「4×4 殺人四駆」映画感想(ネタバレ)ある男が特殊改造された車に閉じこめられるスリラー

4×4 殺人四駆(字幕版)

4×4 殺人四駆(字幕版)

「4×4 殺人四駆」は2019年のアルゼンチン、スペイン合作のスリラー映画。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

作品情報


監督:マリアノ・コーン
キャスト
ピーター・ランサーニ
ダディ・ブリエバ
原題:4×4
製作年:2019年
製作国:アルゼンチン / スペイン
上映時間:92分

感想

そこそこ楽しめるワンシチュエーションスリラーでした。

住宅街で1台の車に目を付けた車上荒らしのシロは、車に押し入りカーステレオを盗む。だが、外に出ようとするとドアが開かず、完全に車の中に閉じ込められてしまう。

驚きの展開もあるそこそこ楽しめるスリラー映画

※【重要なネタバレなしの感想】とその後【重要なネタバレを含む感想】が続きます。

上映開始からすぐにこれは最近の個人的なブームであるワンシチュエーションスリラー映画だと気づきワクワクしながら鑑賞していました。

↓最近見たやつの感想記事
ザ・プール
ザ・ボート

ただその後、本作がワンシチュエーションスリラーといっても悪意を持った他者によって主人公が人工的にそのシチュエーションに置かれるタイプのスリラーということがわかり少しだけがっかり…。というのも最近ハマっているのは主人公が自らのミスなどでその状況に陥ってしまいそこから抜け出せない系スリラーであり、みたかったのはこちらだったからです。このタイプの良さは、その状況が日常の延長線にあり自分もいつかこういう状況に置かれてしまうかもしれないというハラハラ感、恐怖感が味わえるからです。悪意を持った他者系スリラーは、あまりにも超現実的というか人工的過ぎて、これは映画の中だけの話で自分がこういう目に遭うことはないだろうと感じてしまうのです。(もちろんこのタイプの作品の魅力もあるのですが)

ということで、本作が悪意を持った他者系スリラーとわかって少しがっかりした状態で鑑賞を続けたわけですが、結論を言うと、中だるみはあるものの社会問題を入れ込んだストーリーや思いもよらぬサプライズ的展開などがありそこそこ楽しめた映画でした。

ストーリーは、車上荒らしの男(シロ)がある車に入り物色していたところ、その車の持ち主(エンリケ)に遠隔操作で鍵をかけられ閉じ込められてしまう…というもの。このエンリケは車を何十回と盗まれ彼の暮らす社会の治安悪化に憤りを感じており、車上荒らしに私的制裁を加えようとあえて自分の車をそこに停車していたのでした。しかもこの車、防弾かつ偏光仕様のガラスで防音性能を備え、さらに内側でいくら暴れようと車体は全く揺れないという改造をされており、シロが銃で窓を撃とうが、そばを通りかかった人に助けを求めようが全然ダメで完全に八方ふさがりになってしまいます。えらく手の込んだ仕様の車を作ったなと思いながらも、シロが何とか外へ出ようと窓を蹴飛ばしたり、車の内装を破壊していくシーンはなかなか楽しいです。特に、内装破壊シーンは結構細部まで描いているので車の内装の内側ってこうなっているのか…と興味深い場面です。閉じ込められる前に調子に乗って後部座席にションベンをしており、脱出を試みるときにションベンまみれになるというのも皮肉が効いていて面白い。

主人公のシロは車上荒らしを始めいろんな悪いことをしてきた人物で、もちろんこの男に同情はできませんが、劇中で語られる社会情勢などからやむを得ず悪人になったのかもしれない、とみることができます。僕は、この男はどういう人生を歩んできたんだろう?とシロのこれまでの人生に思いをはせながらみていました。シロが自分のやってきた悪さについてどう考えているかということはほとんど語られません。ただ途中、シロが閉じ込められている車にまた別の車上荒らしの少年がやってきて鍵をこじ開けようとしたところ、街の人たちにバレてボコボコにされるのをシロが苦しそうな表情で見ている場面は自分の行いを振り返って後悔しているのか?と見ることも出来てなかなか切ないシーンです。

基本的には見どころの多い映画ですが、ワンシチュエーションの宿命なのか中だるみして結構退屈な場面もありました。特に、車から脱出する方法をあらかた試してどうしようもないとわかってからはストーリーの進みが異常に遅く感じられなかなかキツイ…。エンリケ側もこうすれば助けてやるとか具体的に提案していればそちらの方向にストーリーが進んでいくのですが…。あと、エンリケが最終的にシロをどうしたいのか?ということも具体的に示しておいたほうが恐怖感もあるし物語の軸もはっきりして見易かったかなと。


重要なネタバレあり


中だるみのある中盤を我慢すれば後半には驚きの展開が待っています。それまで電話でのみ接触してきたエンリケがシロの閉じこめられている車に実際にやってきて、シロは隙をついて車から脱出。エンリケがシロを捕まえたところで警察官に見つかりエンリケがシロを人質に取り、警察官に取り囲まれる展開に…。いきなりのトーンの変化にかなり驚いてしまいました。映画をみていて予想しなかった展開に進んでくれるとかなり嬉しい気分になりますね。まぁその後、説得に当たる交渉人とエンリケの掛け合いのなかで、エンリケが犯行に及んだ動機(治安悪化を憂いて自警団になった)などが語られるわけですが、このあたりは別に心に響かず退屈(笑)エンリケの犯行がバレて警察官に取り囲まれるというサプライズ展開がピークでしたね。

総評

B級感あふれる邦題からは想像できないほどまじめに作られた社会派映画という感じ。ただ、そのメッセージが刺さるかどうかは微妙ですが…。ワンシチュエーションスリラーとしての出来はなかなかで中だるみする場面を覗けばそこそこ楽しめるという感じでした。というわけで評価は7/10としました。

ストーリー紹介

車上荒らしのシロは住宅街の道に停められた一台の車のカギをこじ開けカーステレオなどを盗み始めます。車から出ようとドアを開けますがなぜかカギが掛かっており外に出られなくなってしまいました。

やがて、車に備え付けられた電話の呼び出し音が鳴ります。シロが応答すると、相手はその車の持ち主であるエンリケという人物でした。その車は防弾・偏向仕様のガラスや防音性能を備えた特殊な四輪駆動車で、これまで車を何度も盗まれてきたエンリケが車上荒らしを“私刑”に処すためにあえてそこに車を停めていたのでした。

シロは何日間もその車に閉じこめられることになります。その間、エンリケから何度もかかかってくる電話で外に出してくれと懇願しますが、エンリケにはシロを開放するつもりはないようでした。

そして、ある日。エンリケがシロの目の前に現れ、車に乗り込んできます。シロは隙をついて車から脱出。しかし、追いかけてきたエンリケに捕まってしまいます。そこをたまたま通りかった警察官が発見。エンリケはシロを人質に取った状態で、連絡を受けてやってきた大勢の警察や野次馬に囲まれます。

やがて、警察の依頼を受けてやってきた交渉人がエンリケを説得に当たります。近年の治安悪化により見物人からはエンリケの行動を支持する声が多く聞こえてきます。そんななか、交渉人の言葉が心に響いたのかエンリケはシロを開放します。そして、シロを閉じこめていた車に乗り込んだかと思うと自爆してしまいました。

おわり

参考サイト:ゲオ宅配レンタル/Amazon


コメント