映画でもあります。今回はそのあたりを中心に感想を語っていきます。

意外と泥臭い映画

この映画で描かれているのは、海底で身動き取れなくなった妹を救助するため、姉がひたすら駆けずりまわるさまです。ノルウェーの大自然の景色とか、主演ふたりの美しさとかのおかげで、一見上品な映画にみえますが、実際には非常に泥臭い映画であります。

妹・トゥーヴァを助けようとする姉・イダですがこれが全然うまくいかない。岩をどかすためのアイテムを取りに行くが、トラブルのせいでそのアイテムが手に入らないというシーンがひたすら繰り返されます。まずは、車に積んであるジャッキがあれば石を持ち上げられると思いきや置いてあった車のカギが石の下敷きになっている・・・というところからスタート。車の窓を割ってトランクを開けるボタンを押そうとするがボタンの場所がわからない。トランクを開けるための道具は何かないかと近くの民家まで行くが住人はおらず、勝手に侵入したはいいがそこには凶暴な犬がおり…。このように石をどかすための策をいろいろと試しますが全然うまくいかず・・・。しかも、このイダ、結構凡ミスをする。酸素タンクを水中に落としてしまってどこに行ったか分からなくなったり、これまた酸素タンクを落として岩にぶつけて使えなくしたり。

なぜマヌケに見えるのか?

イダが凡ミスをしたり、トラブル続きで全然救助できない姿を見ると、(かなり好きな作品なのでこういう言い方はしたくないですが)マヌケな映画だなぁ…と感じてしまうのも事実。その理由はトラブルだったり凡ミスだったりが、死ぬかもしれない状況にあるトゥーヴァを絡めて起きるならまだしも、命の危険がないトゥーヴァの周りで起きるからです。

そんなことを鑑賞後に考えてたら、本作が、よくあるワンシチュエーションもののサバイバルスリラーとはまたちょっと違うと気づきました。ワンシチュエーションものといえば、例えばボートで遭難する設定ならサバイバルの舞台となるのはボートの上のみ(ザ・ボート【感想記事】)。プールでワニに襲われる設定だとしたらサバイバルの舞台はプールのみ(ザ・プール【感想記事】)。しかも、その舞台にいる人間全員が命の危機にあって、その状況からの脱出・生還を目指す。これが「ワンシチュエーション」のサバイバルスリラー。本作の場合、海底で岩に挟まれ動けなくなる設定ではあるけど、サバイバル(的行動)をするのは命の危険がない別の人物(イダ)であり舞台も水中やその周りの地上と、範囲が広く、ワンシチュエーション感はなし。

ワンシチュエーションもので、凡ミスをしたり、トラブルが何度も続くことは、全然マヌケだとは感じません。なぜなら、凡ミスするのは自分が生きるか死ぬかの極限状態だからと言えるし、そもそもトラブルが起きたことでその限定空間から抜け出せないわけだから、そのあとトラブルが連続して起きても納得できる。

本作は、トラブルが当事者(トゥーヴァ)のあずかり知らぬところで起きていてとってつけた感があって不自然だし、(妹を助けるために精神的に追い詰められているとはいえ)自分の命は無事なイダが凡ミスをするとちょっとおもろい。

ただ、このマヌケさが先述した上品さとのギャップになっていて味わい深く、その妙な感触が僕としてはたまらない。言ってしまえば「上品な珍作」としてニヤニヤしながら鑑賞することもできる作品ではあります。


ここから重要なネタバレあり


それでも、イダが不屈の精神で右往左往する姿は感動を覚えます。終盤当たりの展開をみるに、この映画から感じたメッセージは「人命救助を決してあきらめるな!」というベタなこと以外にも、「使えない!と一度捨てたその道具、別の使い方できるんじゃない?」ということですね。イダの見事な機転でトゥーヴァを助ける場面は本当に拍手を送りたい気分になりました。その後も、あるアイテムが役に立つ場面が出てきて、このあたりの展開もそう来たかとテンションが上がりました。そして、ラストカットが素晴らしい。見た目的に美しいということもありますが、それ以上にちょっとした遺恨のあった父親違いの姉妹が、お互いを思いあっている感じが伝わってきて、思わず泣きそうになりました。ここのワンカットで持っていかれた感じで、一気にこの映画の評価が上がりました。

総評

珍作みたいだけど珍作ではない、独特の味わいがあるスリラー映画。ラストカットが不思議な感動があって、もうここだけで満点という感じです!

ということで、評価は10/10としました。

参考サイト:ゲオ宅配レンタル/IMDB/フィルマークス

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