今回は2020年9月4日にリリースされた「コロナウイルス 感染者」のあらすじ・スタッフ・キャストの紹介や、僕自身の感想を語ります。
結末までのネタバレを含むのでご注意ください。
あらすじ
結婚記念のヨーロッパ旅行から帰国したブルースは、咳や発熱の症状に悩まされていた。新型ウイルスが拡大する中、妻・ローラは夫の身を案じるが、ブルースはただの風邪だと主張し…。
スタッフ・作品情報
監督:ミテシュ・クマール・パテル
原題:Anti-Coronavirus
製作年:2020年
製作国:アメリカ
上映時間:85分
キャスト
キース・ロペス
ティナ・マリー・ニグロ
ジョン・カー
コートニー・アッシャー
バリ・バレー
マーク・スペノ
ストーリー紹介
コロナウィルスによる感染症が世界的な広がり見せはじめていた頃・・・。
ブルースは妻・ローラとのヨーロッパ旅行から戻ったあとに、コロナウィルスへの感染が判明。
すぐに病院に運ばれ、隔離された病室で治療を受けることになります。はじめは、せきが出る程度でしたが次第に容態が悪化していくブルース。
ブルースの妻・ローラは一人で家に痛くないからと娘たち家族の家に身を寄せます。そこで、ローラは娘や孫たちと一緒に、テレビ電話でブルースを励まします。
ここから重要なネタバレあり
しかし、ブルースの病状が回復しないことを医師から聞かされ、ローラは落ち込みます。それでも必死に、孫たちとブルースの回復を祈ります。
すると、その願いが届いたのかブルースは奇跡的に回復し、無事退院し、教会でスピーチができるほどに元気を取り戻しました。
ここでエンディング。
感想
非常にタイムリーなコロナウィルスをテーマにした映画ということでそこそこ期待しながら鑑賞しました。結論を言うとマジメすぎて面白みにかけるけど観る価値がないこともない。話自体非常にシンプルで、コロナウィルスに感染し容態が悪化した男性が回復する、ただそれだけ。家に「CORONA」と落書きされたり、記者が家の庭に入ってきて強引な取材をしてきたり、店のトイレットペーパーを奪い合うといった映画らしい“事件”も起きたりしますが、これらの“事件”が後の展開に影響を与えるわけでもない。ただ、単体のエピソードとして存在しているだけ。「コロナに感染したらその周辺で起こること」を淡々と描いている感じです。どうやら、この監督は映画的な見せ場を作って観客をハラハラさせようとかそういう気持ちはないらしく、どちらかと言うとコロナウイルスの恐ろしさと、宗教的な祈りの力みたいなものを伝えたい様子。マジメだなぁ。低予算なのはしょうがないとして、トイレットペーパーの奪い合いなんかもっと派手にして笑えるシーンにもできそうなもんですが。
基本的に盛り上がりに欠ける映画ではありますが、この場面はいいなと思った箇所もありました。まず、映画的な見せ場を無駄に作らなかったことで、逆にリアルさが出ていました。たとえ身内がコロナに感染したって、それこそ大事件なんかめったに起こらないはずです。その点でこの映画の登場人物が身近な存在に感じました。特に、コロナに感染したブルースの妻・ローラのキャラは実在感があり良かった。彼女を演じた俳優の嘆き悲しむ演技が抑制が効いてて夫がしんでしまうかも知れないという悲壮感がリアルに伝わってきました。このローラが自分の娘と湖の畔にやってきて、ブルースとの過去の面白エピソードを話している場面も好きです。身内が亡くなるかも知れないという悲しい状況の中にある束の間のホッと出来るひとときという感じで、このシーンを観ていると、不思議とブルースが回復するかもしれないという気持ちになってきて「おっいいな!」と思いました。あとは、家族関係がちょっとピリついて気まずい感じになるところも面白い。序盤で、もう先が長くない感じのブルースの父のもとに、ブルースや家族が会いに行った場面。父が「もう寿命が尽きそう」系ジョークを飛ばしてブルースを困惑させるとことか気まずいけど笑える。しかも、このジョークが上手くて、とっさの判断で考えたにしては安定感があり、おそらくずーっと人にこういうことをいってんだろうなと思わせるキャラ描写がナイス。あと、ローラが娘家族の家に身を寄せる場面で、娘の夫が「ローラはこの家に必要ない」と言っていたのをたまたまローラに聞かれて、しばらくローラが家出するという気まずい場面もありました。映画で描かれる気まずいシーンって結構好きですね。ローラが家出し、車で探し回っていた娘が前の車にぶつかりそうになルシーンがありますが、実際にぶつかるわけではないところも無駄に事件を描こうとないこの映画らしい笑。
総評
コロナウイルスにかかった人物とその家族を、映画的な誇張をできるだけせず描いた作品といった感じで、その作り手のマジメさと、実際に多くの人を苦しめているテーマを扱っているだけにそこまでボロカスに言う気になれない作品。実際、いいなと思った場面もあったし。ヨーロッパでの感染拡大が問題でアメリカはそこまで大きなパンデミックになっていなかったり、トイレットペーパーの品切れが問題になっていたり、この映画で描かれるエピソードを見ると、あぁあの頃の話だなと少し懐かしくなってきてしんみりした気分になったりもして…。早くこの事態が収まるといいですね本当に。
ということで、評価は7/10としました。
参考サイト:ゲオ宅配レンタル
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