「ボディカメラ」映画感想(ネタバレ)警官のボディカメラが映していたものとは・・・?


今回は2020年8月26日に配信された「ボディカメラ」のレビューです。前半は、あらすじ・スタッフ・キャストの紹介をします。そして、後半の「ストーリー紹介」「感想」へと続きます。

「ストーリー紹介」「感想」コーナーでは、ネタバレなし・ありで分けています。ネタバレを避けたい方はネタバレなしの部分を見ることをおすすめします。

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あらすじ

ベテラン婦警のレネ・ロミート巡査は、同僚が殺された奇妙な事件を捜査し、被害者のボディカメラに謎の影が映っているのを発見した。ボディカメラに記録された怪奇映像の秘密とは。

スタッフ・作品情報

監督:マリク・ヴィタル

原題:Body Cam

製作年:2020年

製作国:アメリカ

上映時間:96分

キャスト

メリー J・ ブライジ
ナット ウォルフ
デヴィッド ザヤス

映画サイトでの評価

海外の映画サイト「IMDB」での評価は10点中5.2点(2097件の評価)。

国内大手レビューサイトフィルマークスでは5点中3.1点(4件の評価)。

ストーリー紹介

※まずは重要なネタバレなしで行きます。

主人公は、息子を水難事故でなくした警察官のレネ。彼女は一般市民を殴ったことで職務を外されますが、やっと復職を果たし、新人警官のダニーと夜間の巡回を始めます。

その日、レネたちは同僚の警察官・ギャニングの死体を発見します。ギャニングのパトカーについている車載カメラには、ギャニングが緑のバンに乗った女性を職質中に見えない力によってギャニングが殺される様子が映っていました。

その後、警察による現場検証が始まりますが、レネが見たはずのギャニングが殺される映像はすでに消えていました。捜査を指揮する刑事に「黒人女性が事件に関与している」とレネは訴えますが、刑事はそれを聞き入れず緑のバンだけが捜査の手がかりとされてしまいます。

このあと、二人組の男と二人の警察官が、ある店の中で死体で発見されます。その駐車場には例のバンがあったことから警察はこの二人組みがギャニングを殺した犯人だと断定します。

しかし、レネは車載カメラの映像に映っていた女性の服装から、緑のバンの持ち主がタニーシャという女性だと突き止めていました。そして、タニーシャが過去に自分の息子を何者かに殺されていたことを知ります。レネは自分の境遇と重なるタニーシャに入れ込むようになり、独自に彼女のことを調べ始めます。

そして、複数の警察官がタニーシャの息子・デマルコの死に関わっていることを突き止めます。そのことをダニーに電話で伝え、会って詳しく話をすることになりますが、なんとダニーは会う前に自殺してしまいます。ダニーは、レネに1本のUSBメモリを残していました。


ここから重要なネタバレあり


それはダニーのボディカメラの映像で、そこにはデマルコがペンダという警官に殺される様子が映っていました。デマルコが殺された理由はこうです。何らかの犯人だと疑われたデマルコをペンダを含め複数の警官が追い、止まれと命令するもそのまま逃げ続けたために銃で撃ち動けなくします。その後、デマルコには聴覚障害があり、制止する声も聞こえていなかったことが判明。このままではそこにいた警察官たちが世間からバッシングされることになるとマズイため、デマルゴを殺しこの件を隠蔽したのでした。

レネはボディカメラの映像を上司のケスパーに見せるため彼を廃工場に呼び出します。しかし、ケスパーはレネに会うなり銃を突きつけます。その場にはペンダも現れ、二人揃ってレネにボディカメラの映像を差し出せと迫ります。するとそこへタニーシャ、そして、デマルコの亡霊が現れます。デマルコはケスパーを痛めつけた上、ペンダを殺してしまいます。

こうして、複数の警官が関わった少年の殺害・隠蔽は世間に公表されました。

タニーシャは、以前のように医療の現場で働き始めます。それまでの暗い顔が打って変わってハツラツとしていました。

ここでエンディング。

感想

※まずは重要なネタバレなしで行きます。
ある地域の警察官が殺される事件が連続して起き、その犯人を警察官のレネが追う、というミステリー仕立ての超常現象系ホラー。主に米国において警察官が職務中に無防備なアフリカ系アメリカ人を殺してしまうという事件が相次ぐという現実の社会問題を下敷きにしています。その点では姿勢を正して観なければという気分にさせられます。
その視点から語ると重要なネタバレをしてしまうのでまずはホラーとしての出来について話したいと思います。

ホラーとしての出来はどう?

