「犬鳴村」映画感想(ネタバレ)なかなかおすすめな日本製ホラー映画

「犬鳴村」は2020年の日本製ホラー映画。

結末までのネタバレを含むのでご注意ください。

作品情報

監督:清水崇

キャスト
三吉彩花
坂東龍汰
大谷凜香
古川毅
宮野陽名

製作年:2020年

製作国:日本

上映時間:108分

感想

中盤までは超怖いホラーだが、後半はグダグダ感が強くなる映画でした。

臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。

※【重要なネタバレなしの感想】とその後【重要なネタバレを含む感想】が続きます。

2月15日に映画館で鑑賞。土曜日の18時ごろからの上映で、ハコも小さめながら9割ぐらい席が埋まっていました。ホラー映画の上映に人が集まっているのを見るのは嬉しい…。

さて、内容の方ですが欠点や気になるところはあるけど、しっかりと怖いホラー映画でした。特に前半はぞっとするJホラー的シーンがこれでもかと放り込まれ、ずっとびくびくしながら鑑賞していました。ただ、後半になるにつれて怖さが薄れ、脚本もグダグダで分かりにくくなるのは少し残念。

序盤から中盤までは超怖い!

肝試し感覚で犬鳴村に入り込んだ明菜と悠真の若者カップル。そこで、人間ではない「何か」に襲われその場から逃げかえります。その後、明菜の様子がだんだんおかしくなっていく…という序盤のシーンは最高に怖い。気味の悪い歌を口ずさんでいるかと思ったらその後、歩きながら放尿、そしてある最期を迎えます。この最期のシーンは劇場から悲鳴が漏れていましたw明菜が火葬され骨だけになっている場面を入れているのも、「ああ、本当に死んだんだな…」と死に現実感が出てくるので良かったですね。このとき、「この骨明菜ちゃんなの?」的なセリフを子供に言わせるのも残酷で良い。

明菜の死後も主要キャラの周りに霊が現れるようになり次々と犠牲者が出る展開に…。この幽霊たちがめちゃくちゃこわい!ブラーのかかったような映像処理が絶妙な不気味さを醸し出していました。とくに、悠真と康太が犬鳴トンネルに入ったところで襲ってくる着物を着た霊たちが超よかった。あと、奏が弟の部屋にいたところで後ろに佇む首の長い超絶気持ちの悪い霊が今でも頭から離れません!あ、こうして記事を書いているときも思い出して鳥肌が立ってきました…w電話ボックスでの見せ場にも霊が登場するのですが、霊の動きに残像感のような特殊効果がつけられており今まであまり見たことのない怖さを味わえました。ここはいまでも思い出す印象的な恐怖表現です。これほど霊が画面にしっかり映っているのにちゃんと怖くみせる手腕は素晴らしいですね。

後半に行くほど怖さが薄れる

前半超怖いけど、後半は失速感が否めないホラーでしたね。前半から幽霊たちをバンバン登場させてビビらせてくれるのはありがたいのですが、ここまでたくさん出てくるとさすがに怖さが薄れていってしまいます。出てくる幽霊にもう少し変化があればよかったのかもしれません。一応幽霊だけではなくモンスター的なヤツを登場させていますが、それもちょろっと出てくるだけ。何かもう少し違った種類の霊が出てくれば怖さが持続したと思うのですが。

ある男の霊が主人公に手を貸す展開がありますが、ここがどうしようもなく退屈です。まず、犬鳴村の過去という物語の核をこの霊に全部説明させるのはなんだかなぁ…という感じです。その後もこの霊が主人公と共に行動することになり、そのせいで緊張感はまるでありません。個人的にはホラー映画に出てくる、「人間に協力的な良い霊」っていうのがあまり好きではありません…。映画に「良い霊」が出てくるとその映画の「悪い霊」まで怖くなくなってしまいます。映画に登場する霊は常に人間に対して悪意ビンビンでいてほしい…(願望)。この男の霊が出てきた時点で本作に出てくる霊は全然怖くなくなりました。もしかしたら作り手もその点は自覚しており、そのかわりに趣を変えてモンスターを登場させたということなのかもしれませんが…。

話がわかりにくい後半

後半は怖さをほぼ感じないのも欠点ですが、それ以上に話がわかりづらいのも問題かと思います。話がどこに向かっているかがイマイチつかめない瞬間があるというか…。普通の映画なら主人公の身内が行方不明になったとなれば、主人公が失踪した身内の捜索を始める、という方向に話が進むと思います。しかし、本作の場合、主人公(奏)の兄と弟が犬鳴トンネルに入りこみ行方不明になったあと、奏が兄たちの捜索に向かうことはなく、今まで通りの日常に戻り仕事を続けています。捜索は警察がやるということになっているので奏が兄たちの捜索をしないことは一応理解できますが、娯楽映画なんだからそこは仕事なんかほっぽり出して捜索に向かうのが普通じゃねぇか…?と僕は思うのですが。まぁ、捜索に行かないことについては百歩譲って、兄たちが犬鳴トンネルで消息を絶ったのはわかっているのだからせめて「主人公が犬鳴トンネルに入り込むが、その先は封鎖されていて兄たちの行方は分からなかった」的なシーンを入れるべきだったのではないでしょうか。奏が犬鳴トンネルに一歩も足を踏み入れないせいで、「犬鳴村って普通に犬鳴トンネルを進んでいけばたどり着くんじゃね・・・?」という考えが常に頭に浮かびそれがすごいノイズになっていました。犬鳴トンネルを捜索したが犬鳴村に通じる場所はどこにもなかった、とすれば、犬鳴村が地図から消された幻の存在であることを強調することができるし、後の展開で犬鳴トンネルを抜けて犬鳴村を発見したことのカタルシスをもっと味わえたのに、と思います。

