「デス・アシスタント 殺・人工知能」は2019年のカナダ製ホラー映画。
結末までのネタバレを含むのでご注意ください。
作品情報
監督:ラスティ・ニクソン
キャスト:
デブス・ハワード
フィリップ・グレンジャー
サム・ロバート・ムイク
ハバナ・グッピー
ボニー・ヘイ
原題:A.M.I.
製作年:2019年
製作国:カナダ
上映時間:77分
感想
短い尺ながら結構楽しめた作品です。
17歳の女子高生キャシーは母親を交通事故で亡くして以来ふさぎ込みがちで悲しみから立ち直れずにいた。喪失感を埋めるため、友人が薦めてくれた人工知能搭載のアシスタントアプリ〈AMI〉を母親の声で設定したキャシーは、それが母親そのものの人格を持っていることに驚くと同時に安心感を得る。しかし〈AMI〉との関係が深まるにつれ、〈AMI〉はキャシーに邪悪な行いを指示するようになり・・・
AIにそそのかされ殺人を重ねる少女
※【重要なネタバレなしの感想】とその後【重要なネタバレを含む感想】が続きます。
重要なネタバレなし
基本ストーリーは主人公(キャシー)がスマホのAI搭載アシスタントアプリに促され殺人を重ねていくというもので、今流行りのAI暴走モノに分類される…と考えましたが、AIが勝手に暴走し主人公のはその被害者という構図ではなく、主人公の感情を読み取りそれをAIがアシストする程度で、実はAIは主題ではない感じです。AI暴走モノ映画『エクス・マキナ』とかにあった「AIって末恐ろしいわ…」感は別にありませんでした。むしろ、本作の場合、AIにどこかオカルト感もあったりして、これぐらいのバランスのAIモノもこれはこれでアリですね。
本作の上映時間は77分、エンディングを除くと実質71分ほどです。このぐらいの尺の映画は面白かったとしてもどこか物足りなさを感じてしまうものですが、意外と物足りなさはなかったですね。後で考えてみると主人公のキャラ描写がしっかりと入っているからではないでしょうか。短い尺の映画では、主人公のキャラかわかりづらくそこが物足りないポイントになっている気がします。具体的にどういうキャラ描写かというと、事故で亡くなった母を忘れることができない主人公が人工知能AIアプリに依存していく…というもので、それ自体がメインプロットになっているので短い尺ながら主人公のキャラがしっかりと描写されています。
主人公のキャシー役の役者は、最初パッとしないなという印象でしたが終盤になるに連れこの顔の不気味さがなかなかいい味を出しておりホラーとしてかなりプラスポイントになっていました。恋人のリアムのバカっぷりも笑えてなかなか楽しめるポイントです。
重要なネタバレあり
終盤、キャシーが浮気した恋人(リアム)を殺すため家を急襲する展開がありここが最大の見せ場になっています。キャシーの狂気をはらんだ殺人鬼っぷりは引き込まれるものがありそこそこ楽しめる場面です。ただ、襲われるリアムはいわゆるクズ野郎なので全然感情移入できずハラハラ感はなし…。かといって、キャシー側に立って殺人を応援する気にもならず…。あ、リアムがキャシーに反撃したあと、暗闇からキャシーが這って向かってくる場面はタメも効いていて心底怖く超イイですね。これは個人的な願望ですが、せっかくリアム側もAIアプリを使っているのだから、キャシーに対抗するためAIアプリに指示を仰ぐ感じで、『キャシーのAI』VS『リアムのAI』があればもっと盛り上がったかなぁと。
オチとなるラストシーンも結構好きです。キャシーが死んだ両親や恋人、そして赤ちゃんに見立てたAIアプリとともに暮らしているというブラックな結末です。オチがこういうパンチの効いたものだとなんかいい映画見たなぁ~と嬉しくなってきます。
総評
短い尺ながら結構満足感があり楽しむことができました。今トレンドのAIを使った映画でイマドキのホラー映画を観たいという方にはオススメです。というわけで評価は6/10としました。
ストーリー紹介
女子高生のキャシーはAMIというアシスタントアプリがインストールされたスマートフォンを道端で発見…。AMIの音声が事故で亡くなった母の声に似ていたことから、キャシーはAMIを母親代わりとして日々の生活を送るようになっていきました。
そんなある日、AMIに促され友人のサラの家を訪れたキャシー。そこで、自分の恋人(リアム)がサラと浮気していることを知ります。キャシーはサラを殴り倒し、AMIの指示に従いその死体をリアムの家の近くの森に埋めてしまいます。その後も、キャシーは、サラの殺人を知った人物を自分の父親を含め殺していきます。そして、リアムの家を訪れ、彼を殺してしまいます。
のちに警察はキャシーによる一連の殺人をリアムの犯行と断定。キャシーはリアムに殺されかけた人物となったのでした。
月日は流れ、数カ月後。キャシーは4台のスマートフォンにAMIをインストールし、それぞれ父、母、リアム、そして赤ん坊に見立て一緒に生活を送っていました。
おわり
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