本作は超常現象系ホラーで、そこそこの恐怖感は味わえたというのが僕の感想です。霊的な存在のビジュアルはほぼ黒いシルエットで、それ自体に恐怖感はありません。しかし、その霊が見えない力で人を襲う場面は、結構むごくてグロい。とくに、ある店でチンピラと警察官が霊に襲われる場面なんかめちゃくちゃ楽しい。チンピラの男たちはスマホで撮影しながら店内の商品を倒したり盗んだりとしょうもないyoutuberのようなことをしていて、そこに警察官がやって来て銃撃戦に発展。さらにそこに霊が現れ、男たちと警察官たちとそして霊が入り乱れて戦うカオスな現場。こういう怒涛の展開が続くカオスなシーンはやはりテンションが上ります。チンピラの顔がただれて歯がむき出しになる死体とかビジュアルが強烈ですし、細かいところでいうと男のうちのひとりが霊によって宙に持ち上げられ、男は無差別に銃を発砲するカットはなぜかすげぇとなった。終盤にも霊による殺害シーンがありまして、ここもなかなかむごい。というわけで、ホラーとしてはそこそこ楽しむことが出来ました。


ここから重要なネタバレあり


あくまで個人の感情の話

さて、本作は「過剰に暴力的な警官」という現実の社会問題をテーマにしており、そこが深く描かれのかと期待していましたが、実際には「ほどほど」でした。あくまで、警官に殺された少年・デマルコの殺されたことの恨みやその少年の母・タニーシャの子供を亡くす苦しみなど「理不尽な目にあった人間の感情」の方がメインとなっています。霊となったデマルコが警官を殺すときのむごさが彼の恨みの深さを物語っています。劇中ではかなりの好人物であったと紹介されるデマルコがあれほどのエグい殺しをするんだから彼の怒りは相当なものだったんでしょう。デマルコの母・タニーシャはほぼ感情出さないキャラではありますが、主人公のレネを息子を水難事故で亡くしたキャラに設定して、彼女の苦しみを描くことで観客は間接的にタニーシャの苦しみを想像させられます。「過剰に暴力的な警官」がテーマという点では深く掘り下げられませんが、1箇所だけ警官の追跡方法の問題点を示す場面があります。「聴覚障害者に止まれと言って止まらなかったから銃で撃った」という場面は、被疑者に声をかけても応じなかったから警官に反抗的であるとみなすことの恐さを示しています。いずれにしてもこの一箇所だけなのでもう少し、警官が暴走してしまうことの根本原因とかに触れてくれたら映画として深みが出てくると思いました。終盤では、レネが闇に埋もれかけていた事件を解決し結果としてタニーシャを社会復帰させています。このエンディングは警察官としてのあり方を示しているように感じました。

2回観るのオススメ

2度目を鑑賞すると初見時にはなかった気付きがあります。たとえば、ダニーがデマルコ殺害の現場にいたことを知った上で、ダニーが先輩警官たちと仲良くしている場面をみると、単純に仲がいいというよりは隠蔽に加担した運命共同体としての絆に見えてゾッとしてきます。直接、デマルコを手にかけた警官・ペンダを演じた俳優の顔つきがまたいいんだなぁ…。微笑んでるときでさえ薄ら寒い狂気を感じるというか。他の警官陣の配役も絶妙で、粗暴で悪そうにも見えるけどいいやつにも見えるという。話を戻しますが、レネとダニーが巡回中に幼児を発見し、周辺住人に囲まれる場面も2度目はかなり興味深い。レネが住人たちを刺激しないように対処し、その場を見事に切り抜けます。それを見たダニーが「対処がうまいですね」とレネに声をかけます。ずさんな追跡の結果デマルコを殺すという現場に居合わせたダニーは、レネの冷静な対処に警官としてのあるべき姿を見たのかも知れません。このダニーが殉職した警官の葬式で酔っ払っている場面も、罪悪感を紛らわせるために酒を飲みすぎたと考えると可哀想というかやるせなさを感じます。2度目の鑑賞時はダニーの言動の意図に気づく場面が多く、映画の味わいがまた変わってきます。

総評

ホラーとしてみるとエグイ描写もあるのでそこそこおすすめです。全体的に静かなトーンが続く映画で個人的には得体の知れない恐怖感があってよかったと思います。社会問題にそこまで深く切り込むわけではないのでその点は少し物足りなく感じました。全体的に言うと絶賛するほどではないけどそこそこの出来という感じですかね。

ということで、評価は7/10としました。

参考サイト:IMDB/フィルマークス

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