兄たちの失踪後、普通に仕事を続けていた奏ですが、やがて身の回りで不可解な出来事が起こるようになります。それが自分の血筋が関係しているということが判明。実は、奏の祖先は犬鳴村に関わりがあったのです。その犬鳴村で起きた忌まわしき事件のことを謎の男性の霊から教えられ、兄たちを助け出すため犬鳴村に向かうことに…。と、やっとここで奏が兄たちの捜索に向かう展開になりました。すぐ捜索に行かなかったのはこの血筋の話を描くためだったのでしょう。というか、結局兄たちを助けに行くんかい…。だったら余計、失踪した時点でいけばよかったのに…。犬鳴村にたどり着く方法は、弟が隠してたSDカードにあった映像(明菜と悠真が撮影していた映像)から知ります。これは弟がSDカードを隠していたという序盤のシーンを奏が唐突に思い出して、そこに記録されていた映像を確認した結果、犬鳴村にたどり着く方法に気づいたわけです。奏が祖父や霊に自分の血筋の話を聞くという展開とは関係がありません。これが、奏が自分の血筋の話を聞いた結果、犬鳴村へたどり着く方法及びそこに兄たちがいるということを知るというのであれば話は別ですが。ぶっちゃけ言うと後半のこれらのエピソードはストーリーの展開上絶対に必要なかったんじゃ…?


※重要なネタバレを含みます


犬鳴村にあっさり着きすぎ問題

奏がいよいよ犬鳴村へたどり着くというシーンがありますが、ここはもう少し大仰な演出にしてほしかった。犬鳴トンネルを少し歩ていったらいつの間にか犬鳴村に着いていてたという感じで、犬鳴村のスペシャル感があまりなく、あの超有名な都市伝説の犬鳴村をついに発見したぞという感慨が薄い。犬鳴トンネルを歩いていると霊に襲われ、それをなんとか振り切って犬鳴村に着いたとかそういうのでいいからもう少しタメが欲しかったですね。カメラワークもそっけなくて、クレーンで犬鳴村の全体像とかみせてほしかったなぁ。まぁあまりセットに金をかけられなかったのかもしれませんが。

ラスト近辺も話が分かりにくい

中盤あたりからすでに話が分かりづらいのですが、ラストは取ってつけたよう要素が加わり何が何だかわからない状態に…。そのひとつがタイムトラベル要素です。これはめちゃくちゃ唐突に感じます。それまでまったくそんな話してなかったので…。そこへさらに犬鳴村の人間が犬と交配し犬人間が生まれたというファンタジー設定が加わります。村の女を小屋に閉じこめ犬と交わらせたというのはあくまで電力会社の人間が村のイメージを下げるための嘘だったはず。それが本当だったとは!というのは結構びっくりしましたが、「タイムトラベル」と「犬人間」要素をふたつとも短時間で一気にぶち込むと地に足のつかない状態で話が進んでいき、ストーリーについていけなくなってしまいます。こういう突飛な設定をふたつも入れるんだったら、たとえば人間と犬の間に子供が生まれたということを前もって事実だと明言しておいたほうが良かったかなと。

犬人間女はぞっとする怖さがあった!

ちょろっと前述しましたがラストにはモンスター的な犬人間が登場します。この犬人間が結構怖かった!こういうモンスターの怖さって幽霊が画面に出たときのゾッとする怖さとはまた違うじゃないですか?でもこの犬人間が出てくるシーンは鳥肌の立つ恐怖感がありました。なかには、これまで心霊ホラーだったのにいきなりモンスターかよ、と思う方もいるかもしれませんが、個人的にはここが本作の中でも一番怖かった…。言葉で説明するのは難しいのですが、独特の気持ち悪い動きと特殊メイク(というよりCG処理?)がとても不気味でよかったですね。このモンスターがその後大した活躍もしないのは残念でしたが…。

全体の雰囲気は良かった!

ここからは映画全体の雰囲気について。現代の話ではありますが、出てくる小道具やロケーションであえてひと昔前の映画っぽさを再現しており、雰囲気が抜群に良いですね。登場する家々も和風でどこか薄ら怖さがありますし、山奥のロケーションや犬鳴トンネルなど、土着の怖い感じがよく出ていると思いました。主人公の森田奏を演じた三吉彩花の主人公感は異常であり、めちゃくちゃハマってましたね。彼女が主人公でなければまた違った感じの映画になったのではないかというほど存在感がものすごかったです。

総評

奏の弟・康太がビデオカメラで映像を再生しているとき、テープのまわる「シャー」という音が聞こえたのは気のせいでしょうか?

いろいろ気になるところも書きましたが全体としてはかなり楽しめた作品です!これだけ印象に残る恐怖描写があれば大満足です。コロナウイルスの件もあり映画館にいますぐ駆けつけろ!とは言いづらいですがおススメです!

というわけで評価は8/10としました。

ストーリー紹介

※ストーリ紹介は後日改めて追加します

参考サイト:映画.com


 

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